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更新日:2018年3月16日

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環境・建設交通常任委員会管外調査(平成29年11月7日から9日)

横浜市会(神奈川県横浜市)

横浜市の水道アセットマネジメントの取組について

横浜市は、水道事業、工業用水道事業の20年後から30年後を見据えて、市民や事業関係者等と共有すべき将来像とその実現に向けた取組の方向性を示す「横浜水道長期ビジョン」と、同ビジョンで描いた将来像を具体化するための「中期経営計画」(平成28年度~平成31年度)を平成28年に策定されました。取組にあたっては、1.安全で良質な水、2.災害に強い水道、3.環境にやさしい水道、4.充実した情報とサービス、5.国内外における社会貢献、6.持続可能な経営基盤を重点的な方向性として水道事業を進められています。

横浜市内の水道管の総延長は約9,100キロメートルに及びますが、管路は順次老朽化し、更新時期を迎えています。また、浄水場や配水池は主に昭和初期から昭和40年代に建設されており、今後老朽化が進むとされています。その上、同市では水道需要が減りつつあり、料金改定を行った平成13年をピークに、水道料金収入は減少しています。

中期経営計画においては、最初の4年間は黒字の見通しですが、機械的な試算では、平成37年には資金不足が見込まれています。こうした状況を踏まえ、財源を確保しながら施設を適切に維持・更新するための管理手法「アセットマネジメント」を採用されています。

同市では、昭和63年に管路情報マッピングシステムを導入し、管の布設年度や埋設状況、漏水発生率などがデータベース化されており、このデータを基に、管の材質ごとに想定耐用年数が設定されました。管路更新を進める際には、単に更新するのではなく、需要が減っている箇所は水道管の口径を小さいものに替えてコスト削減を図る一方で、より長持ちする素材を選ぶなど、一時的に費用がかかったとしても、長期的にみればコスト削減につながるようになっています。また、災害時に拠点となる病院などに水を運ぶ水道管の更新を優先するなど、災害対策にもつなげておられます。

今後は、事業費の縮減・平準化を図りながら施設の更新・耐震化を着実に進めるとともに、次期中期経営計画期間における業務の集約化や委託化、ICT活用による経常経費の削減策等について、局内検討を進めていくと同時に、人口減少や少子高齢化の加速を見据えた料金体系のあり方などについて検討し、持続可能な事業運営を目指されるとのことでした。

主な質疑

  • 施設の耐震化率について
  • 職員体制について
  • 管路を小口経化する際の安全面での課題について
  • 水道事業における中小企業の落札率について など

概要説明を聴取

横浜港 大さん橋 国際旅客ターミナル(神奈川県横浜市)

クルーズ客船寄港促進に向けた横浜港の整備について

横浜港は、「発着港」として、一時寄港だけでなく多数の横浜発着クルーズを実施されています。また、カジュアルからラグジュアリー、超大型客船から小型客船まで多彩な客船を受け入れており、平成28年の客船寄港回数は127回で、過去10年間を通して年100回から150回の高水準の寄港回数を保持されています。

横浜港では、横浜ベイブリッジの外側に位置する大黒ふ頭と本牧ふ頭、南本牧ふ頭において、コンテナターミナルの整備など、物流に係る整備が進められています。その一方、横浜ベイブリッジの内側(インナーハーバー)に位置する大さん橋と新港ふ頭においては、客船寄港促進に向け、賑わい拠点としての整備が進められています。

同港は、平成29年7月26日に、国土交通省より「国際旅客船拠点形成港湾」に指定されました。施設整備等に投資するクルーズ船会社に岸壁の優先使用を認める仕組みとなっており、大さん橋国際客船ターミナルにおいては、待合室の拡張整備を郵船クルーズ社と、新港ふ頭においては、客船ターミナル施設の整備をカーニバルコーポレーション&PLCと連携を進められています。

多数の客船を受け入れている横浜港ですが、ベイブリッジを通過することができない超大型客船も年に数隻寄港しています。超大型客船の受け入れには、これまでは大黒ふ頭の貨物岸壁を活用されてきましたが、客船受け入れのための施設が整備されていなかったため、現在は同ふ頭において、税関・出入国管理・検疫などの必要手続きを行うCIQ(Customs, Immigration and Quarantine)施設(外国客船の入出港時に税関・出入国管理・検疫を行う施設)の整備が行われています。

同港では、客船が寄港した際、さまざまな「おもてなし」をされており、歓送迎演奏をはじめ、観光マップや記念品の配布、臨時免税店の出店、さらに外国人旅行客には、日本文化の紹介や伝統芸能の披露などもされています。そのほかにも、市内観光スポットを周遊する無料シャトルバスの運行や、観光部局との連携による横浜観光紹介などのPR活動などにも力を入れておられます。

今後は、東日本のクルーズの拠点を目指し、各ふ頭における整備を進めていかれるとのことでした。

主な質疑

  • 港湾局の体制について
  • CIQ施設における出店の有無について
  • クルーズ客船の同時着岸見込み数について
  • クルーズ需要について
  • 両替施設について
  • 搭乗ブリッジについて など

説明を聴取した後、現地(大さん橋ふ頭及び新港ふ頭)を視察

ゆめソーラー館やまなし(山梨県甲府市)

山梨県の次世代エネルギー啓発の取組について

ゆめソーラー館やまなしは、平成24年1月に開館した山梨県営の環境学習施設で、次世代エネルギーの情報発信の拠点とされています。平成23年度には、県全体が次世代エネルギーパークとして国から認定され、当館はその中核として位置づけられています。

同館は、小・中学生の環境学習の場として利用されているほか、企業関係者や海外からの視察の受け入れもされており、来館者は年間約12,000人にも上るとのことです。

同館は、太陽エネルギーと地球環境についてユニークな映像で学ぶ「太陽エネルギーゾーン」と、山梨のエネルギーと最新の再生可能エネルギーの動向を学ぶことができる「山梨のエネルギーゾーン」で構成されています。館内では、地球環境について学習するための球体スクリーンや映像を使ったオンデマンドコンテンツの展示をはじめ、新しいエネルギー技術や地球温暖化防止対策の解説、実機を用いたシステムの運用及び解説がされています。その他にも、水素電力貯蔵システム模型や次世代フライホイール蓄電システムなど、多数の展示がされています。

同館の特徴的な点は、エネルギーの自給自足によるCO2ゼロ運営をされているところです。館内では、屋上に設置された太陽光パネルや雨水を利用した小水力発電などから生み出された電力を需要にあわせて使用したり、さらに冷暖房には地中熱を利用されています。

同館の隣には、県内最大のメガソーラーである米倉山太陽光発電所があります。同発電所は、山梨県と東京電力株式会社が共同で建設し、平成24年1月から稼働しています。一般家庭3,400軒分の年間使用電力量に相当する約1,200万kWhの電力を1年間に生み出し、約5,100トンの二酸化炭素排出削減効果を見込まれています。

今後は、地球温暖化対策を計画的、総合的に推進するため、全国有数の日射量を有している地域特性を生かし、再生可能エネルギーの導入や普及を推進されるとのことでした。

主な質疑

  • 企業局の業務について
  • 電気課の職員体制について
  • 超電導次世代フライホイール蓄電システムの仕組みについて
  • 雨水利用による小水力発電の発電量について
  • 太陽光パネルに不具合が発生した際の対応について など

説明を聴取した後、施設及び現地(米倉山太陽光発電所展望台)を視察

山梨県立リニア見学センター(山梨県都留市)

超電導リニア及びリニア中央新幹線の概要について

リニア中央新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法の基本計画路線に位置づけられている「中央新幹線」を、最高時速505キロメートルで走行する超電導リニアモーターカーにより、東京を起点に、甲府市付近、名古屋市付近、奈良市付近を主な経過地として、終点大阪市までを結ぶ新幹線のことで、JR東海が建設を進めています。

東京から名古屋間は平成39年、名古屋から大阪間は平成57年に開業が予定されており、東京から大阪間の約438キロメートルが最速67分で結ばれます。

リニア中央新幹線の平均時速は392キロメートルで、1編成あたりの定員は1,000人と、航空機並みのスピードと新幹線並みの輸送能力を兼ね備えています。

リニア中央新幹線を整備する意義について、JR東海は、「大動脈の二重系化」と「3大都市圏の一体化」の2つを挙げています。東京から大阪間を結ぶ「大動脈輸送」を担う東海道新幹線が経年劣化していくことに加え、東海道新幹線が南海トラフ巨大地震の際に震度が最大になると想定される地域を通っていることから、中央新幹線開通による二重系化が必要としています。また、リニア中央新幹線が完成すれば、首都圏と中京圏、近畿圏が一つにまとまり、人口6,000万人の巨大都市圏として機能するようになり、首都圏の機能が中京圏、近畿圏に分散しやすくなるなど、観光面等にも飛躍的な可能性があると展望されています。

今回視察を行った山梨県立リニア見学センターは、「どきどきリニア館」と「わくわくやまなし館」で構成されています。どきどきリニア館には、平成15年に当時の最高時速581キロメートルを記録した試験車両(MLX01-2)の実物展示や、磁力浮上・磁力走行を体験できるミニリニアの展示、時速50キロメートルの走行を映像と振動で体感できるシアターなどがあります。わくわくやまなし館には、ミュージアムショップや山梨県の観光及び物産品のPRコーナーなどが設置されています。

山梨県では、平成29年3月に「リニア環境未来都市整備方針」が策定されました。リニア新駅の周辺整備、駅からの交通アクセスといった基盤整備や定住促進、企業誘致、観光振興といった活性化方策など、リニアを活用した県土づくりに積極的に取り組まれています。今後も、県・市町村をはじめ、民間事業者、県民などが一体となり、リニア開業のメリットを最大限に活用できるよう、取組を推進されるとのことでした。

主な質疑

  • リニア中央新幹線開通により見込まれる経済効果について
  • 「リニア環境未来都市整備方針」の策定時期及び検討期間について
  • リニア駅設置場所決定に至るまでの経過について
  • リニア駅の利用想定者数について
  • リニア駅の規模について など

説明を聴取した後、施設を視察

神奈川県議会(神奈川県横浜市)

神奈川県のエネルギー自立型住宅・ビル・街の実現に向けた取組について

神奈川県では、「神奈川県再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例」に基づき、平成26年4月に「かながわスマートエネルギー計画」を策定し、1.再生可能エネルギー等の導入加速化、2.安定した分散型電源の導入拡大、3.ICTを活用した省エネ・節電の取組促進、4.地域の特性を活かしたスマートコミュニティの形成、5.エネルギー産業の育成と振興といった5つの基本施策に沿った取組を展開されています。平成32年度までに県内の電力消費量の45パーセントを分散型電力で賄うことを目標に再生可能エネルギーの普及を進められていますが、中でも、太陽光発電を促進されています。

具体化に向けて取り組まれている施策の一つが、薄膜太陽電池です。薄膜太陽電池は、フレキシブルで薄くて軽く、建物の窓面や壁面、バルコニーの手すりなど、多様な場所に設置が可能です。屋根などの平らな場所に設置される通常の太陽光パネルと比べ、設置可能場所が多いため、あらゆる場所が発電所になることが期待されています。平成26年度、平成27年度の2年間で、企業をはじめ、県内37カ所で薄膜太陽電池が設置されたとのことです。

また、同県では、県民や県内事業者が太陽光発電設備をリーズナブルな価格で安心して設置できるよう、平成23年12月から「かながわソーラーバンクシステム」を運用されています。このシステムでは、太陽光パネルメーカーや販売店から提出された、一定の要件を満たす太陽光発電システム設置プランを「登録プラン」として、県が運営する「かながわソーラーセンター」で県民に紹介されています。それ以降は、見積もりを依頼した県民と業者が直接やりとりし、調査や契約、設置工事やアフターサービスが行われる流れとなっています。

また、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)(高い断熱性能をベースに、省エネ・創エネを組み合わせることで、エネルギー消費量がおおむねゼロになる住宅及びビルのこと)の導入費補助や普及に向けたセミナーの開催をはじめ、県内の中小企業等を対象とした自家消費型太陽光発電等の導入費補助や、太陽光発電設備と併せて蓄電池を導入する際の蓄電システム導入費補助も行われています。

そのほか、水素社会実現に向けた取組も促進されています。県内には、平成29年3月末時点で、水素ステーションが12箇所(固定式5箇所、移動式7箇所)整備されています。平成32年度までに燃料電池自動車の普及台数を5,000台とすることを目標に、水素ステーション整備費補助や、個人や事業者に対する燃料電池自動車導入費補助もされています。

今後は、太陽光エネルギーや水素エネルギーなどを活用し、エネルギー自立型の住宅・ビル・街の実現に向けてさらに取組を進めていきたいとのことでした。

主な質疑

  • 薄膜太陽電池の発電効率及び価格について
  • 産業部と環境部の業務のすみ分けについて
  • 地域主導再生エネルギー事業の実績について
  • 既築住宅におけるZEH導入状況について
  • 水素社会に向けた展望について など

説明を聴取した後、神奈川県庁舎内に設置されている薄膜太陽電池を見学

木更津市議会(千葉県木更津市)

東京湾アクアライン等を活用したまちづくりについて

千葉県木更津市は、東京湾アクアラインの開通により、都心方面への交通アクセスが飛躍的に向上し、首都機能の一翼を担う業務核都市として発展してきました。現在は、木更津市中心部から北へ約5キロメートル、東京湾アクアラインの着岸地に位置する金田地区において、東京湾アクアラインの整備効果を生かした千葉県の新たな玄関口として、周辺環境と調和した質の高いまちづくり「かずさアクアシティ」が土地区画整理事業として進められています。

金田地区の中心を東京湾アクアライン連絡道が通っており、その連絡道を基準に金田西地区・金田東地区に分かれています。土地区画整理事業について、金田西地区の施工面積は110.8ヘクタールで、千葉県が平成10年10月に着手し、高速道路ネットワークによる利便性を生かし、商業・流通系施設等の集積を図り、住環境の良好な市街地の形成を目指し、整備が進められてきました。金田東地区の施工面積は155.6ヘクタールで、独立行政法人都市再生機構が平成12年に着手し、大型商業施設やアミューズメント施設などの集積を図り、利便性の高い市街地の形成に向けた整備が進められてきました。平成24年4月の三井アウトレットパーク木更津の開業を皮切りに、多数の企業が進出しているとのことです。

また、木更津市が事業主体となり、金田西地区において、新たな木更津金田バスターミナル(愛称:チバスタアクア金田)が整備されました。平成26年1月に事業着手し、待合所や自転車駐輪場の整備、バスレーン舗装工、歩道整備、施設総合案内板の設置などが行われ、平成28年6月から供用を開始されています。金田東地区においては、人口の増加に伴い、平成30年度の完成に向け、金田地域交流センター(仮称)の整備を進められています。

今後も引き続き、業務核都市の新たな拠点市街地としてふさわしい都市基盤の整備のため、土地区画整理事業を円滑に実施するとともに、人口定着と商業、業務機能を中心とした企業立地を促進されるとのことでした。

主な質疑

  • 木更津市の今後の人口の見通しについて
  • 三井アウトレットパーク木更津の年間利用客数について
  • 三井アウトレットパーク木更津における地元産品の販売状況について
  • 地震や津波の想定について など

調査概要を聴取

東日本高速道路株式会社関東支社 東京湾アクアライン管理事務所【於:海ほたる】(千葉県木更津市)

東京湾アクアラインの緊急避難体制について

東京湾アクアラインは、東京湾の中央部を横断する全長15.1キロメートルの自動車専用の有料道路で、千葉県木更津市と対岸の神奈川県川崎市を15分で結んでいます。木更津から約4.4キロメートルがアクアブリッジ、川崎から約9.6キロメートルがアクアトンネルとなっており、アクアブリッジは日本最長の橋梁、アクアトンネルは世界最長の海底道路とされています。トンネルの中央部には、換気施設である風の塔(川崎人工島)が、橋梁とトンネルの接続部には、海ほたるパーキングエリアが位置しています。

東京湾アクアラインは、昭和62年7月に着工、平成9年12月に開通、現在はNEXCO東日本により管理されています。

アクアトンネルは、道路トンネル非常用施設設置基準(昭和56年4月建設省通達、消防庁通知)に基づき、AA級トンネルとして、さまざまな対策が行われており、アクアトンネル真下に位置する緊急避難通路には、トンネルでの事故や火災等に備え、さまざまな避難設備が備え付けられています。緊急避難経路には、トンネルから避難通路に避難する際の滑り台状のスロープや非常電話が300メートル間隔で設置されています。非常電話は、事故当事者や火災発見者が受話器を取ると、自動的に交通管制センターにつながり、直接対話により情報が伝達される仕組みとなっています。緊急避難通路の気圧は外圧よりも高くなっており、トンネルにおける火災発生時の避難通路への煙の侵入を防ぐ仕組みとなっています。避難通路は、高さ2.75メートル、幅3.65メートルと狭く、大型車両は通行できないため、専用の消防車や救急車が備え付けられています。

また、トンネル内には、CCTV(監視カメラ)が設置されており、通常時は施設制御室のモニター画面で順次自動切り替えで監視を行われています。事故・火災の検知設備が作動した場合、この設備により、事故・火災の有無、発生箇所等の現地状況が確認される仕組みになっているとのことでした。

主な質疑

  • アクアラインの建設費用について
  • 火災発生時の延焼の可能性について
  • 緊急避難施設の点検について など

説明を聴取した後、緊急避難通路を視察

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398