京都府立総合資料館

企画展先人達の京都研究
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第1部 江戸時代の京都研究-歴史考証と地誌の発展-

2.実証的な歴史研究の萌芽

熊野新宮神宝図(原家文書) 

熊野新宮神宝図(原家文書) 写真

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弘化2(1844)年に絵師原在照の門人である畑綱之(はたけつなゆき)が写した熊野新宮(速玉大社)の宝物の絵図です。元図は、元文3(1738)年に、有職故実学者高橋宗直が宝物の模写図を見る機会を得て作成したものと思われます。

高橋宗直は御厨子所預(みずしどころあずかり)地下官人でしたが、それとともに当時一級の有識者と知られた高橋宗恒を祖父にもつ、著名な有職故実学者でした。

本文中の記述によると、宗直に宝物の模写図を提供したのは和歌山藩家臣宇治田忠卿(うじたただあき)です。享保19(1734)年に紀伊中納言(和歌山藩主)が熊野神社修復にあたって熊野新宮の宝物について作図し献納しましたが、忠卿はその仕事の担当でした。そのため、忠卿は宝物を拝見する機会に恵まれ、考証を加えながらこの模写図を作成することができたのではないかと思われます。

江戸時代中期の学者達の幅広い交流と旺盛な知識欲をうかがうことができます。

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