京都府立総合資料館

企画展先人達の京都研究
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第2部 近代の京都研究

 明治・大正・昭和戦前期の「京都研究」に関わる資料を、5つのトピックに絞って展示します。行政施策に連動して「京都研究」が展開したのが、この時期の特徴でした。
 近代史の流れにのせて各トピックを紹介していきますので、人物自体は少し後景に退きますが、行政施策と関連して様々な活動をした人々もまた、「先人達」と考えられるでしょうし、その成果も現在の「京都研究」の重要な基礎資料になっているのです。

1.湯本文彦と平安遷都千百年紀念祭
 平安遷都千百年紀念祭事業(明治28(1895)年)の一環として、『平安通志』を編纂した湯本文彦にスポットを当てます。湯本は京都府職員として、明治期に各種の調査・研究事業にたずさわり、「京都府寺誌稿」などの資料をまとめた人物です。
 湯本の事績を紹介するとともに、『平安通志』に使用され、その後も昭和天皇などが閲覧した、平安京旧址実測全図も展示します。
2.日露戦争後の維新前民政資料調査
 日露戦争後の20世紀初頭に、「京都研究」が府政や国の方針とどのように関係したかを紹介します。この時期は、社会全体の急速な都市化の中で、日露戦争の負担に悩み、運営が困難になっていた地域社会へのテコ入れが大きな政策課題となっていました。
 維新前民政資料調査は、江戸時代までの地域運営に関わる資料を調査・展示・出版して紹介することで、地域社会のあり方を考える素材としようとするものでした。湯本もまた、この事業に参加しています。
3.大正大礼と郷土誌の編纂
 大正4(1915)年11月、京都を舞台に大正天皇の即位式が行われます。この機会に、京都府内では様々な記念事業が行われました。京都駅の改築や、大正13(1924)年1月1日に「大典記念京都植物園」として開園した府立植物園が代表的ですが、「京都研究」もまた、一定の成果を生み出します。京都の現況を詳述した『京都府誌』や古典を集成した『京都叢書』の刊行がある一方、地域に密着した活動として、与謝郡(現在の宮津市・与謝野町・伊根町)で行われた「郷土誌」編纂事業がありました。
4.観光への接近
 旅客機や豪華客船の登場で世界的に交通手段が整備される1920・30年代、輸入超過の状態であった日本が外貨獲得の手段の一つとしたのは「観光」でした。近世以来観光都市化していた「古都京都」は、新たな注目を浴びることになります。ここでは、観光案内のほか、京都を紹介する写真帳や発展著しい考古学の成果をまとめた刊行物などを紹介します。研究の成果が観光開発に結びつく段階に入ったと言えるでしょう。
5.郷土読本の時代
 一方で、昭和恐慌によって打撃を受けた地域社会の立て直しを図ることが、再び課題となっていました。大規模土木工事を軸に各種の対策が行われるなか、社会教育の要素も多分に含んだ、郷土教育運動が全国的に展開されます。このコーナーでは、郷土教育のテキストとして各小学校単位で作成された「郷土読本」に注目して展示を行います。
 主に10歳前後の児童を対象にした「郷土読本」ですが、方言などを含めた豊富な素材を用いた多様なアプローチが展開され、地域記述のためにかなりの努力が払われていることが確認できます。

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