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更新日:2017年3月27日

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環境・建設交通常任委員会管外調査(平成29年1月24日~1月25日)

香川県直島環境センター(香川県香川郡直島町)

産業廃棄物の処理について

昭和53年、香川県の豊島(てしま)において、県が許可した業者による大量の産業廃棄物の不法投棄が発生しました。平成2年に兵庫県警が当該事業場を強制捜査したことを機に、この問題は大きくマスコミからも取り上げられ、同島の原状回復による環境の再生を目指して住民が県へ公害調停を申請。平成12年、公害調停が成立し、県が責任をもって同島の原状を回復することとなり、平成15年、県からの提案で直島に産業廃棄物の中間処理施設が完成しました。以後、豊島に堆積する大量の廃棄物は直島に海上輸送(一日二往復、一回につき300トンの廃棄物を輸送)され、焼却・溶解方式によって産業廃棄物の処理が進められています。

豊島に不法投棄された廃棄物は約90万トン。その処理期限は公害調停において、平成29年3月末と定められており、1月の調査時点において豊島での産業廃棄物の掘削は既に終了していました。3月末には豊島からの搬出が完了し、直島において5月頃に処理が終了する見込みと発表されています。

中間処理施設では先端技術を活用し、廃棄物の無害化に加え、飛灰やスラグ※などの副生物についても有効利用を進めています。特にスラグはコンクリートの材料として、県内の土木事業に使用されています。

直島町では中間処理施設建設を契機に、環境産業の創出、自然環境と調和したまちづくり、エコタウン事業やエコツアーの誘致、また近年では瀬戸内芸術祭と連携して施設の見学を受け入れるなど、産業廃棄物処理事業の広報にも取り組んでおられます。

中間処理施設の整備に要した費用は207億円(国庫補助1/4)、処理経費は年間50億円となっています。

施設の稼働から今年で13年目。産業廃棄物の処理はようやく最終段階にきています。この豊島の不法投棄事件を受け、県では不法投棄の根絶を目指し、監視を強化するとともに循環型社会の構築を目指し、これからも取り組んで行かれるとのことでした。

※スラグ:家庭ごみ等の一般廃棄物や下水道汚泥の焼却灰等を1,200℃以上の高温で溶融した後、冷却、固化したもの。廃棄物処理の過程で発生したスラグは土木資材やセメント原料として、JIS規格に準拠し幅広く利用されている。

主な質疑

  • 環境センターの建設による直島へのメリットについて
  • 見学者の内訳について
  • 今後の施設の活用について
  • 環境センターでの雇用人数・形態等について
  • 地震対策について など

直島環境センター概要説明

直島環境センター施設視察

概要説明を聴取した後、施設内を視察

 

 

広島県議会(広島県広島市)

水道事業の管理運営について

各自治体が経営する水道事業については、人口減少社会の到来による水需要の減少、水道事業の担い手(技術職員)不足、管路の老朽化の進展などさまざまな課題を抱えています。京都府内の水道事業についても、全国の状況と同様に、今後30年間で人口が約15%減少し、水需要の減少や施設利用率の低下、管路の老朽化の進展等が課題となっています。

こうした課題を解決する手法の一つとして、広島県では、水道事業を請け負う全国初の公民共同企業体の株式会社「水みらい広島」を設立。同社は指定管理者として県の水道用水供給事業及び工業用水道事業を実施し、さらには県内市町村水道事業の業務も受託しています。

当初、広島県では、浄水場運転監視業務等の民間委託を実施していましたが、その委託内容が一部にとどまることや、市町間の事情(水道料金の格差など)が異なり、水道事業の広域化が実現しませんでした。この業務委託を通じて生じた課題、1.民間の創意工夫の限界、2.委託による県職員の技術力の低下、3.進まない広域化、を踏まえ、平成23年、改めて「公公民連携」のあり方や方向性が取りまとめられました。その内容は1.民間主導による公民共同出資会社を設立し、指定管理者制度を導入して同社の委託業務の裁量を拡大すること(公民連携)、2.市町のニーズに応じて出資会社が業務を受託し、管理の一元化を実現すること(公公連携)、3.水ビジネスへの事業展開を目指し、給水以外の収益を確保すること(公民連携)です。この提言を受け、平成24年、県と事業者が出資する株式会社「水みらい広島」が設立されることになりました。同社へは県職員の派遣のほか、経営責任を明確化するため、パートナー事業者の出資比率を65%に高める一方で、県は1/3を超える株式を保有し、公の事業としての側面を担保できるよう県の関与を確保しています。

同社は、民間ならではの業務効率化や技術力の習得・継承に向けた事業に取り組み、さらには複数の市町から水道事業を請け負う受け皿として機能しています。

広島県では、指定管理機能を活かして安心・安全に配慮した上で、施設の効率的な管理・運営を目指すとともに、老朽化した管路の計画的な更新や県内市町水道事業の受託を進め、管理の一元化を目指して取り組んでいかれるとのことでした。

 

主な質疑

  • 指定管理者の選定・期間について
  • 当該事業の収益(民間事業者の利益)及び収益と指定管理料とのバランスについて
  • 指定管理導入によるコスト削減額について
  • 指定管理者(受託者)の事業形態について
  • 水みらい広島の今後の事業拡大計画について
  • 県内市町村の反応について
  • 指定管理者の事業範囲(管路の更新など)について など

広島県議会

概要説明を聴取

 

コマツIOTセンタ近畿(大阪市西淀川区)

スマートコンストラクションの概要について

 

平成27年、国土交通省は建設現場の生産性向上を目的として、ICT技術を活用する取り組み「i-Construction」を推進すると宣言しました。平成28年には「ICT技術の全面的な活用(土工)」の実施方針が表明され、すでにこうしたICT建機やドローンなどを利用した工事が近畿地区管内でもスタートしています。

こうした技術の導入の背景には、建設業界で生じている深刻な労働力不足※や熟練技術者・技能者の不足、施工現場の安全確保、品質確保などさまざまな課題がありました。国土交通省では、ICT技術を活用することで、誰でも効率的に計画に基づいた高精度な工事の施工を図ることができるとしています。

KOMATSU(株式会社小松製作所)では、国土交通省が推進する「i-Construction」に準拠した新工法「スマートコンストラクション」を開発し、安全で生産性の高いスマートな「未来の現場」を創造するため、さまざまな技術開発を進めておられます。今回調査しました同センタは、こうした技術を直接体感できる施設となっており、全国各地に設置されています。

ICT活用の施工例として、1.ドローン測量による3次元データの取得、2.3次元の設計図・施工計画の作成、3.ICTによって自動制御された建機による施工、4.ドローン測量による効率的・効果的検査、が考えられます。すべてインターネットを通じて繋がることにより、例えば10年かけて習熟するような熟練工による土木技術が、わずか3日の研修で習得可能になるとされています。

国土交通省では、こうした「i-Construction」を進めることにより、約20%~25%のコストカットも可能になるとの試算を出しています。この取り組みは始まったばかりであり、本格的な導入までには時間がかかると思われますが、2020年度にはすべての公共工事を対象として普及拡大が図られる予定であり、KOMATSUにおいても自治体等と協力しながら建設事業者向けにICT技術の導入に取り組んでいかれるとのことでした。

※現在340万人いる建設技能労働者は高齢化などで今後さらに離職が進み、2025年には130万人の需給ギャップが発生すると予想されています。

 

主な質疑

  • IT建機のレンタルなど中小・零細企業へのアプローチの仕方について
  • 既存の建機へのICT機器搭載可否について
  • スマートコンストラクション導入によるコスト及び工期の削減について
  • 国土交通省からの補助金について
  • 都道府県(大阪府)との関係について など

コマツ概要説明

デモンストレーションの見学及び試乗

概要説明を聴取した後、ICT建機のデモンストレーションの見学、試乗

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398