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平成25年知事年頭あいさつ

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平成25年 知事年頭あいさつ 【動画を見る(外部リンク)

皆さん、新年あけましておめでとうございます。大変寒い中、少し小雪もちらついておりますけれども、職員の皆様におかれましては、新年を健やかに迎えられたことと、心からお祝いを申し上げます。
 本日は、近藤府議会議長様をはじめ、府議会議員の皆様、市町村長の皆様、そして、府政の推進にお力添えをいただいております様々な団体の皆様など、多くの皆様にもお立ち会いをいただき、心からお礼を申し上げます。2013年頭挨拶写真1

 また、府民の皆様の安心・安全を守るために、警察、消防、病院関係者など、多くの職員の皆さんには、休日、夜間を問わず、この年末年始にも仕事を頑張っていただき、改めてお礼を申し上げます。北部では、除雪のために、職員の皆様、業者の皆様も頑張っていただいているということでありまして、本当にありがたく思います。
 また、厳しい経済雇用情勢の中に、中小企業の皆さんや求職中の方が安心して新しい年を迎えられるよう、経営相談や生活就労相談を年末の遅い時間まで実施していただくなど、本当に多くの皆様に御尽力をいただきましたことに対しまして、心から感謝を申し上げます。

 昨年は、ロンドン・オリンピックで京都府ゆかりの選手が多数活躍されますとともに、京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞されるなど、京都府民としましても嬉しい出来事がたくさんありました。
 しかし一方で、幼い命が失われる痛ましい交通事故や、府南部地域の豪雨災害など、多くの悲しい出来事もありました。改めて被災された方にお見舞いを申し上げますとともに、京都府としても全力で対策を講じ、安心・安全の確立という府政の基本方針を徹底していかなければと、思いを新たにしているところであります。
 しかしながら、試練はこれだけではありません。今、私どもは、経験したことのない少子高齢化、人口減少時代に入り、さらにグローバル化による産業の空洞化など、大きな社会構造の変化に直面をしております。超高齢化時代に、福祉、医療、介護をどう構築するのか、雇用、働く人たちの未来をどうつくるのか、子どもたちをいかに育んでいくのか、先のまだ見えない課題が山積しております。
 さらに長引く円高・デフレに加え、世界経済の減速懸念や、領土問題に端を発する近隣諸国との軋轢など、国も多くの問題を抱える中、昨年は総選挙があり政権が代わりました。先の見えない暗闇からどう脱出をするのか、多くの人々が政治にいらだちと期待を持って眺めていると思います。
京都府も例外ではありません。生活保護受給世帯数が過去最多を更新するとともに、若年層をはじめ、非正規雇用者の割合が依然高く、先の見えない不安が広がっております。また、エネルギー問題をはじめ、消費税増税問題やTPP交渉参加問題など、課題を数えたらきりがない程であります。私たちはこうした現実に向かい、一つ一つの解決の道をしっかりと提示し、克服していかなければなりません。

 こうした課題に対しまして、昨年は正直、意見の対立ばかりが目立った気がいたします。消費税でもTPPでも原発問題でも、相手の意見を聞くというより、自分の意見だけが正しい、という主張のもと、妥協のない争いに終始した感じがしております。残念ながら、これだけが正しいという意見は、この世の中にそう多くはないと思います。それだけに、お互いに相手の意見を聞きながら、みんなで熟議を重ね、できるだけ多くの人が納得できる道を探り、そして決断すればしっかりと行動していくという、民主主義の持っている本来の知恵を活かすことが必要なはずであります。対立しているだけでは何も生まれることはありません。相互に交流し、話し合い、理解し合う中で、責任を委ねられた者が決断し、前に進んでいかなければならない年であります。

 京都では、これまでから、京都ジョブパークや京都式地域包括ケア、京都産業育成コンソーシアムなど、京都府・京都市協調のもと、何事にもオール京都体制で解決に当たってまいりました。また、3千を超える事業が「地域力再生事業」で行われたように、府民の皆さんに大変な力があります。「公募型安心・安全整備事業」には、7千を超える提案がありました。私たちにはオール京都で行動できる歴史と知恵があります。どんな対立にも、最後は全員が一致して、すべて力を合わせて取り組んでいくことにより打開できる大きな下地があります。これがまさに京都の力であります。今年は、この「オール京都」を合い言葉にしていこうではありませんか。
 まずは、災害から府民の生命と財産を守るために、国・府・市町村が力を合わせ、消防団をはじめとする府民の皆様と力を合わせ、防災・減災に取り組み、そして、府民の皆様にも自宅の耐震に力を入れていただくなど、普段から予防や避難に関心を持ってもらいたいと思います。
 また、昨年、大津市の中学校で問題となったような深刻ないじめや、さらに児童虐待、自殺防止などについて、家庭と地域、学校、市町村や教育委員会、警察、みんなが子どもたちを見守る中で、取組を進めていきたいと思います。
 さらに、リーマンショック以降続く厳しい経済・雇用情勢の中、求職中で生活にお困りの方への生活と就労の一体的な支援をしっかり行いますので、若い方々も仕事を探すのを諦めずに、がんばってもらいたいと思います。
 医療についても、府民の皆さんが安心して医療を受けられる環境整備を進めていきます。府民の皆様も、がん検診の受診や予防に全力を挙げていただき、そして、オール京都による地域包括ケアシステムの充実により、高齢化が急速に進む中、誰もが住み慣れた地域で生涯にわたって健康で安心に暮らしていけるようにしていこうではありませんか。
 少子高齢化や人口減少の厳しい時代だからこそ、私たちは力を合わせていく事業、例えば、「地域力再生プロジェクト」や「共に育む命の里事業」、「明日の京都村づくり事業」など、府民協働をさらに盛り上げていこうではありませんか。

 上田正昭先生は、「共生」という言葉を「ともいき」と読むだけではなく、「ともうみ」とも読むのだとおっしゃっておられました。男性と女性、障害のある方とそうでない方、お年寄りと若い人、過疎のまちに住む人と大都市に住む人、私たちが住んでいる社会は、いろいろな人がいろいろな地域で一緒に暮らしています。こうした人と人とが、ただ共に生きているだけではなく、共に新たな力を生み出し、明日の京都づくりへとつなげていかなければなりません。
 日本全体が大きな構造変化に直面し、数多くの課題が続出する時代に、この転換期に、時代の先頭に立ち、京都の未来を切り拓いていくためには、この京都こそが持っている、京都でなければ持つことができない、京都力を発揮していかなければなりません。
 その力は、文化の面でも、エネルギーや環境の面でも、発揮していく必要があります。国民文化祭を成功させ、「古典の日」の成立に結実した力を、さらにパワーアップさせ、そして、私たちの次世代に、この豊かな文化を引き継いでいきたいと思います。

 この3月には第二外環状道路が完成し、京都縦貫自動車道と名神高速道路が直結いたします。そして、平成26年度には、京都府長年の悲願であった京都縦貫自動車道が全線開通します。長い間懸案だった地理的・時間的な不均衡も、次第に解決されつつあります。必死につくり上げてきたこうした土台をもとに、企業を育成し、貿易を拡大し、観光を振興し、農林水産業を発展させる。今やらなければ、いつ、やるのでしょう。

2013知事年頭挨拶写真2

今年は、政権交代により、年明け早々にも国の経済対策が決定されるとともに、1月の中旬には補正予算が閣議決定される見込みであります。京都府におきましても、対応する施策を短期間に講じる必要がありますとともに、並行して平成25年度当初予算の編成も進めていくことになり、職員の皆様には年始早々から御苦労をおかけすることになります。
 職員の皆様にお願いをしたいと思います。決断しなければ何も起こりません。実行しなければ、どこからも文句が出ないかもしれません。何事も、前進しようとすればするほど抵抗が生まれてきます。進めば進むほど向かい風になってまいります。しかし、私たちは大きな構造変化の中で、後ろに下がることはできません。後ろはまさに崖であります。苦しい時代に決断せず、実行もせず、前へも進まなければ、風に流されて後退し、落ちていくだけであります。そして、流されていけば、遅かれ早かれ京都府も、京都府庁も未来はありません。挑戦をして、前に進んでいかなければならない時であります。

 京都大学の山中教授は、ノーベル賞授賞式を前にした会見で、「仮説と異なる思いがけない実験結果が続いた。その実験結果がなければiPS細胞はできなかった。予期せぬ結果こそ、新しい発見やブレークスルーのチャンスだ」と語られました。私にも、「まさに大航海時代のように先の見えない中で、勇気を持って乗り出したことが大きな成果に繋がったんだ」と述べられました。
 私たちは今、海図のない、誰も経験したことのない時代にいます。誰も教えてくれない未来へと進んでいるのです。現場を見ましょう。現地に赴いて、現実を直視しなければなりません。その中で、お互いに支え合い、助け合いながら、府民のために全力を尽くして前へ進もうではありませんか。それが私たちの仕事であり、責任です。もう一度、皆さんの日々の仕事を見直し、みんなで考え、果敢に課題に向かい、そして、一つ一つの物事をしっかりと解決していくために、行動をしてまいりましょう。
 そのためにも、身体には気を付けていただきたいと思います。大勢の職員の皆さんが、健康の問題から道半ばにして挫折したり、実力を発揮できない状況にあります。どうか皆さんには、健康に注意を払っていただくとともに、職員同士で話し合い、目指す方向を共有しながら日々力を合わせ、支え合って仕事に取り組んでいただきたいと思います。そして、御家族や友人との絆を大切にし、多くの人と交流をして、ともに京都の明日を確かなものにしていこうではありませんか。

 私どもの国は、今、大変困難な状況にありますが、前例に絶対とらわれない目でしっかりと未来を見つめ、全ての府民の皆様とともに、明るい希望に向かって進みましょう。
 不確かな未来だけに、進んでいけば進んでいくほど蛇行もあるかもしれません。巳年でありますけれども、私は蛇行を恐れません。ヘビに後退はありません。ヘビは後ろに下がることはできません。巳年に、皆さんとともに前進することができることを願い、新年の挨拶とさせていただきます。

  御清聴ありがとうございました。

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