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更新日:2018年3月16日

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文化・教育常任委員会管外調査(平成29年11月6日から8日)

公益財団法人日光社寺文化財保存会(栃木県日光市)

「日光の社寺」保存技術の伝承及び保護体制について

「日光の社寺」は、日光山内にある二荒山神社、東照宮、輪王寺の103棟(国宝9棟、国の重要文化財94棟)の「建造物群」とこれら建造物群を取り巻く「遺跡(文化的景観)」からなる「文化遺産」として、平成11年に世界遺産に登録されました。

「日光の社寺」の価値を今日まで支え、伝えてきた大きな要因の一つに、建造物等の修理・修復をはじめとした継続的な保存と保存への取り組みがあります。建造物の多くは、17世紀の日本を代表する芸術家の作品であり、高い芸術的価値を持っています。これらの建造物は、江戸時代には幕府の手厚い保護により修理が繰り返され、明治に入り古社寺保存法、昭和からは文化財保護法により、修理されてきました。

現在、建造物の修理事業は、専門技術者がいる公益財団法人日光社寺文化財保存会が二社一寺から工事の設計監理業務等を受託して実施されるとともに、直営事業により、塗装工事を行われています。修理事業は、1.仕上げ色は修理前に復元する、2.材料は修理前と同じものを使う、3.工具は伝統を受け継いだものを使用するが、新しいものも使用する、4.工事仕様は伝統仕様で施工するが、その際、修理箇所の塗膜が最も長持ちすると考えられる伝統仕様を採用する、といった修理方針により、実施されているとのことでした。また、修理完了後には修理の記録をまとめた修理工事報告書を作成されています。

また、同保存会では、文化財保存の選定保存技術である「建造物彩色」に関し、彩色技能者の養成研修を行い、文化財建造物保存事業に係る知識と技術の向上を図られており、平成28年度には、選定保存団体に認定され、全国から漆塗り技術者を集め、日本産漆を扱った技術研修も行われています。

日光市は、文化財保護法の規定により史跡の管理団体の指定を受けており、県や市の行政としては、二社一寺と「史跡日光山内」保存・活用協議会検討委員会をつくり、将来的な文化財の保存対策を推進しているとのことでした。

主な質疑

  • 修理に携わる業種数について
  • 技術継承における危惧点について
  • 技術継承を図る上での位置づけについて
  • 台風等自然災害による被害について
  • 管理上必要となる修復について
  • 財団への県及び市の出資状況について など

説明聴取後、施設を視察

栃木県教育委員会〔於:栃木県議会〕(栃木県宇都宮市)

とちぎの高校生「じぶん未来学」推進事業について

栃木県では、やがて親となる世代である高校生に、親・家族・家庭などの意義や役割、地域の人間関係など地域社会について主体的に学ぶことにより、次世代を育成し、地域への愛着や定住意識の醸成を図るとともに、地域を支え守る気持ちをはぐくむため、「とちぎの高校生『じぶん未来学』」プログラムを開発し、実施されています。

プログラムは、6つの視点、12の学習テーマで構成されており、生徒が主体的に学習できるよう、テキスト、統計資料類、ワークシートから構成され、参加型学習の手法を取り入れた内容となっています。

県教育委員会では、このプログラムの冊子を作成し、平成28年度から県立学校の全ての生徒に配布されています。生徒たちは入学から卒業までの期間、家庭科や現代社会、保健体育科、公民科や総合的な学習の時間など関連する教科、領域の中で学習テーマを学ぶことになっており、教科担任やクラス担任が指導されています。

また、各学校でこのプログラムが効果的に展開できるよう、事業や指導方法への理解を深めることを目的とした教員対象の研修会を年2回実施されています。

事業は、平成28年度入学生から実施されていますが、平成28年度は初年度であり指導者の養成が途中であったことから、卒業までに6プログラムを実施することとし、平成29年度入学生からは12プログラムを全県立学校で実施されています。

また、私立学校からの要請により、今年度から、私立高等学校・中等教育学校、国立大学附属特別支援学校の生徒にも冊子を配布されており、併せて教員も研修会に参加されているとのことでした。

現在、全学校1クラスずつ抽出し、「このプログラムを通して将来を考えるようになったか」「プログラムは見やすかったか」「先生の進め方」等についてアンケート調査を実施し、この事業の成果を検証されています。

同時にプログラムの活用状況について、プログラム作成にかかわった企画委員、学校教育の指導主事や社会主事の方々が、県内数校の学校訪問調査を実施し、検証を進められるとのことでした。

主な質疑

  • プログラム実施における学内の連携について
  • 教員及び生徒の意見について
  • 定住意識の項目の導入された経緯について
  • 「じぶん未来学」の年間時間数について
  • 体験活動の位置づけについて
  • 多様な考え方への対応について など

関係者から概要等について説明を聴取

つくば市議会(茨城県つくば市)

小中一貫教育について

つくば市では、平成24年4月から、中学校区を基盤とした学園名を決め、市内全小中学校で小中一貫教育を実施し、9年間の連続した学びにより子どもたちの成長を促し、発信型プロジェクト学習やつくば次世代型スキルの育成に取り組まれています。また、共通の教育目標、指導内容、指導方法を設定し、それらを小・中学校の全職員が理解し、さらに学園の保護者・地域の協力のもとで教育を実施されています。

同市の小中一貫校の施設は、一体型、隣接型、分離型があります。このうち、施設一体型の春日学園が、平成28年4月から義務教育学校となり、さらに、平成30年度には3学園が義務教育学校になるとのことです。なお、義務教育学校では、教員は小中両方の教員免許が必要となりますが、茨城県では採用と同時に両方の免許取得を推進されており、他都道府県と比べると、両方の免許を持つ教員が圧倒的に多く、小中一貫教育への移行がスムーズであったとのことでした。

また、平成24年度から市内全学校で独自の教育課程「つくばスタイル科」を実施されています。「つくばスタイル科」は、総合的な学習の時間の目標を踏まえつつ、「つくば次世代型スキル」の育成を目標とする新教科となっており、発信型プロジェクト学習と外国語活動から構成されています。

発信型プロジェクト学習では、学びのステップ(何ができるか考える、情報を集める、課題を見つける)を充実させ、市の教育資源を活用しながら社会力を育成する環境、キャリア、歴史・文化、健康・安全、科学技術、福祉、国際理解の7つの内容にかかる学習を展開されています。また、外国語活動(1学年から6学年)では、外国語を使った言語活動を通してコミュニケーション能力を育成されています。

小中一貫教育・つくばスタイル科の実施により、市内全小中学校の学びのスタイルが変わってきており、自ら学び・考え・判断できる「つくば次世代型スキル」を身に付けたグローバルな子どもたちが育ってきているとのことです。

今後は、市内全学園で、子どもたちが自ら学び・考え・判断できる21世紀の教育の充実を図るとともに、新たな施設一体型小中一貫校の開校を推進されるとのことでした。

主な質疑

  • 県内での義務教育学校の開校状況について
  • 施設一体型校の効果について
  • 教員免許の所持状況及び教員の負担割合について
  • 通学問題について
  • 学力面の検証について
  • 高校進学に関するビジョンについて など

関係者から概要等について説明を聴取

取手市議会(茨城県取手市)

現代アートによるまちづくりの取組について

取手市は、平成3年に東京藝術大学取手校地に先端芸術表現科が開学されたことを契機に、同大学との連携・交流を深められ、芸術による魅力あふれるまちづくりを進められています。

同時に、東京藝術大学と市民、市の三者が共同で企画運営する取手アートプロジェクト(TAP)が発足。平成22年からは、三者で組織する実行委員会と市民有志が設立した特定非営利活動法人が両輪となって運営し、アーティストと地域に暮らす人々との関係を結びながら、日常の中の創造性ある営み、芸術表現を通じた新しい価値観の創造を目指して活動されています。

平成21年までは、秋に会期を設定したフェスティバル型事業を実施されていましたが、現在は郊外都市の特徴に特化した通年のプロジェクト事業として「アートのある団地」「半農半芸」を軸に教育普及、中間支援、環境整備、人材育成事業を通年で実施されています。

アートのある団地で運営されている、コミュニティカフェ及びアートスペースは、市の福祉高齢施策・見守り機能を持つ「お休み処」となっており、年間約5,100人の利用があり、多世代交流や福祉と芸術の協働のほか、カフェのボランティアが地域芸術文化事業の担い手になるなどの効果が見られるとのことです。

継続的に地域と関わることで、芸術家の活動に対して共感や面白さを感じる市民の自発的な関わりが取組を支えるとともに、通年の取組になったことで芸術分野だけでなく福祉・産業・環境等連携のパートナーが広がっているとのことでした。

なお、TAPの活動は、取手市からの補助金のほか、文化庁や一般財団法人自治総合センターの助成金、受託事業や寄付金などを財源として実施されています。現在運営は成長期にあり、専門性の伸長と周囲からのニーズの拡大がこれからの課題とのことでした。

今回の調査では、事業概要について説明を受けた後、アートのある団地で運営されている、コミュニティカフェ及びアートスペースや独立行政法人都市再生機構と共同で壁面が大規模アート改修された団地の視察を行いました。

主な質疑

  • 現代アートと市民生活の関わりについて
  • 取手アートプロジェクトへの市からの予算措置について
  • 団地の壁面の維持年数について
  • 高齢福祉部門との連携について
  • 芸術家の移住者数について など

関係者から概要等について説明を聴取

説明聴取後、施設を視察

県立カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)

同スタジアムの運営状況について

茨城県立カシマサッカースタジアムは、鹿島アントラーズFCのホームスタジアムとして平成5年3月に竣工しました。日本初の屋根付きサッカー専用スタジアムとして、鹿島アントラーズの躍進とともに、「聖地」と呼ばれるほどサポーターに愛されるスタジアムになっています。

同スタジアムでは、平成18年度から、民間事業者の活力を導入したサービス向上、効率的な施設管理等を目的とした指定管理者制度の導入により、株式会社鹿島アントラーズFCが管理者として指定されています。現在は2期目、平成32年度まで10年間の指定期間で、指定管理料は年間約5,700万円とのことでした。

主に、鹿島アントラーズのホームスタジアムとしてJリーグの試合を中心に開催されていますが、365日市民が集えるスタジアムという目標のもとに、利活用促進の取り組みをされています。

平成18年度には、地域の健康促進を目的にカシマウェルネスプラザを開設し、最新のマシンとプログラムを提供されています。また、スタジアムの3階には、無料で利用できる1周630メートルのウォーキングコースが設置されており、約2万人の登録会員があるとのことでした。

さらに、平成27年度には、プロサッカークラブのチームドクターにより、広く一般の方に診療を行う整形外科医院(アントラーズスポーツクリニック)が開院し、地域の医療過疎対策に貢献されています。

また、スタジアムの日常的な賑わいの創出を目的に平成16年度に開設されたカシマサッカーミュージアムでは、2002年ワールドカップ開催時の記念品や鹿島アントラーズの優勝トロフィーなど貴重な展示物を中心に同スタジアムの歴史に触れることができ、年間1万人を超える入館者があるとのことです。

このように、さまざまな事業を展開され、賑わいが生まれているとのことで、スタジアムの活用は、平成28年度で年間利用日数が延べ1,333日、年間利用者数は621,404人と年々増えているとのことでした。

さらに、今年7月には、2020年東京オリンピックのサッカー競技会場として正式に承認され、今後オリンピック会場としての仮設の施設等の改修が予定されているとのことでした。

主な質疑

  • 試合開催日以外(ノーマッチデー)の利用状況について
  • 天然芝の維持経費について
  • 年間試合開催数及び利用料収入について
  • 利用料金(プロ利用及びアマチュア利用)について
  • 施設補修計画及び補修に伴う経費について
  • グラウンド利用内容について など

関係者から概要等について説明を聴取

説明聴取後、施設を視察

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