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インターネット知事室 知事の発言-第10回京都雇用創出活力会議

第10回京都雇用創出活力会議

出席者
山田 啓二  京都府知事
門川 大作  京都市長
森川 善樹  京都労働局長
細田 一三  連合京都会長
武田 一平  京都経営者協会会長

挨拶

山田 第10回になります京都ならではのこの雇用創出活力会議、オール京都によって京都にしっかりとした雇用を定着させ、その中で地域を盛り立てていこうという試みです。おかげで最近景気の動向については、かなり明るさが見えてまいりました。いろいろな数字を見ましても、非常に良い数字が出てきております。特に雇用関係につきましては、ついに有効求人倍率が0.9を超えていくということでありまして、そうした点からみますと、かなり回復というのは順調に進んでいるのではないかなと思っております。
ただその中において、心配しておりますのは、全体としてそういう形で進んでいるのですが、それがやはりまだら模様であり、非常に格差がその中で出てきているのではないかという問題であります。
つまり、ある程度企業の中で、非常に好調なところもありますけれども、中小企業においては、逆に原材料の高騰の問題や電力料金の値上げの問題等によってコスト高に直面をして、厳しい状況に直面をしているところもあります。
また、経済の良いところと悪い地域が偏っておりまして、やはり東京や愛知やそうしたところの景気回復状況は非常に良いのですけれども、日本海側とか過疎高齢で苦しんでいる地域が、この恩恵を受けているかというと、そうでもないという現状があります。その中で、特に私たちが注目をしなければならないのは、有効求人倍率は回復したのですが、逆にその中において非正規雇用は増え続けているという現状であります。つまり、景気回復はしているのだけれども、雇用の安定性という観点からすれば、決して安定した雇用体制が確立される方向には進んでいないということでありまして、これから日本が持続的な経済成長を遂げて、経済大国の軌道に乗っていくためには、こういう面においても、もう一段私たちは施策を考えていかなければならないのではないかなと思っているところであります。
本日は、こうした現在の経済情勢・雇用情勢を踏まえて、今後の京都における雇用のあり方について、是非ともみなさんと積極的な議論を展開させていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

内容

山田 状況としては、雇用情勢は回復してきている。ただし、その中において非正規の率が高まってきている。特に、京都の場合は全国でも3番目に非正規雇用率が高いという現状にあります。
ただ、これは説明がありましたように、京都の場合は大きな特徴が二つありまして、1つは学生が多いということです。15万人という、全国で人口比率1番多い学生を抱えていて、我々もよくいろいろな飲食店に行きますと、ほとんど働いている人は学生さんだというようなことに出くわすわけです。
これは、ある面では学生の皆さんが一生懸命自分で学業のための費用を稼いだり、生活費を一生懸命やっている、またはいろいろな活動費を稼いでいるということは、それなりに意義のあることだと思っているのです。
ですから、これを否定する必要はないと思うのですけれども、これが一転、京都の非正規雇用率を高めている。もう一つは、京都の場合はやはり観光地でありますので、宿泊・飲食業が多い。ここも圧倒的に、実は非正規雇用が多いところでありまして、この割合は大変高いものがあるわけです。
それに対して、本来正規雇用率の高い製造業の分野というのは、全国平均を下回っている。
こうした状況が、やはり京都の非正規雇用率を高めている大きな要因になっていると思っております。
ただ、こうした要因を除いても、やはり高い部分があるのではないかということと、特にこれから若い人たちがキャリアを積んでいかなければならない。この資料の中にはないのですけれども、これを年代別に出してみますと、またちょっと深刻な数字が出てくるのではないかなと思っております。特に大学を卒業したり、高校を卒業した人たちが、非正規によってキャリアを積めないままに年齢を重ねていく。これが逆にもう1つの大きな問題である少子化問題とかにもつながっていっているのではないかということでありまして、このあたりに対して私たちは、やはり1つ大きな目標を掲げて雇用対策を講じていく必要があるのではないかなと考えております。
そうした点から、有効求人倍率がリーマンショック前に回復した今を捉えまして、新たに正規雇用について、一定の目標を掲げてしっかりと歩みを進めていってはどうかということを中心に、今雇用対策についての説明があったわけです。これにつきまして、皆様方のお考えを伺ってまいりたいと思っております。それぞれいろいろお考えがあると思いますので、順番にお話をお伺いしたいと思います。
まずは、連合京都の細田会長さんからお願いいたします。

細田 基本的には、やはり正規雇用をきちんやっていくというのは必要なことだと思いますし、方向性としてなんら間違いはないのではないかと思います。 
やはり雇用の原則は、期間の定めのない直接雇用というのが基本であると思っていますので、そこらへんをどういうふうにしていくかということでは、ほぼ問題はないと思っております。
また、これからの雇用という意味から言うならば、今京都の場合でも製造業というのはかなり少なくなってきておりまして、どちらかといえばサービス業が3分の2以上になってきている、製造業は3分の1以下になってきているということを考えるならば、やはりこれから医療・介護、子育て、環境エネルギーとかそういうものに、やはり第6次産業というものに集中をしていく必要があるのではないかなというふうに思っております。
全体を通じて基本的には、京都府の考え方に私は賛同させていただきたいというふうに思いますが、一にお願いということがあるならば、それぞれ雇用に対する助成金が1人50万円出されると聞いておりますが、これの支払い方の問題で、要は入社をしたから50万円ということではなくて、直接雇用、正規雇用を求めるのであれば、極端に言ったら、入社をされたときに60%くらい、そして1年、1年半経ってから残りの40%を払うというふうにしないと、入社してすぐに辞められた時点で、本当にそういうものは良いのかどうかということは少し考えていく必要があるのではないかということが1点ございます。
それから労働環境がこれから大きく変わっていく中で、非正規が増えていくということは間違いないと思いますので、少し、できるかできないかは別にして、支払いのあり方というのは、少し考えていく必要があるのではないかと思います。それから、確認事項の1ページ目にありますように、関係機関について基金事業で得られた成果、事業、ノウハウ継承、府民サービスとして必要な事業の予算確保等ということで、成果、事業のノウハウということになりますと、正直言って、雇用基金がほとんどなくなって、新しい基金を求めていくわけですけれども、ジョブパークの中で、京都府としてその事業の継承というもの、成果というものが京都府職員の皆様方にあるのかないのかというところが、少しクエスチョンのところがあるのかなと。今はある程度業者に要請をして、業者でやっていただいているので、業者には、私はノウハウがいろいろあると思っているのですけれども、本当に京都府全体としてそういうノウハウがあるのかないのか、このへんは少し考えていく必要があるのではないかな。今後のジョブパークの運用を含めて、やはり京都府自身がノウハウを継承できるような対応というのが、これから必要になってくるのではないかなと思います。障害者雇用は、あえて特例子会社、なかなか難しいところもあるかと思いますが、これは前から提起させていただいておりますように、中小企業が何社か集まって障害者用の子会社を作っていくということが、これから大切になってくるのではないかなと。今1社に特例子会社を作れと言ってもなかなか難しいところがありますので、それはやはり、いくらかの企業がお金を出し合い、障害者雇用をお互いがやっていくということを考える時期になってきているのではないかなと思います。あと、ちょっと飛んで申し訳ないのですけれども、介護・福祉関係から言えば、これからそれを育てる学校等々も京都市内という意味ではなくて、京都府全体とするならば、北部を含めて南部も含めてどういうふうな形にしていくのかということも1つ大切なところになってくるのではないかなと思います。以上です。

山田 ありがとうございました。雇用助成金の方は、またあとで労働局長さんにお話をお願いしたいと思っております。確かに雇用基金がなくなるというのは、我々にとりましても、大変厳しい状況が予想されると思っておりまして、その中で、逆に戦略産業雇用創造プロジェクトが採択されたということは非常にありがたかったなと思っております。そうした問題も踏まえて、今後オール京都でのノウハウを蓄積していく方法を考えていかなければならないのではないかなと思いますけれども、続きまして経営者協会の武田会長さんお願いします。 第10回写真1

武田 新政権になりまして、3つの政策が出されました。その成果が徐々に出だしたかなということで、景気も徐々に回復基調にあり、それが雇用にも反映されているというのが実態じゃないかなと思います。その中で、今山田知事のお話にもありましたように、京都の実態は、良いところと悪いところがある。まさにまだら模様だと思います。特に良い面というのは、やはり円安、格安のLCCといった格安航空券が出るということで観光産業が活性化してきた。それがまた京都では先ほど話が出ておりましたように、宿泊施設、あるいは飲食企業、その他サービス業の活性化に寄与しているのではないかなということですね。
それから、残念ながら今も話がありましたように、製造業については、まだ大きく浮上せずというようなことですね。こういったことが先ほど話の中で非正規雇用は増えているけれども、正規雇用は増えていないというような状況につながっているのではないかなと思っています。特に製造業でも大手についてはグローバルの市場を相手にしているということで、やはり円安の恩恵ということがありまして、企業の業績自身はかなり回復してきているのではないかと思います。
ただ、円安のデメリットといいますか、その中で燃料費、あるいは原材料の値上がりがしているということで、それをまた価格に転嫁できないということで、中小企業の方々の苦境が続いているというのが現状ではないかなと思っています。 
雇用問題については、私は大きく2つの問題があると思います。いろんな雇用政策を出すということを今回検討して、非常に良いことだと思いますけれども、その中で肝心要の雇用するに当たって、企業が活性化しないことにはどんな政策を出してもなかなか雇用の成果は出てこないと思います。やはり、いかに企業を活性化させていくか、成長に向けて導いていくかというのが、1つ大きなポイントになると思います。
そういった意味で、政府の方も第3の矢ということで成長戦略というものを出しておりますけれども、国と官民公学一体になって、この成長戦略に沿った政策を打ち出して企業を活性化していく、あるいは新たな企業を創造していくことが必要です。
先ほど連合の会長からもお話がありましたように、新しい分野、エコの問題、エネルギーの問題、ライフサイエンス、あるいは医療の問題ですね。こういった新しい分野に取り組むことによって成長する分野はたくさんございますので、我々企業もこういったところに焦点を合わせながらやっていくということが必要なのではないかと思います。
もう1つは、教育の問題だと思うのですよね。教育の強化。いろんな意味でスキルということも必要だと思いますが、私は基本的な面での学校教育についても検討していく必要があるのではないかと思います。日常の動きを見ていますと、働くということに対する意義だとか、働くことの楽しさだとか、働くことを通じて自分が成長していく、あるいは自分が働くことによってチームの人たちの、仲間にも貢献していくとか、あるいはそれが家族、社会一般と広がっていくわけですよね。そういった基本的な教育というのが、何となく欠如しているような気がします。こういった抜本的なことも、当たり前のことなのですけれども、再度見直していく必要があるのではないかと私は思っています。
それから、非正規と正規社員の話ですけれども、一概に非正規が悪で正規が善だというような決め付け方というのは、若干難があるのではないかと私は思っております。基本的には労使双方にとって、企業も非常に厳しい環境の中で戦っているわけですよね。ですから企業としての競争力をつける必要もある。
それと同時に、働く人たちの働き方の形態であるとか、選択肢も増やしてやっていくということも必要ですから、そういう中で、例えば限定社員制度とかこういったことも検討されておりますけれども、働く形態の多様化というものの取組ですね。それと同時に成熟産業から成長産業に移っていく中で、労働の移動というのがなかなか難しいのですけれども、これを失業なき労働移動というか、そういった形で、もちろん労使双方の納得の上で、セーフティネットもしっかり整備した中で、そういったことがスムーズにいけるような体制の取組というのも必要なのではないかと考えております。

山田 ありがとうございました。企業の活性化、成長戦略については、国の戦略産業雇用創造プロジェクトというのは、まさにそういうところを目指したものであると思っております。今様々な成長戦略が国からも提示されておりますので、それを私たちはやはり地域において、どれだけ上手く、格差無く、まだら模様無く、特に中小企業を中心とした活性化が実現できるかということについても考えていかなければならないなと思っております。
教育の問題は非常に難しい問題で、ジョブパークにおきましても今年カレッジをつくって、まずコミュニケーションとか社会的に働くことに対する意識改革をしていかなければならない現状というのは、一面情けないというか厳しいものがあるなと思っておりまして、そうした中で、若い世代に対して働くことに対する意義や意識というものを、早いうちから植え付けていくような教育の必要性については行政としても深刻に考えていかなければならないと思います。正規・非正規の場合は本当におっしゃるとおり、非正規が悪とかそういうわけではないと思っております。
ただ問題なのは、非正規が今急速に増え続けている、特に若い人たちに増え続けていること。それから正規を希望する人が2割以上いるのだけれども、なかなか正規に就けないまま年を重ねていくこと。こうした問題については、やはり手を打っていかなければならないのではないかなと思っています。それから非正規の間の格差の是正ですね。こうした問題もやはり議論されていかなければならないと思っております。
特にちょっと気になっておりますのは、前は派遣の制限という形で国は動いていたのですけれども、今回どちらかというと、拡大ということで流れがでてきているような気がしておりまして、そうした面からすると、非正規に対してまた拍車がかかるのではないかということを心配しております。そうした面からすると、ある程度それに対する措置を打って、バランスをとった形で正規、非正規がきちっとでてくるような形というものを、やはり我々は目指さなければならないのではないかなと考えているところであります。
それでは続きまして門川市長さんからよろしくお願い致します。

門川 京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクトが、全国11地域で採択されましたけれども、府県と政令市が一体となって取り組むというのは京都だけなので、これは非常に良いことでありますし、しっかりと連携してやっていきたいと思っています。都市の未来、あるいはまちづくりは、すべて安定した雇用の創出であると言っても過言ではありません。もちろん非正規雇用を希望しておられる方は良いのですが、正規雇用を希望する人を正規雇用につなげ、安定した質の高い雇用を創っていくということが、その都市、自治体はもとより、日本の未来にとって非常に大きなことです。
麻生副総理が先日おっしゃっていましたが、ある地方都市で、給料はそう上がらなくても良いからと安定した正規雇用にしてもらったら、結婚する人が増えて人口が増えだしたとのことです。
非正規雇用では先の見通しが立たないために、結婚してまた次の世代を育むということの大きな阻害要因になっているのだと思います。
京都の未来のためには、京都の企業の99%を占める中小企業が元気になり、安定した雇用を確保していくことが必要です。昨日、建設関係の人何人かとお話ししたのですが、「ちょっと良い風が吹いてきた、ありがたい。しかし、しんどい時、厳しい時にどんどん建設業界で働く人を減らしてしまったので、企業にせっかくのチャンスを活かす体力がない。建設の仕事で安定的、継続的に雇用できる見通しも立ててほしい」という話をされていました。やはり、人材というのが一番大切であり、そのためには安定した雇用が大切であると実感しています。
その他の産業を考えても、観光も非常に大事ですし、介護・福祉・保育等も大事です。新産業を創出していくことも大事です。
本市では、ここ数年、新たな企業立地の支援制度を強化してきました。平成22年、23年の支援件数はそれぞれ7件、8件でしたが、昨年は14件と過去最高になりました。今年は7月までに7件を支援しており、このチャンスに京都の強みを活かした企業立地を促進していきます。そのことが雇用の創出にもつながりますので、今後も東京で外資系企業へ「どうぞ京都で生産拠点なり研究所を作ってほしい」というプレゼンテーション等をやっていきたいと思っております。
本市経済の大きな要素である観光ですが、観光関連業界は非常に非正規労働者が多く、京都の高い非正規雇用率にも大きく影響しています。日本の観光は100日黒字の200日赤字という体質です。日本のものづくりの労働生産性は、先進国の中でも世界トップ水準です。しかし、観光を含めたサービス業の労働生産性は、他の先進国の半分程度であると言われています。
北海道旅行が2泊3日で3万円ぐらいと考えられないような価格設定があります。そこで人が働いているにも関わらず、ディスカウント、過当競争でなんとか元気にしようと思っている。ところが、そういうことをすると、正規労働者に辞めてもらって全部パートにしないとやっていけません。こういうことのために、この20年間非常にしんどい状態が続いています。
その中で、京都は修学旅行でもできるだけディスカウントをせずに、修学旅行生を93万人(平成9年)から111万人(平成24年)まで増やしてきました。業界の質を高めて、そこで働く人の雇用の安定化を図り、労働の質も高めて発展させていくというモデルケースもあります。
別の取組として、国際会議等MICEをしっかりと受け入れていく、また、観光にラグジュアリー層を取り込んでいくことに力を入れています。これまでから手頃な料金で泊まれる宿泊施設は随分充実してきています。ただ、世界には、観光のために1年間で1億円使う人が10万人おられるが、現状では、そういう人はほとんど日本に来ていないという状態です。そこで、ずっと誘致してきた富裕層向けの旅行商談会「ILTM(インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット)」をようやくこの3月に京都で開催することが出来まして、来年も京都で開催することになりました。こういう取組に力を入れると、金持ち対策をやっているのではないかと言われるのですが、決してそうではありません。こうした顧客を満足させるには、京都の観光関連業界で働く人達が、高い水準のサービスを提供でき、また、その質を継承しなければなりませんが、そのためにはパートの方だけではなく、安定した雇用による人材の育成が求められます。そのためには、大学で心理学も学んだような人も働くというような環境づくりをしていきたい。このように思っております。
京都でこの1月から3月まで、質の高い観光、満足度の高い旅館・ホテル・飲食店を目指す「京都観光経営トップセミナー」を京都大学等と一緒に実施し、次世代の観光業界を担う方々に、人材育成、経営マネジメントなどを学んでいただきました。
 「教育は人なり」ということを、私は教育委員会時代言っていましたけれども、「観光もまさに人なり」、人をしっかりと育てていく、パートとか派遣労働者だけでは観光業は成り立たない、ということを訴えながらやっていきたいと思っています。
さらに商業・サービス業の分野において、KSKチャレンジャー「京のあきんど」育成サポート事業や京都市ソーシャルビジネス支援事業に取り組み、雇用の場づくりを進めてまいります。
次に、生活保護ですけれども、これも教育との関係が非常に大きいものですが、現在、稼働年齢層の生活保護が増え続けているという問題があります。
それでキャリアカウンセラー等による就労支援対策等々いろいろなことに取り組んできましたが、本日、労働局から森川局長もお越しですが、労働局さんと連携し、昨年12月から西京区役所洛西支所、伏見区役所醍醐支所、ひとり親家庭支援センターの3ヶ所で、ハローワークと一緒に就労支援に取り組んでおります。ハローワークに縁のない人が区役所の支所には来られます。開設から4ヶ月で200名が利用されましたが、そのうち今までハローワークに行ったことがないという人が139名もおられました。また、利用者のうち30%にあたる60名が就職につながりました。大変大きな成果だと思っております。
さらに、国にお願いしまして、新たに中京、山科、南、右京の各区役所に来年1月から4か所同時開設していただくことになりました。働ける年齢である人が働くことに意欲を持てる場を作るということが、生活保護から脱却して自立していく道につながる、こういう取組を続けていきたいと思っております。
京都の生活保護受給率は高いのですけれども、この間、様々な取組をしておりまして、この5年間の生活保護の増加率が、全国の政令指定都市では143.7%に対し、京都市は124.8%にとどまっており、生活保護の増加率は最低となっております。平成25年4月以降はほぼ増加しておらず、ここでもうひとふんばりしなければならないと思っています。
障害者の雇用ですけれども、京都市障害者就労支援推進会議に、京都府も国も入っていただき、障害者の施設から一般就労への移行者数年間50人を目標に取り組んできました。平成21年度は28人でしたが、昨年度は98人移行できました。やはり、それぞれの立場の人が連携して取り組んでいけば結果は出るということを実感いたしました。今後も、共に頑張っていきたい、このように思います。
最後になりますけれども、武田会長からも教育が大事だというお話がありましたが、その通りであります。子供の時から学校や家庭、さらに地域も含めて働くことの意義、これをしっかりと教えていかなければならないと思います。 
京都の経済界、労働界から支援をいただき、府庁前の元滋野中学校に「京都まなびの街生き方探究館」というものを作って、子どもの頃から働くことの意義を考えていく取組も更に充実していきたいと考えておりますので、経済界や労働界の皆様にも、引き続き御支援をお願いいたします。できたら次回の会議は生き方探究館で開催し、ご覧いただき、課題も指摘していただけたらありがたいと思っています。
私からは以上です。

山田 ありがとうございます。今、雇用の問題をずっと議論しているのですけれども、雇用の問題を含めて大きな課題が今市長さんから提起されました。
1つはやはり少子化の問題でして、これも実は京都は大変厳しい状況にあります。出生率でいくと東京に次いでワースト2位という状況にあります。これも実は京都の特殊要因が一つありまして、やはり大学が、学生が多いということです。したがって、どうしても京都市さんが低く出る。京都市以外では1.40ですから、全国平均の1.41とそんなに変わらないのですけれども、やはり女子大生の数が7~8万人いるという京都市内においてはかなり低く出てしまうというのが現実です。
ただそれでも1.4という数字は、今の状況を維持できる数字ではまったくないのでありまして、今の日本を維持しようとすると2.07必要ですから、これは非常に厳しい数字になっているわけです。
今15歳以下の人口というのは1,600万人なのですけれども、これは明治40年と一緒なのですね。問題は、明治40年の時は65歳以上人口が260万人だったのですけれども、今は2,900万人いるということでありまして、本当に社会の構造自身が大きく変わっていく中で、この問題の少子化いうのは我々に大変厳しい課題をつきつけている。
その中において、家庭を営む自信がないとか、なかなか将来に希望が無い中で、結婚できない若者が増えていくということだけは、容認できない問題だと思っておりまして、少子化という観点からも私たちはやはりその問題に対応していかなければならないと思っております。
それから人づくりの重要性についてお話がありましたけれども、この問題は本当に我々が一番重要視をしていかなければならない問題ではないかなと思っておりまして、生活保護の問題とも連動してくる問題だと思っております。
稼働層が生活保護という中で、明日に希望を持てないとなってしまうような形になってしまうと、地域全体としては大変なマイナスであると言わざるを得ないと思います。
雇用の基金が今回ほとんど年限が終わってしまうのですけれども、私どもは知事会等を通じまして、それを是非とも少子化突破ですとか、女性の創造的活用ですとか、人づくりの方に振り向けてくれないか。これがやはり地域において大変な問題を生んでいるのだということをずっと言い続けてきているのでありまして、この会議からもそれを是非ともやっていきたいと思っております。
障害者につきましては、非常に大きな成果をあげていただいておりまして、京都は安定して全国平均を上回ってきています。ただ問題は今度2.0にまた上がりましたので、我々はもう一段階ギアをいれていかなければならないということで、更なる取り組みをしていかなければならないと思っております。
是非とも次回のこの会議は、会場を今お話のあったところに移してやらせていただきたいなと思います。
今度は労働局長さんにお願いしたいと思います。 第10回写真2

森川 まず細田会長さんの雇い入れの助成の話につきましてですが、2種類ありまして、障害者等を雇い入れる場合、あるいは非常に雇用情勢が厳しい場合に、雇い入れる時の助成につきましては、すでに雇った段階ではなく、半年後、1年後というふうに分ける形にしています。
御指摘が主にトライアル雇用ということで、試用雇用をした時に月4万円でるという仕組みがございまして、そこの部分だろうと思っております。確かにそれは結果として雇い続けようが続けまいが、最初の段階でいろんな費用がかかるという名目で出るような形になってますので、御指摘のような課題はあると思っています。最近では、むしろ新しくできている助成金の方にシフトしているような状況です。
最近できた助成金と言いますのは、まさに非正規雇用の方を正規雇用の方にキャリアアップしていただく、そこではきちんとOJT、OFFJTを組み合わせた訓練を行う。結果として、一足飛びに正規ということではないにしても、まず有期雇用を無期化する。その段階でも出るような形にはなっています。
いずれにしても24年度の補正の予算は経営者協会の御協力も得まして周知した結果、全部使い切ってしまいまして、25年度の予算もすでに100件くらいでていると。非正規の正規化について、もちろん私どもも含めまして、就職の入口で正規化することが望ましいのですけれども、なかなかそれだけでは難しい面もあろうかと思いますので、そうしたキャリアアップ助成金、訓練だけではなくて処遇を改善した分についても助成が出ます、そういったものを十分活用して京都府内の正規雇用率が全国平均近くなるように、私どもとしても努力をしてまいりたいなと考えています。
全体として御提案いただいている雇用の質に着目している施策、特に手法として人づくりを強化していこうという方向性につきましては、知事も市長もおっしゃていますように、中長期的にはやはり少子高齢化、人口減少、そういう中で地域経済の活力を維持しようというためや労働生産性を上げていかなければならないということもございますので、やはり能力開発は必要だろうと思っております。
短期的にみましても最近求人倍率が上がってきますと、登録している求職者の中で、カウンセリングだけで就職できる人はだんだん減ってくるわけですね。 
就職困難者が残ってしまう。そういった部分を就職に結びつける上で人づくり、能力開発というのは非常に大きな、重要な、有効な手段だろうと、私も思っております。そういう意味では、まさにタイムリーな段階で打ち出されているのではないかなと思っております。
それから非正規につきまして、私も着任したときに、京都は非正規雇用の割合が高いなと思っておりまして、それを学生のせいだと思って見過ごしそうになっていたのですけれども、よく見てみますとアルバイトというのはどんどん減っているのですね。それ以外の契約社員、有期雇用の方とか増えていますし、産業構造の話はありますが、産業ごとにみても全国と比較してちょっと高いという問題がありますので、先ほどのキャリアアップ助成金等を使っていただくように周知していく必要があろうと思っていたところです。
1点人づくりについて、ちょっと専門的な話になりますけれども、公共職業訓練という大きな木があって、その後、求職者支援という主に雇用保険受給者、受給できない方が受けるような訓練と2本立てになっているのですけれども、実は2本立てになっているがゆえに、例えば、雇用保険受給者が求職者支援訓練を受けようとすると、実は結構給付の面で不利益が出る、ということで公共で適切な訓練がないと、その方たちが実質適切な訓練を受けられないということになってしまっている。
本当に制度設計上の問題だとは思っているのですけれども、この点なんとかならないのかなという思いがありまして、そういう観点から、よく府、独法の機構の方と調整をして何かできないのかな、と思っております。
最低でもそれぞれ地域の職業訓練計画というのは立てていると思いますので、そこの調整はもっと綿密にやる必要があるのだろうなと感じているところでございます。
それからお話いただいている中では、御説明があった中で業務改善助成金、中小企業の生産性を上げるための上限のための費用、その点、私ども審議会で答申も頂戴しておりますので、従来から本省の方にはお願いしていたところなのですけれども、改めましてこの点もしっかり伝えてまいりたいと思っております。
加えて「わかものハローワーク」というのが、今、東京・大阪・愛知に3ヵ所ございまして、そこで若者と言っても45歳までなのですが、いろんな支援メニューを加えてやっているところでございます。26年度予算についてはこれを広げるという情報がございますので、京都労働局としても是非こちらのほうへ誘致をして、出来ればジョブパークの方へ設置することによって、より効率的・効果的な就職支援に繋げられればな、と思っているところでございます。 
北部のマザーズ関係につきましては、私どもが持っている部分につきましても、サテライトの移転に伴いまして、これもそちらの方に集約するような形で考えてございます。 
私の方からは以上でございます。

山田 ありがとうございます。やはりキャリアアップの助成金の話なのですが、非常に人気があってでていくという話でありますので、我々からすると単なる有期雇用とか無期限雇用ではなくて、正規雇用の方を優先していくような形でもう一段階ギアを上げていただけないかなと。予算に余裕があって全部いけるのです、というのならそれで良いのかもしれないけれども、予算に限りがあってなかなかという話であると、できるだけその中で質の高い雇用に結びつくような運用というものを期待したいなと思っております。それから公共職業訓練とそうした観点の問題というのは、それぞれが今持っている分野でございますので、もう一度全体の調整を図って京都ならではの体系化を図れるようにお願いをしたいと思っておりますし、業務改善助成金の話は是非とも国に伝えていただきたいと思います。
それから「わかものハローワーク」については、先ほどから話がありますように雇用の基金が厳しくなる状態の中で、ジョブパークの自身のあり方をどうしようかという問題が出てくるときに、我々は「わかものハローワーク」に対しては大変大きな期待を抱いております。今まで以上に国・都道府県・市町村・経営者・組合が力を合わせていく体制をとれるという京都の良さを維持していくためにも、ハローワークの誘致の方を是非とも局長の方でも一生懸命やっていただきたいとお願いをしておきたいと思っております。局長の立場はここで雇用政策を一緒になって決めていくということと同時に、国に対して一番ものを言っていただくという立場にありますので、いろいろな面で話が出て申し訳ないのですけれども、よろしくお願いをしたいと思います。
今ひととおり御意見が出たわけですけれども、最初の御意見の中で言い足りなかった点とか補足をしたいような話がありましたら挙手を願いたいと思いますがいかがでしょうか。
では、細田会長さんお願いします。

細田 京都と考えたときに、北部サテライトをこれからやっていくのですけれども、北部に対して雇用という面からみれば、やはり働く人がかなり人員的に少ない。結局、福知山にしてもどこにしても兵庫とか大阪から人が来て仕事になってしまう。
北部はこれから舞鶴含めて、外国船とか観光客が入ってくるわけですけれども、やはり北部の雇用ということを少し真剣に考えていかないと、どうしても京都市内中心になってしまって、北部でも企業また雇用をどうするかということがこれから大切なところでないかなと思います。特に働くところがなかなかないということもありますし、しかし、これから「海へ」を含めていろいろな対応を図っていかざるを得ない、そうしないと雇用が生まれてこないと思いますので、少し北部に対するサテライト含めて期待を申し上げたいと思っています。

山田 そうですね。我々も、北部のサテライト、またはマザーズジョブカフェ、こうしたものを充実させていかなければならないなと思っております。
京都府の戦略としては、やはり海のある、まさに外国に開けている、外国から直接京都に来ることが出来る唯一の地域が北部でありまして、コンテナとかそうしたものも含めて物流、人流、そうしたものを北部に入れて、それが京都縦貫自動車道を通って京都市内に行く。さらには京都市の南部から学研にかけてのイノベーションベルト地帯に新しい産業が続くことによって、南北地区が確立することによって、京都市を核とした十字型の新しい経済圏が生まれる。というのが、京都を発展させるための唯一の方策ではないかなと思っておりまして、そうした点から北部について、京都府としましても全力でこれから取り組んでいきたいなと思っているところでございます。

山田 確認事項で今回一番大きいのは、今まではどちらかというと常用雇用全体で4.5万人となったのですけれども、その中でも今回は正規雇用をしっかりと目標を出して、「オール京都で正規雇用づくりを進めていく」として、その中において人づくりやミスマッチの解消というものをやっていくということ。
今日もお話がありましたように、一番正規雇用率が高いのは製造業ですので、ここの成長基盤をしっかりと上げていく。
逆に正規雇用の数が一番増えてきているのが、福祉とか医療分野ですので、福祉・医療分野の人材を確保してミスマッチをなくしていく。
それから非常に非正規雇用が多い分野が、観光とか飲食業サービス分野、それから京都の場合の1つの特徴なのですけれども教育関係分野なのですね。
このあたりは、雇用助成金、キャリアアップ助成金も含めて、特に教育分野なんかは単に学生だけではなくて例えばポストドクターとか院生とか、そうした人たち、昨日の新聞でしたかね、博士が仕事がなくて困っているという、その人たちがどこへ行っているかというと塾の講師とかそっちの方に行っている場合があるので、この人たちを正規雇用に結び付けていかなくてはいけない。
観光も安定産業にしていき、それによって正規雇用という分野を増やしていく。弱みを出来るだけ抑えつつ、強みの部分と申しますか伸びていく部分を増やしていく施策をとらなければいけないということで書いたと思います。
その中で、さらに人づくりを進めていくことや、障害者雇用対策の推進、国に対する提案という形で書いているのですけれども、これに対して何か御意見ありますでしょうか。

門川 細田会長から介護と福祉分野の雇用というお話もありましたし、教育の問題も出ていたのですが、京都市では保育所の定員をどんどん増やしています。
当然、保育士が必要になりますが、保育士が足りません。保育士は正規雇用なのですよね。保育士の平均給料は、全国で300万円を少し超えるくらいですが、京都の場合、特に市内は京都市の特別な補助制度等もあり、419万円となっています。それにも関わらず人が足りません。実は京都ほど保育士や幼稚園の教員を養成している学校が集中しているところはありません。現状では、そうした学校の卒業生の7割が、サービス業など他の業種への就職を希望していますが、就職しても必ずしも正規雇用につながっていません。このミスマッチを本当に何とかしないといけません。学生にどんどん保育園に行ってくださいと言ったら、「行ったらしんどいし嫌や」といった答えが返ってきます。
雇用を安定させ、保育の質を高める。こうした条件はあるのですが、今、現場を抱える保育園・幼稚園関係者とお話していますし、教育の問題もあるということで、大学関係者との話し合いもしていきたいと考えています。介護も含めて、社会的に労働力が必要とされている、新たな雇用の場がどんどん拡充しています。労働条件の改善というのは必要ですけれど、そこに挑戦していく若い人を育てていくという仕組みも作っていかなければならないなと思います。

山田 私どもも今補正予算を審議しているのですけれども、また京都市さんの待機児童解消策に対する支援金が今年も出てきているので、その点については、今全国で待機児童解消策に取り組んでいるのですけれども、保育士さん問題というのはこれまた非常に深刻な問題になっている。
それから福祉人材の方も問題になっている。先ほども北部地域での人材育成という話がありまして、今、舞鶴、綾部、福知山の3市で候補地を選定して方向が出てきそうなところになっているのですけれども、両方とも共通しているのは待遇面の問題です。仕事が大変厳しい中での待遇という問題が出てくるので、国を含めてしっかりとした対応をするように努力をしていきたいと思いますが、今日の場合は次の課題とさせていただきたいと思っております。
それでは、この確認事項の案を取らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ではこういう形で、また新しい京都の雇用創出活力会議の政策というものを打ち出させていただきたいと思っております。
以上でありますけれども、特にございますでしょうか。

武田 先ほど細田さんのほうから話がありました北部の活性化の中で、舞鶴港がありますよね、これの利用を促すようにもっとPRした方が良いと思います。
実は弊社も舞鶴港を利用して原材料なんかを輸入しています。いろんな特典があるのですよ。
例えば、当社の場合は韓国から輸入するものが多いのですけれども、1日もかからないで来てしまうのですよね。日数も便利。神戸に行ったり横浜に行ったりしますと4日とか5日さらに増えてしまうわけです。そういったメリットもありますし、コンテナ当たりいくらですとかいろんな補助金もあって、びっくりするようなメリットというものがあるのです。こういったことはあまり京都の企業も知らないのではないかと思うのです。ですからこのへんのPRですよね。
それから、せっかく縦貫道路も出来たわけですよね。ですからそういった面でインフラの整備というのはかなり出来ているわけですから、その良さをやはりもうちょっと知らしめることも重要だと思います。実は私どもも知らなかったのです。そうやっていたら「あー、こんなメリットがあってこんな便利なんだ」と。舞鶴近辺で工場を拡大していければ良かったのに、実はそこから輸入して作っている工場が調子良くて拡大する、これは残念ながら福井県の若狭にあって、そこを今度増強するのですけれど、そういうことを利用したことによってかなりのメリットが出てきて、さらに発展するということなので、こういうことを積極的に企業の方々にPRしていくということも必要なのではないかと思います。

山田 ありがとうございます。確かにずっと我々補助金を出してきまして、はるかに大阪や神戸よりも有利な条件を作りあげてきているのですけれども、それが京都の企業でも知らないということだと大変なことになりますので、部長さんもう一回発破をかけて回り直しをお願いします。ありがとうございました。
それでは、これで第10回の京都雇用創出活力会議を終わらせていただきたいと思います。御協力ありがとうございました。

(以上)

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