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茶園づくり 育苗と定植

1 育苗

1 挿し木による繁殖

茶樹の繁殖方法には、種子繁殖法(実播きあるいは実生苗を養成し移植することによって繁殖する方法)と栄養繁殖法(挿し木など植物体の一部を利用して繁殖する方法)の2つがあり、現在では、優良品種の挿し木苗を用いる後者の繁殖方法が一般的となっています。

2 省力で安定した挿し木育苗技術の開発

挿し木による茶の繁殖法が1935年に発見されて以来、挿し木育苗技術は多くの改良がなされてきました。その中でも、茶業研究所で開発した熱線反射フィルムによる無かん水育苗法(写真下)は、かん水や日よけを必要としない省力・安定生産技術として大きく貢献しました。

3 ポット育苗による深根性苗の生産

従来の挿し木苗は、根が浅く、しかも定植時の移植によって断根されるため、定植初期の根系分布が浅く、冬季の寒干害や夏季の干ばつ害を受けやすくなります。そこで、これらの問題点を克服する技術として、ポットを利用した深根性苗の生産が急速に普及してきています。

2 定植

1 定植前の準備

茶樹が順調に生育するためには、最低60センチメートル程度の耕土が必要です。そのため、定植前にはバックホーなどの大型機械による耕起、混層(写真)を行うのが一般的で、その後、暗渠排水の整備を行います。
さらに、茶樹の最適pHは4ないし5であるため、酸度を調査し、酸性が強すぎる場合は苦土石灰などで矯正する必要があります。また、新植の場合は、全面にバークたい肥などの有機物(10アール当たり20トン程度)を投入し、土壌改良を図ります。

2 苗の定植

定植の約1カ月前までに、栽植設計に基づいて、幅、深さともに30ないし40センチの植え溝を掘り、この溝に、ようりん(10アール当たり50キロ度)、バークたい肥(10アール当たり4トン程度)を投入し、土と混和しておきます。これにより、苗の初期生育が良好となります。
植付けは、根が自然な形で伸びるように注意し、地際の根が隠れる程度に覆土します(特に、粘質土壌では深植えにならないように注意します)。

3 定植後の管理

植付け後は、なるべく早くかん水し(1株当たり2から4リットル)根に土の粒子を密着させると同時に株の両側にわら等を敷き、雑草の発生及び水分の蒸散を防ぎます。その後、蒸散抑制のため地上部をせん枝します。
施肥は、植え付け後2カ月くらいから夏に2から3回に分けて施用します。施肥位置は、株元から20センチ程度離し、土とよく混和します(写真は定植約1年後の生育状況)。

お問い合わせ

農林水産部京都府農林水産技術センター 茶業研究所

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