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福知山市の長田野工業団地内にある環境試験機器メーカーのエスペック株式会社福知山工場では、平成25年12月から地産地消の取り組みの一環として、社員食堂で鹿肉料理を定期的に提供されています。鹿肉は、福知山市などで捕獲した鹿を加工されている株式会社アートキューブから仕入れられています。民間企業の社員食堂における肉料理の提供は、非常に珍しく先進的な事例と言えます。
本取り組みの中心にいるのがエスペック株式会社福知市工場 環境管理グループの土田マネージャーです。土田マネージャーは、福知山市出身でゴーヤ先生とともに緑のカーテンの普及にも精力的に取り組んでおられます。緑のカーテンを普及させるため、休みがないほど忙しいとのことでしたが、私達の取材を快く受けて下さいました。
京都府地球温暖化防止活動推進センターなどが実施している「社員食堂で地産地消キャンペーン」の事務局から「鹿肉を社員食堂で使っている企業は未だないので、是非エスペックで使われませんか?」と声をかけていただいたのきっかけです。平成25年12月から2ヶ月に1回、鹿肉料理をメニューに加えています。これまでに「鹿挽肉のキーマカレー」、「鹿モモ肉の赤ワイン煮込み」を出していて、4月24日には「鹿ロースカツ」を提供しました。
「クセがなくて美味しい」 「鹿肉と分からなかった」という声がある一方で、「少し固い」という声も聞かれたので、今後は調理技術の向上も図っていきたいです。
もともとモデルフォレスト運動に取り組んでいたこともありますし、「命を守る森づくり」として関西学院大学と共同で行っているセミナーのプログラムに獣害対策を盛り込みたいと考えていたからです。取り組みの入り口は地産地消でしたが、社員に対しては、山や森全体のことを知るための一つとして獣害対策のことを伝えています。
※モデルフォレスト運動の概要については、こちら(外部リンク)をご覧ください
私は福知山市出身で叔父が猟師でもあったため、子どもの頃から鹿肉料理は良く食べていて、特別な料理というわけでもありませんでした。また母親が調理師だったので、シチューやバルサミコ酢を使ったステーキなどもつくってくれて美味しく食べていました。今回の社員食堂で出したレシピも母親の協力があって出来たものです。
環境に関する取り組みについて、他の企業よりも一足早くやろうというのが弊社の考え方で、目の付け所としては良かったと思いますし、企業のPRにも繋がったと思います。
調理師の技術レベルですね。多分、調理師に食肉だけを渡しても美味しく食べることの出来るメニューにはならなかったと思います。弊社の社員食堂の調理師は、一緒になって前向きに考えてくれましたが、やはり鹿肉に関しては調理にコツがあると思うので、調理方法など周知していくことが必要だと感じました。
本取り組みを通じて、工場内に「ジビエ倶楽部」があることが初めて分かりました。メンバーの中には狩猟免許を持っていて、冬の間は猪を捕って皆で食べたりしているようです。今後は、そのメンバーが捕獲した鹿を、食肉処理業者に解体処理してもらって、その肉を社員食堂でメニューとして出していければと考えています。
この日は、鹿のロース肉を使った「鹿カツ」がメニューとして提供されました。12時になると大勢の社員の方が食堂に続々と入って来られて、ものの10分足らずで用意された35食が完売となりました。
社員の方の反応は、「少し野性味のある味だが、美味しい。今後も鹿肉を食べてみたい。」 「先入観を取り除くために、『臭くないようにしっかり下処理をしています』ということをPRすれば、もっと皆に食べてもらえるのではないか。」 「自分も農業をしていて、農作物被害を受けているので、もっと皆に鹿や猪を食べてもらいたい。」など、様々な感想や意見を聞くことができました。
お問い合わせ
中丹広域振興局農林商工部 農商工連携・推進課
舞鶴市字浜2020番地
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ファックス:0773-62-2859