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インターネット知事室 知事の発言-平成29年知事年頭あいさつ

 平成29年 知事年頭あいさつ 【動画を見る(外部リンク)

 

 職員の皆様、新年あけましておめでとうございます。

知事年頭挨拶2017_1

 

 また、本日は、植田府議会議長、巽副議長をはじめ府議会の皆様、市町村長の皆様、そして、府政の推進に日頃から大変な御協力をいただいております各種団体の皆様など、多くの皆様にもお立ち会いいただき、心からお礼を申し上げます。

 そして、今日は仕事始めでありますけれども、府民の安心安全を守るために、警察、消防、病院関係者、さらには鳥インフルエンザ等の警戒に当たられた皆様など多くの皆様に、年末年始も業務に勤しんでいただいておりまして、改めて心から感謝を申し上げます。

 さて、昨年は、今まで京都府が積み重ねてきた多くの取組が実を結んだ年でありました。京都を訪れた観光客数は、おそらく史上最高となったと思います。山陰近畿自動車道「野田川大宮道路」の開通によって、京都を南北に貫く自動車道がついに京丹後市に到達するとともに、京都舞鶴港のコンテナ取扱量も史上最高を記録し、外航クルーズ船の寄港も過去最多まで増加いたしました。

 中部地域でも、京都丹波高原国定公園の誕生やモデルフォレスト運動の10周年を祝し、第40回全国育樹祭が開催され、一年を通して「森の京都博」によって賑わったところであります。また、南部でも、学研都市を中心に企業立地が相次ぎ、一時は廃墟同然だった旧「私のしごと館」も、KICKとして7割が稼働するまでに至りました。京都市内については、文化庁の全面的移転も決まり、オール京都による経済センターの建設も決定し、資料館も、京都学・歴彩館へと飛躍を遂げたところであり、亀岡では、スタジアムの建設準備も着々と整ってまいりました。

 今年は、いよいよ、新名神高速道路の城陽・八幡間が完成し、京都を縦貫する背骨となる高速道路によって、北は京丹後から南は木津川までが、40年という月日を経てひとつに繋がる年であります。

 これを期して、海、森と進めてきた「もうひとつの京都」を「お茶の京都」へとつなぐとともに、未開発の地として残された城陽の山砂利採取跡地の整備や、ようやく新しい展開を見せてきた市内での伝統産業の復活、北部の創造センターをはじめとするものづくり産業の新たな展開など、未来を見据えた取組が、今、着実に進展しています。

 教育面でも、中学生の学力の飛躍的な伸びがあり、治安面でも、昨年の刑法犯認知件数はピーク時の3分の1以下までに減り交通事故死者数とともに戦後最少となるなど、本当に各方面における職員の皆様の頑張りは特筆すべきものがあります。改めて、心からお礼を申し上げます。

 私は、数年前、京都の各界・各層のリーダーの皆様と共に、「京都ビジョン」を制定し、その中で、京都の目指すべき未来として「世界交流首都」を掲げてまいりました。

 海、森、お茶、西の京都などの地域創生や文化庁の移転、エコノミックガーデニングによる知恵産業づくりなどのソフト対策、そして京都縦貫自動車道などインフラ整備の仕上げや学研都市の完成など、ハード対策も最終コーナーに入り、「京都ビジョン」は明確にその姿を現してきたと思います

 しかし、こうした明るい未来の一方で、決して見過ごすことのできない社会的な変化が、各地で、世界で起きており、そのことに不安を感じている府民の皆様も多いのではないでしょうか。

 熊本地震や鳥取県中部地震など自然災害は昨年も相次ぎ、平成27年の国勢調査の結果からは、少子高齢化や東京一極集中の進行が改めて確認されるなど、構造的な課題は依然として私たちの生活を脅かしています。

 そして、その中で、子どもの貧困問題、非正規職員と正規職員や女性雇用の格差の問題、急激に進む高齢化と、その進行とともに浮き彫りとなる障害者問題、また、北陸新幹線のルート選定過程でもクローズアップされたように地域間格差の問題など、社会構造のゆがみが顕在化してきております。

 こうしたゆがみは、グローバルな社会の中では一層顕著になり、イギリスのEU離脱やトランプ次期米国大統領の政策をはじめ、各国で保護主義や排外強硬主義的な動きが強まっています。ISなどによるテロは収束の兆しを見せるどころか、この正月も、毎日のように何の罪もない人が命を奪われる恐ろしい事態を引き起こしています。

 日本でも、昨年、神奈川県相模原市の障害者施設で起きた事件や、繰り返されるヘイトスピーチなど、人の尊厳を無視し、他者との共存に背を向けた、様々な争いの芽が出始めていることに戦慄と危惧を覚えます。

 世の中は、いったいこれからどこへ向かっていくのでしょうか。そして、こうした時代の流れに対し、京都の果たすべき役割はどのようなものなのでしょうか。

 私は、京都という地域の大きな責務の一つは、世界の大きな交流の中心として、日本の文化を発信し続けることだと感じています。ようやく基盤が整ってきた今こそ、私たちは、京都の文化とは何か、京都の目指す未来とは何かということを明確に発信していくべきだと感じております。

 これまで京都は、その長い歴史の中で様々な文化を育んでまいりました。京都市内はもとより、丹後王国として栄えた北部、平城京から恭仁京、長岡京と遷都を繰り返しながら、千年の都となる平安京へ至る南部、豊かな森の恵みで都を支えた中部。それぞれの地域が個性を活かし、お互いに支え合って、現在の京都を形作ってまいりました。

 こうした京都の歩みの根底にあるのは、常に多様な思想を受け止め、それを尊重し、よいところを吸収していく文化の土壌であります。

 そもそも平安京は、唐の都・長安を模してつくられたものですが、外国から輸入した文化を日本独特の文化へと発展させることで、千年の都としてその歴史を刻んできた「異文化共生」の都であります。そして、千年もの長い間、都であり続けるという持続性を支えたのが、京都議定書の精神に代表される「環境との共生」であります。

 また、仏教各宗派の本山が多く存在するとともに、日本で最初のキリスト教主義の大学が開学されるなど、多様な思想が共生する京都には、伝統産業から先端産業まで幅広い産業が存在し、お互いに高め合う共生の関係を築いています。

知事年頭挨拶2017_2

 さらに、個性ある47もの大学や世界トップレベルの研究機関などが連携し、お互いを活かし合いながら共に励んでいるところであります。そして、このような土壌のもと、けいはんな学研都市も、文化と学術の共生を目指して、今、花開こうとしています。

 全国各地で地方創生の取組が本格的に動きはじめる中、京都府は新しい「共生」の道を探ってまいりました。その一つである「もうひとつの京都」におきましても、海や森をテーマに、地域に暮らす人々が強く結びつき、お互いを活かし合ってみんなで生きていこうとする新しい「共生の文化」を創り出すことを目指してまいりました。

 今も、門掃きや打ち水、地蔵盆から祇園祭まで、人々が共に支え合う美しい生活文化が京都には残っています。世界に多くの対立が生まれ、お互いに自分が正しいとして相手を排除しがちな現代においてこそ、この「共生の文化」は大きな意味を持つと思います。

 高齢者と若者、障害者と健常者、女性と男性、相手の立場を理解し、共に生きていくための社会づくりが、今、求められております。仕事に邁進したい人、家庭を大切にしたい人、これらは対立する存在ではなく、お互いの思いに沿った働き方を見つけるべきです。グローバルな大企業と地場の中小企業が連携すれば、新しい産業への道が開かれます。開発と環境保護は、対立するものとしてのみ存在しうるのでしょうか。誰もが平和を願うときに、相手を理解し、その中で自分に何ができるのかを考えるという、寛容と融和を体現した社会をつくることは困難なのでしょうか。

 インドの独立運動の指導者であり、インドの初代首相となったネルー氏は、「共生以外の唯一の道は、共に破滅することである」と語りました。私たちは、子どもたちにこうした「共生の文化」をもつ京都を残したいと思います。そしてそのためには、まず私たちの身近な行政から始めるべきです。

 厳しい状況に置かれている人がいます。明日の仕事に悩んでいる人がいます。災害におびえている人がいます。今年はもう、検討するとか様子を見るという言葉は死語にしましょう。検討する、様子を見るとは、今困っている人たちを見捨てる言葉ではないでしょうか。共生のためにスピード感をもって行政を遂行する年に、私はしたいと思います。とにかく実行しましょう。実行しなければ、成功はありえません。皆さんには経験があり、仲間がいます。後は、とにかく早く、とにかく前へと歩みを進めることです。皆さんこそリーダーであり、皆さんこそ実行者であります。全ての施策、全ての行動を、共生という観点からもう一度見直し、京都のこれからを切り開く「共生社会」の実現に向けて、全力で走る年にしようではありませんか。

 目の前に厳しい現実があります。難しい課題がたくさんあります。だからこそ、志を高く持って進みたいと思います。そのためにも、皆さんが心身ともに良好な状態を保っていただかなければなりません。どうか皆さんには、今年も健康に万全の注意を払っていただき、日頃から職員同士話し合い、目指す方向を共有しながら、助け合い、支え合って仕事に取り組み、「共生」を合言葉に一年を過ごしていただきたいと思います。

 今年の干支は「酉」ですが、「酉」という漢字は、酒を入れる瓶を表しており、「果実が成熟した実りの状態」を指します。最初に申しましたように、「実り」は今、実現いたしました。それを成熟させる時期に来ています。これまで培ってきた「交流」と「文化」から生み出される「京都力」を発揮し、共生社会という果実を熟させる一年となるよう心から願い、新年のあいさつとさせていただきます。

  御清聴ありがとうございました。

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