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今治市は120年もの間、タオル産業が受け継がれてきたタオルの聖地で、糸をよる工場、糸を染める工場、タオルを織る工場など200近くもの工場が集まる一大産地です。今治タオル工業組合(四国タオル工業組合が平成29年1月に改組)は、その日本一のタオル産地の今治において更なる発展を遂げるべく、日々タオル製造業に関する指導及び教育をはじめ、さまざまな事業に取り組んでいます。
今治タオルのブランド化は、2006年に四国タオル工業組合が立ち上げた今治タオルプロジェクトに始まり、国の補助金(経済産業省のJAPANブランド育成支援事業)や、今治商工会議所、今治市の支援のもと、進められてきました。産地全体がまとまって取り組んだことが成功し、ブランド化により単価が格段に上がったとのことでした。2009年で補助金による支援が終了した後は、それまでに培ったブランド資産の活用によって自力で取り組みを継続しています。東京にアンテナショップの南青山店を出店したところ、利益を出しながらPR活動を行う好循環となったとのことでした。
これまで、グローバルブランドへと発展するべく、欧州を中心にフィンランド、イタリア、イギリス、シンガポール等で展示会を通した海外展開を進めてきました。出展には大変な経費がかかりますが、効果を上げるためには継続して行うことが大事で、その際、国内のメディアを呼ぶことも重要とのことでした。「安心・安全・高品質」なジャパンクオリティの代表製品として知られるようになったため、今後は台湾あたりで、期間限定での出店を考えているとのことでした。
今治タオルの最大の特徴は「吸水性」が高いことで、タオル片を水に浮かべた時に5秒以内に沈み始めるかどうかの「5秒ルール」など、独自の品質検査を設けているほか、タオルソムリエやタオルマイスター制度等を導入して、品質を守る努力をしているとのことでした。
視察したタオル&ライフミュージアムである「テクスポート今治」の中には、今治タオルを公式に取り扱う国内最大規模の品揃えを誇る「今治タオル本店」があり、今後の更なる展開を見据え、店内の改装を行っているところでした。また、コンテックス株式会社では、今治タオルの製造工程等を視察しました。
概要説明を聴取した後、タオル製造工場の視察
松山市の中心地には、中央商店街として「大街道」と「銀天街」の二つの商店街がありますが、平成17年に設立された「株式会社まちづくり松山」は、商店街の中に所在し、松山市の中心部の賑わい創出に大きな役割を果たしているまちづくり組織です。中央商店街の各所に設置したストリートビジョンや吊りポスター等による広告事業収入、中央商店街共通駐車券の発行などにより収益を上げ、利益を株主に配当金しています。また、受託事業として、中央商店街の空き店舗を活用して保育・託児事業を行う「てくるん」の運営や多目的トイレや休憩スペースの設置、交流スペースを利用した各種イベント等の取組をしています。
同社では、行政には頼りすぎず、民間主導のまちづくりを具現化すること、まちを経営するという視点を持つことが重要と考えています。地方が廃れる原因は、流動性の低下にあるため、「流動性の向上」を行い、事業を継続することを第一優先に考えて持続可能な施策を行う「サスティビリィを重視」し、「PDCAサイクルを徹底する」ことが重要とのことでした。
商店街の振興に経営の視点を取り入れ、イベントをする際には、自分達でマーケティング、交通調査、PDCAを実施し、誰を対象とした事業なのかターゲットを明確に決めているとのことでした。例えば、中高生の来街が減っている理由は、子どもだった時に大型ショッピングセンターができ、そちらに家族と行っていたための慣習性の影響が大きいと分析し、子どもの時に商店街の楽しい思い出をつけるようにすることが大事と考え、小学生以下にターゲットを決めたイベントを実施したとのことでした。また、昔のことを勉強して、エッセンスとして取り入れることも大事とのことでした。
お城下スプリングフェスタや土曜夜市など地元に定着したイベントをはじめ、松山を活性化したい人が集まって、集中してアイデアを出す時間を持つ「アイデア村」や、商店街のおかみさんを集めた「美商女マップ」を一緒に作成するなど、商店街の人達も活性化する取組を実施しています。
ハード面では駐車場整備のほか、銀天街商店街のアーケード照明を発光量の調節できるLED照明に変更する省エネなどにも取り組んできました。
商店街には何でもがあるため、まちづくり会社がしっかりして、やりたいことをやりたい時に人と資金を供給できるような仕組みを実現していきたいとのことでした。
概要説明を聴取した後、商店街を視察
「丸亀うちわ」は江戸初期に金比羅参詣の土産物として、朱赤に丸金印の渋うちわが作られたことが始まりといわれ、天明年間には下級武士の内職として奨励されたこともあり、うちわ生産は丸亀の代表的な地場産業として発展を続けました。昭和の初期に印刷機の登場で大量受注が可能となり、昭和42年頃からポリうちわ(プラスチックのうちわ)の製造が始まり、現在の丸亀うちわ産業の形が形成されました。平成27年度の生産量は約1億6千4百万本で日本一の生産量を誇り、全国シェアの9割を占めています。近年、やわらかな風を起こす特徴ある形をしたうちわや、伝統的工芸品の丸亀うちわと保多織がコラボレーションをしたうちわなど、色々なデザインのうちわが製作されているとのことでした。
昔ながらの竹骨を使った「丸亀うちわ」は、平成9年5月に国の伝統的工芸品に指定されました。指定を受け、後継者育成事業として、平成10年度から「丸亀うちわ技術・技法講座」が開催されています。同講座は基本的な技術・技法を継承するもので、歴史と技術・技法・道具等について学ぶ「丸亀うちわ講座」や骨製造工程の基礎技術や貼製造工程の基礎の技術等を習得する「技術・技法講座」などがあります。技術・技法講座の修了生は214名で、うち約50名がうちわ製造に関わる仕事に従事しており、平成28年12月末現在、7名が伝統工芸士となっています。
講座の参加者は他府県からの方がほとんどで、また、年配者が多いという状況で、若者の育成が課題であるとのことでしたが、丸亀城内にある観光案内を兼ねた店舗「うちわ工房 竹」では、後継者育成事業を修了した若き職人が、伝統的な竹うちわや、創意工夫を凝らした創作うちわの販売などを自主的に行い、運営しているとのことでした。
市では、丸亀うちわの全制作工程の技術・技法を習得し、相当の技術を持って引き続き丸亀うちわに携わる者を「丸亀うちわニュー・マイスター」として認定・登録し、社会的評価と価値を高める取組に力を入れているとのことでした。
視察で訪れた「うちわの港ミュージアム」は、全国の主なうちわを展示したうちわの総合博物館で、香川県うちわ協同組合連合会が運営しています。中にある実演コーナーでは伝統の技と工程を披露するほか、体験教室などが実施されており、その実演者は、後継者育成事業を卒業した新たな職人も担っているとのことでした。
概要説明を聴取した後、うちわの港ミュージアムを視察
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