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木製治山ダムと渓流生態系について

京都府農林水産部森林保全課

 平成14年10月23日、砂防会館(東京都千代田区平河町)において開催された第42回治山研究発表会(主催:治山研究会、後援:林野庁)で発表しました。

要旨

 京都府が開発した木製治山ダムを設置するにあたり、渓流生態系調査を実施しました。
 調査目的は木製治山ダムの環境への優しさを定性的に分析することであり、(社団法人)淡水生物研究所の開発した「HIM」「MHF」手法等を用いました。
 調査は「木製治山ダム計画箇所」及び比較するために「既設木製治山ダム設置個所」「既設コンクリートダム設置個所」「渓畦林が豊かな箇所」「古い護岸工が設置されている箇所」で実施しました。
 結果次のとおりでした。

  1. 魚類によるHIMでは治山ダムの設置という行為が中下流域で騒がれている大規模な堰ほどの環境破壊ではないと判断されました。
  2. 魚類によるMHFでは、源流域では魚道の必要性がないとは言い切れないが、効果は少ないと考えられた。
     また、治山ダムの堆砂敷は渓流魚には不向きな環境であり、堆砂敷の環境改善のための渓流生態系に配慮した工法の開発が必要と考えられました。
  3. 源流部における魚類の個体数・種類数が少ないことが原因で調査結果に有意差がでなかったことから、環境に配慮した治山計画を作成する際の因子として個体数・種類数の多い底生生物を導入するよう、研究を進めていく必要があると考えられました。
  4. アマゴの胃内容物を調査した結果、豊かな渓流生態系には渓畦林が必要であり、工事の際の伐採面積が少なく、早期に森林化する長所を持つ木製治山ダムが優秀な工法であることがわかりました。
  5. タカハヤ(当水系の典型性種)の多様性指数DIよる調査では、治山ダムの設置によって環境の豊かさが多少低下するのはやむを得ないが、環境の豊かさを重視するような箇所ではコンクリートより木製治山ダムを選択するほうが良いという結果が得られました。
  6. 底生生物によるMHFでは生息する底生生物の生活様式が「遊泳型」か「固着型」かによって石礫等河道材料の移動性が判断されることがわかり、治山事業整備の指針になりうる可能性が示唆されました。

参考文献

 なお、この発表の論文は「第42回治山研究発表会論文集」に掲載されています。なお、ファイルサイズが大きいですが、PDF形式(約1MB)で渓流生態系調査報告要旨をみていただくこともできます。

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