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更新日:2017年3月27日

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府民生活・厚生常任委員会管外調査(平成29年1月24日~26日)

NAGAYA TOWER(鹿児島県鹿児島市)

NAGAYA TOWERの取組について

新幹線鹿児島中央駅のすぐ近くにあるNAGAYA TOWERは、大家である緩和ケアを中心とした有床診療所の院長が、数多くの患者を診られる中で、物質的に満たされていても「精神的孤独」や「社会的孤立」に悩む人の多さに危機感を持たれ、孤立と孤独の状況を改善するためには、人間同士の「絆」を再生するしかないと考えられ、平成25年に6階建て37戸の賃貸住宅を建設されました。同施設では、老若男女、健常者と障害者、乳幼児から学生、高齢者まで、あらゆる人々が一つの建物で家族のように住まい、協力し、相互に助け合う、かつての日本のどこにでもあった長屋を実現することを目指しています。

「微笑みを交わす人がいれば、人生は幸せ。」をモットーに、ちょうどよい距離感とつながりを重視して、中庭側では住民同士が交流できるようV字型の建物となっています。また、共同リビングや空中庭園、岩風呂など共有スペースが多く設けられていますが、浴槽の付いていないシャワーだけの部屋を設け、あえて不便なつくりを残すことで、より住人同士が交流しやすいよう工夫されているとのことでした。

同施設は、株式会社により運営されており、事務局では、日常の困りごとや介護に関する相談などがあればまずは事務局へ気軽に声をかけてもらえるような雰囲気づくりとともに、住人の方がお互いに知り合いになれるようなイベントの企画など仕掛けづくりもされているとのことでした。また、70歳以上の方は家賃、共益費とは別に月25,000円を負担し、配食サービスや健康管理、病院への付き添い、緊急時の対応等の生活支援サポートを受けることができるようになっています。

現在の入居率は、約7割(平成28年11月現在)で、子育て世帯、独身者、高齢者世帯など年齢層もさまざまです。平成26年3月に開所したファミリールームでは、さまざまな理由で親と暮らせない子どもたちを、認定を受けた里親が養育されており、住人の方も一緒に見守っておられるとのことでした。

さらに孤食や欠食の子どもを支援するために子ども食堂も始められ、毎月2回、地域の子どもたちや一人暮らしの高齢者の方が食事できる場の提供をされており、平均60人が利用されているとのことでした。

今後も、住人同士が顔見知りになり、心地よい環境となるよう目に見える形として夢や希望、絆再生の試みに取り組まれるとのことでした。

主な質疑

  • 入居者の内訳について
  • イベント及び活動等の開始の契機について
  • 配食サービスについて
  • 入居者間のトラブル発生状況について
  • 県内での同様の取組状況について
  • 建設経費にかかる資本について など

 

nagayatower概要説明

nagayatower施設視察

概要説明を聴取した後、施設を視察

 

鹿児島県議会(鹿児島県鹿児島市)

危機管理体制について

鹿児島県では、自然災害をはじめとした危機事象の発生等に際し、県民の生命、身体及び財産を守るため、庁内における情報の一元化や共有化を推進し、迅速かつ的確な対応を図るため、総括危機管理監及び危機管理局を設置し、全庁的な危機管理体制を確立されています。

国民保護法の施行等に合わせて策定された「鹿児島県危機管理指針」において、全庁的な危機管理体制の検討や所管不明の危機事象や重大な危機事象が発生した場合における部局長等の横断的な調整を行うため、知事を議長とする危機管理調整会議を開催すること、危機事象に係る事前対策、応急対策、事後対策など、県の危機管理対応の基本的な枠組みが定められました。

なお、総括危機管理監は、全ての危機事象の情報集約を行い、全庁的な対応が必要な重大な危機発生時における指揮や、応急対策の実施などの役割を担っているほか、危機管理防災担当の参事として、自衛隊出身者が配置され、日頃から自衛隊等防災関係機関との連絡調整に当たっておられ、危機事象が発生した場合に防災関係機関との円滑な連携を図る上で重要な役割を果たされています。

また、危機事象発生時の行動手順等を定めた「鹿児島県職員危機管理防災ハンドブック」を作成され、全職員に配付されました。

同県では、平成27年5月に発生した口永良部島での火山噴火の際には、噴火警戒レベルの引き上げと同時刻に知事を本部長とする災害対策本部を設置し、国、地元自治体、防災関係機関と連携しながら県の消防防災ヘリコプターを緊急出動させるなど、速やかに応急対応を実施され、当日の夕方までに、一人の犠牲者も出すことなく、全島民が島外に避難することができたとのことでした。

この際には、報道機関を中心に県庁への問い合わせが殺到する状況となり、報道機関に対し庁内の会議室において定期的に状況説明を行う機会を設けられたところ、それ以前の状況と比較して円滑な報道対応ができるようになりました。発災直後は、初めての経験ということもあり、執務室も報道機関が自由に出入りできるような状態でしたが、現在は入室に際して許可を取るようにされており、その後発生した小規模噴火の際には、関係者以外立入禁止とし、報道規制をとり、別途報道機関に情報提供をされたとのことでした。

 

主な質疑

  • 離島における防災訓練の考え方について

  • 東日本大震災、熊本地震による計画の見直しについて
  • 職員行動マニュアルをより活かすための工夫について
  • 自衛隊との連携について
  • 県内市町村における自衛隊OBの配置状況について
  • 他府県と比較しての注視点について など

 

宮崎県議会

概要説明を聴取

宮崎県議会(宮崎県宮崎市)

未来みやざき子育て県民運動の取組について

宮崎県の平成27年の合計特殊出生率は1.71(全国1.45)となっており、全国3位の高水準を維持されているものの、未婚化・晩婚化の進行や、核家族化による子育てに対する経済的負担感等から全国と同様に少子化の状況が続いています。

このため、同県では、安心して子どもを生むことができ、子育てを楽しいと感じられる宮崎づくりを目指して、行政機関が取組を一層充実させていくとともに、県民や事業者、関係団体などが連携して、子どもと子育て家庭を応援する「未来みやざき子育て県民運動」を平成23年度から展開されています。

未来みやざき子育て県民運動では、「出会い・結婚」「妊娠・出産」「子育て」という、それぞれのライフステージに沿った切れ目のない支援を実施されています。さらに、それぞれのライフステージを支援する方と連携を図ることにより、「安心して子育てができる環境づくり」の実現に努めておられ、「家庭」「地域」「職場」という場面に即した支援にも取り組まれているとのことでした。

出会い・結婚を支援するために、結婚を希望する男女の出会いをサポートする「みやざき結婚サポートセンター」を県内に3か所設置され、マッチングシステムを活用した1対1のお見合い事業や、個別の引き合わせをサポートする「縁結びサポーター」を養成するとともに、平成28年度から中山間地域の会員登録を一層推進するため、担当職員の配置や、出張窓口の充実に取り組まれています。

さらに、平成27年7月には、県内の全ての首長が、率先して職員の「仕事と家庭の両立」を応援し、自らも充実した仕事と私生活を楽しむ「イクボス」となるべく、宣言を行われました。特に日南市では市長が積極的に取り組まれており、率先して育児に参加されるなど、自ら実践された結果、仕事と家庭を両立する雰囲気が職員全体に広がっているとのことでしたが、自治体によっては、職員数の減少や業務量の増大の中で休暇の取得が難しい状況等、課題もあるとのことでした。

また、これから父親になる方に積極的に育児に参加してもらうため、育児に必要な情報がまとめられ、子どもの成長記録となる「パパのイクメン手帳」を作成し、平成26年から母子手帳の交付時に配付されています。

今後も、安心して子どもを生むことができ、子育てを楽しいと感じられる環境づくりを進めるため、企業、関係団体や県民一人ひとりの協力により取組を進められるとのことでした。

 

主な質疑

  • 若者に対する経済的な支援策について
  • イクボス宣言における課題点について
  • パパのイクメン手帳の配付方法について
  • パパのイクメン手帳の改訂に伴う充実点について
  • 子育て支援優良企業の努力の特徴について
  • 子育て支援優良企業増加に向けた今後の支援について
  • 子どもがつなぐ縁結び事業内容について
  • 婚活に対する男性の意欲について など

 

宮崎県議会概要説明

概要説明を聴取

 

大分県議会(大分県大分市)

平成28年熊本地震の検証について

平成28年4月に発生した熊本地震により、大分県では建物被害が9,349棟(平成29年1月13日現在)、高速道路や主要幹線道路が土砂崩れにより長期間不通になるなど大きな被害が生じ、また、経済面でも、特に観光関係でゴールデンウィーク時点で20万件の宿泊キャンセルが発生するなど、風評被害等で非常に大きな影響を受けられました。

同県では、後の災害対応に資することを目的に、今回の熊本地震における県の対応について、南海トラフ巨大地震など、今後発生が懸念されている大規模災害に備えるための検証を行われました。

おおよそ前震から初動対応終了までの間に、同県が災害対応を行う中で知り得た情報について熊本県の対応も加え、特に被災者の支援において最も重要な、「災害情報」「避難者支援」「支援物資」について検証されたとのことでした。

検証では、災害情報の収集と関係機関との共有について、災害対応の中心となる市町村の災害対策本部の機能を強化させるため、市町村による実践的な訓練実施の支援や、大規模災害発生時に、被災市町村の被害情報等を迅速に把握するため、県から市町村に派遣する情報連絡員の体制を強化し、市町村との「顔も見える関係」づくりを進められます。また、今回、市町村からの情報入手が困難であったことから、ツイッター等のSNSを活用した情報収集・分析や、ドローン等を活用した災害情報等を迅速に把握する取組を進められるとのことです。さらに、被災した留学生や外国人観光客への情報提供が十分ではなかったという反省を踏まえ、大規模災害発生時、県庁内に「大分県災害時多言語情報センター」を設置し、多言語での情報発信や問い合わせに対応されるとのことでした。

また、今回、市町村職員が避難所運営に掛かりきりになったという反省を踏まえ、避難所の運営については自助共助の精神で早い段階から防災士や自治会など地域の方の自主運営が行えるよう市町村による避難所運営マニュアルの策定や避難所の運営訓練及び車中泊等避難所外避難者の把握についてのマニュアルへの反映を支援されるとともに、間仕切りの導入等によりプライバシーを確保する等、指定避難所の環境整備を促進し、可能な限り指定避難所への誘導を進めるための取組を進められるとのことです。

さらに、九州・山口各県での物資輸送拠点等を相互に利用して物資輸送を行う仕組みづくりについては、関西広域連合の取組を参考に、今後九州地方知事会の取組として検討されるとのことでした。

主な質疑

  • 大分県被災後の熊本県への支援について
  • 外国人への支援言語の範囲について
  • 避難所運営における自主防災組織の機能進捗状況について
  • 要配慮者への災害対応の今後の方向性について
  • 車中泊に対する捉え方について
  • 女性防災士の割合について
  • 県民への情報提供における課題について
  • ドローン操縦研修の期間について
  • 各種マニュアルの見直しにおける想定外の大幅見直し点について など

 

大分県議会

概要説明を聴取

美奈宜の杜(福岡県朝倉市)

美奈宜の杜の概要について

平成27年11月まち・ひと・しごと創生本部は、「東京圏をはじめとする地域の高齢者が、希望に応じ地方や「まちなか」に移り住み、多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができるような地域づくり」を目指す「生涯活躍のまち」構想の推進を掲げました。

福岡市内から車で約45分、福岡県朝倉市にある美奈宜の杜は、アメリカのシニアタウンを参考に国内初のシニアタウンとして民間事業者により開発され、平成8年にオープンしました。当初は、リタイアされた高齢者の方の移住先としてオープンしましたが、街開きから20年が経過し、最近では子育て世帯の定住や、セカンドハウスとしての利用も増え、多世代がいきいきと暮らす活気あふれる街へと成長しているとのことで、平成28年12月末現在324世帯、650人が居住されており、このうち子育て世帯の割合が23.5%、県外からの移住者が42.9%、京都府からは4世帯が移住されているとのことです。

美奈宜の杜では、次の人生をいかに過ごすか目標を持って移住されてきた方々がいきいきと過ごされており、住民が自主運営される35のサークル活動が活発であるという特徴があり、やりたいときにできる、気負いのない楽しい雰囲気で運営されているとのことでした。また、住民のボランティア活動も盛んで、単身シニア世帯のサポートや、生活の中でのちょっとした手助けを住民同士で行う活動など、多くの住民がボランティアとして活動されているとのことでした。

車で約15分圏内には、大型ショッピングセンターや病院、学校など生活関連施設がありますが、今後高齢者の増加が見込まれることから、訪問介護や医療面の充実が課題であるため、官学民の連携を深めながら安心して暮らせる生涯活躍のまちづくりを進める取組を展開されるとのことです。

なお、朝倉市では、平成27年度に、国の地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金の交付対象事業として「朝倉市版CCRCイニシアティブ事業」を実施されました。美奈宜の杜と協働で、宿泊無料及び交通費補助付きの体験宿泊、移住に向けた個別相談など、朝倉市への移住に向けたさまざまなサポートを実施された結果、体験宿泊には27組54人の参加があり、このうち3組の方が移住されることになったとのことでした。

主な質疑

  • 自治会組織について
  • 医療面での利便性について
  • 移住を考えるときの条件について
  • 自治的な活動を始めるに至った意識の変化について
  • コミュニティ協議会の設置理由について
  • 朝倉市版CCRCイニシアティブ事業による移住者数について など

 

美奈宜の杜概要説明

概要説明聴取の後、施設を視察

 

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398