閉じる

ここから本文です。

総務・警察常任委員会管外調査(平成29年1月23日~24日)

愛知県議会(愛知県名古屋市)

新公会計制度の活用状況について

愛知県では、平成12年度から、企業会計的な手法を取り入れ、貸借対照表などの財務書類を作成する公会計改革の取組を進めてこられました。そして、平成22年2月に策定した「愛知県第五次行革大綱」の取組事項として複式簿記・発生主義会計の導入を掲げ、平成25年度から新公会計制度を導入されました。

新公会計制度導入の目的は2つあり、その1つはアカウンタビリティ(説明責任)の充実です。アカウンタビリティの充実を図るため、1.議会における決算審査資料の充実、2.財政状況に関する公表資料の充実、3.分析指標の活用など様々な取組を行っているとのことでした。

また、もう1つの目的は、マネジメントへの活用です。愛知県では、マネジメントに適した事業単位(管理事業)を新たに設定し、平成27年度は293の管理事業別財務諸表を作成し、財務諸表、行政評価、予算編成を事業単位で統一化することにより、「責任と権限の所在を明確化」し、財務諸表を活用した「行政評価の結果を予算にフィードバック」させる仕組みを構築することでPDCAサイクルを機能させ、自治体経営の強化を図っているとのことです。

愛知県の取組の特徴としては、企業会計の考え方を基本とするが、利益の追求が目的ではない公会計の特質に配慮した表示科目とするなどの分かりやすい財務諸表を作成しているとのことです。さらに、資産マネジメントにおける資産情報の活用性を重視し、企業会計の考え方を参考とした固定資産の計上基準を定め、日々の取引ごとに適切に資産計上を行うなど、独自の会計制度を策定しているとのことです。

愛知県が作成している財務諸表は、1.貸借対照表、2.行政コスト計算書、3.キャッシュ・フロー計算書、4.純資産変動計算書、5.附属明細書が主なもので、このほか、6.基金明細表、7.投資及び出資金明細表、8.貸付金明細表、9.未収金明細表、10.引当金明細表、11.地方債明細表、12.債務負担行為明細表、13.行政コスト計算書の当期収支差額とキャッシュ・フロー計算書の行政サービス活動収支差額との調整表、14.売却可能資産明細表を作成しているとのことでした。

今後、職員の研修などをしっかり実施しながら、新公会計制度の運用を充実し、十分活用できるようにしたいとのことでした。

主な質疑

  • 公会計制度を導入した経緯について
  • 公会計制度の予算編成への活用について
  • 会計局の職員体制、職員の資質向上について
  • 公会計制度の決算特別委員会への影響について
  • 県民意識の向上について など

愛知県議会

概要説明を聴取

 

愛知県警察本部(於:愛知県議会(愛知県名古屋市))

体験型防犯教室(BO-KEN(ぼうけん)あいち)の取組について

愛知県警では、平成27年度に、子どもを守るための総合的な安全対策として、子ども自身の自己防衛能力や危機回避能力の向上と子どもを指導するボランティアの育成を図ることを目的として、「子ども防犯体験学習プログラム」を作成し、模擬の街並みなどの施設を使用した日本初となる体験型防犯教室(BO-KENあいち)を開催されました。

この名称は、「子ども防犯体験学習プログラム」の防犯の「防」と体験の「験」から1文字ずつ取り、また、アドベンチャーという意味の冒険をかけてつけたそうです。

県警では、プログラムの考案について、まず、分析と意識調査の結果に基づき、体験場面を道路と公園とすることに決定されました。また、学習項目については、発見・判別行動(見る・見分ける)、回避逃走行動(走る)、拒否・抵抗行動(叫ぶ)、闘争行動(かみつく)の4つの基本行動と共助行動(友達と助け合う)とされたとのことです。

次に、開催に向けての準備として、道路と公園の場面に分け、施設図面の模型を製作するとともに、小学生用と指導者(保護者・教員)用のテキストを作成したとのことです。

さらに、建築学、心理学、法律学の学識者などで構成する有識者会議を開催し、施設内容や施設におけるシナリオ内容などについて検討を行い、また、ボランティアスタッフ養成講座を開催されました。

そのような準備を経て、名古屋テレビ塔に体験室などを設置し、約2週間の期間を設けて、(BO-KENあいち)が開催され、135名のボランティアと30名の警察官が従事するなか、1,840名の小学生と924名の大人(保護者及び教員)の参加者があったとのことでした。

参加者へのアンケート実施結果からは、ほとんどの参加者から、「また行きたい」、「参加して良かった」、「今後も開催する必要がある」という意見があったそうです。

しかし、課題として、多額の経費や多くの貴重な人員(警察官)の確保が負担となったことが挙げられ、今後は、学校等の既存施設を使用し、警察官ではなくボランティアが主体となった運営を行っていきたいとのことでした。

その他には、マクドナルドの体験教室とのタイアップや企業のCSR活動による防犯絵本の製作など多様な取組も進めているとのことでした。

主な質疑

  • 教育庁、知事部局との連携について
  • ボランティアの育成について
  • 既存施設の活用について
  • 企業とのタイアップに至るマッチングの方策について
  • 効果的な広報について など

 

藤枝市議会(静岡県藤枝市)

民間活力を導入した公的資産活用の成果について

藤枝市では、人口減少による税収の減少に伴い行政サービスが維持困難になることや、高齢化に伴い交通弱者が増加し、郊外型施設の利用が困難になることに対応するため、集約型都市構造(コンパクトシティ)への転換を掲げ、平成20年から「藤枝市中心市街地活性化基本計画」を策定し、中心市街地活性化事業を推進してこられました。

計画推進に当たっては、民間の資金・アイデア・ノウハウなど民間活力の導入を基本として、「官民連携による拠点づくり」を市有地活用により行ってこられました。

なかでも、平成7年に市立総合病院が市内高台に移転したことに伴い、藤枝市駅前に立地するという病院跡地の利点を生かした「藤枝市周辺にぎわい再生拠点施設整備事業」が中核事業です。

事業の目標は「公共文化・学習施設と民間施設の複合化によるにぎわい創出と中心市街地活性化の拠点形成」で、開発の条件は、娯楽、ショッピング、飲食等の都市サービスを担い、市の都市イメージ向上に寄与する施設の導入を行うとともに、市民要望の高い図書館を設置するというものでした。事業スキームは、民間活力の導入により図書館を含む官民複合施設を整備し、市が民間事業者に土地を貸し、民間事業者が建設・所有する商業施設の床を市が借りて図書館を運営するというものです。この事業スキームにより、市単独整備の1/2の財政支出での図書館設置が実現したとのことでした。また、賃料支払いにより初期負担がなく、財政支出が平準化されたとのことでした。さらに、施設整備費には経済産業省の補助金、土地取得費には総務省の土地開発公社経営健全化債や国土交通省の交付金、など様々な補助金等を活用し、市の財政負担を軽減されました。事業全体の総事業費は43億円で、地上5階建、延床面積20,000平方メートルに店舗、シネマコンプレックスと市立図書館を併設し、駐車場は470台収容となっています。図書館は、面積3,300平方メートルに30万冊を所蔵し、年間来場者は40万人に達したとのことでした。

藤枝市では、「官民連携による中心市街地のまちづくり」をコンセプトに、PPPやPFIなどの推進手法を駆使し、今後も「民間活力の導入」を推進していきたいとのことでした。

 

主な質疑

  • 中心市街地以外の活性化対策について
  • 公共交通対策について
  • 高齢者対策について
  • コンパクトシティの位置付けについて
  • 投資を行う際の「商圏」の範囲について など

藤枝市議会概要説明

藤枝市議会図書館内

概要説明を聴取した後、図書館内を視察

静岡県警察本部(於:静岡県議会(静岡県静岡市))

関係機関と連携した人身安全関連事案への取組について

静岡県警では、人身安全関連事案について、県警本部生活安全部に人身安全対策課を平成27年に設置し、課員63人が24時間体制で、県内27警察署からの速報について分析し、警察署へアドバイス等をするなど、取り組みをすすめているとのことです。

静岡県内でのDV認知件数は平成27年に760件と過去最高を記録しましたが、平成28年には684件と減少しました。また、検挙件数は平成27年の225件から平成28年の480件と倍増し、しっかりした対処を行い、警察の介入により9割の事案は解決に結びついたとのことでした。

静岡県内での傾向ですが、当事者の外国人比率(双方又はどちらかが外国人)が全体の9%となっており、その内訳については、男性はブラジル人が、女性はフィリピン人が多いとのことでした。

また、DV被害者については、全体の98%が女性で、パートナーからの暴力や経済的な虐待が繰り返されるケースが多いとのことでした。

そうした中、同県警は静岡県弁護士会と平成28年7月に「人身安全関連事案にかかる被害者の安全確保及び問題解決のため、相互に必要な協力を行う」覚書を締結しました。

覚書では、相談者等が、同県弁護士会の関与による問題解決を希望し、かつ情報提供に同意した事項について、同県警から同県弁護士会へ情報提供を行い、人身安全関連事案にかかる被害拡大防止等について、同県警と同県弁護士会で鋭意協議を行うこととしており、本格的な実施は、平成29年4月からとのことでした。

ストーカーについては、認知件数は平成26年をピークに減少しつつありますが、対策は強化しており、禁止命令、警告の件数は平成28年に過去最高となっているとのことでした。

ストーカーの加害者は加害の自覚がないケースが多く、被害者対策だけでなく、加害者に対する医療機関のカウンセリングなど、加害者対策も必要とのことです。

児童虐待については児童相談所との連携を強化したところ、認知・通告件数ともに、平成28年は激増したとのことです。

今後も合同研修会や合同での模擬立入訓練などを実施し、県警と児童相談所の連携を強化していきたいとのことでした。

主な質疑

  • 教育機関との連携について
  • 伝承官の役割について
  • 医療機関の相談体制について
  • 弁護士費用の負担について
  • ストーカー加害者へのカウンセリングの効果について など

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398