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更新日:2018年3月28日

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環境・建設交通常任委員会管内調査(平成29年11月27日から28日)

防賀川【於:山城北土木事務所】(京田辺市)

防賀川の整備状況について

防賀川は、大谷川の支流に当たり、京田辺市、八幡市を流れる一級河川です。防賀川の河道延長は12.8キロメートル、大谷川の河道延長は9.0キロメートルで、両河川の流域面積は32.7平方キロメートルに及びます。

大谷川とその支川の防賀川からなる大谷川水系は、河道延長が長く、勾配が緩やかで、流下能力が低い河川となっています。また、従前は、大谷川の最下流に位置する橋本樋門からのみ淀川に流入する構造となっていたこともあり、大雨などによる浸水被害が度々発生していました。そこで、50年に1回程度発生すると予想される降雨で生じる規模の洪水を安全に流下させることを目的に、樋門の設置をはじめ、天井川切り下げなどの河川改修事業が長年にわたり進められてきました。

今回視察しました、防賀川の最上流に位置する京田辺工区は、河床高が周辺の地盤の高さよりも高い天井川となっており、破堤や越水などが発生した場合は甚大な被害が想定されるため、流下能力を拡大し治水安全度の向上を図ることを目的に、天井川の切り下げ工事が進められてきました。河道には、生物の生息・育成環境を創出するため、「みお筋」を設置するなど、環境への配慮もされています。

京田辺工区に関しては、昭和57年に天井川切り下げ事業に着手され、昭和62年までの間に、木津川合流点から防賀川合流点までの0.34キロメートルの放水路の整備が完了しました。それ以降、現在に至るまで、草内幹線排水路合流点から旧府道八幡木津線上流にかけて2.36キロメートルにわたる河川改修事業が進められてきたところです。直近の改修経過としましては、平成24年に旧府道八幡木津線に架かる水路橋が撤去され、平成25年には横断ボックスカルバートの設置が完成しました。平成26年度以降は、順次、上流に向かって切り下げ工事を進められているところです。

今後は、現在進めている京田辺工区の天井川切り下げ工事完了を含め、着実に河川改修事業を進めていかれるとのことでした。

主な質疑

  • 河川全体の整備計画について
  • 総事業費について
  • 天井川の成り立ちについて
  • 河川の維持管理について
  • 府内における天井川の切り下げ状況について
  • 台風21号時の状況について など

説明を聴取した後、現地(京田辺工区)を視察

GLM株式会社(京都市伏見区)

GLM株式会社における電気自動車の普及に向けた取組について

GLM株式会社は、2010年4月に、当時京都大学大学院2年だった現社長小間裕康氏によって設立され、現在、電気自動車の開発、販売を行っておられます。

同社の初代の車両は、スポーツカータイプの電気自動車「トミーカイラZZ」です。国産の電気自動車としても初となるスポーツカーの量産モデルで、2015年10月から舞鶴市の小阪金属工業株式会社の専用ファクトリーで本格的な量産が開始されました。販売価格は税抜800万円で、99台限定で販売され、販売発表直後に限定台数を超える問い合わせが入るなど、大きな話題となったとのことです。

トミーカイラZZは、発進から3.9秒で時速100キロメートルに到達できる加速性能で、1回の充電による航続距離は120キロメートルです。車台(シャシー)に高剛性アルミを、外装フレームに繊維強化性プラスチック(FRP)を採用しており、車体総重量は軽自動車よりも軽い85キログラムとなっています。同車にはルーフの取り付けがなく、またエアコンも搭載されていないなど、特徴的なつくりとなっています。

同社の特徴的な点は、自社工場を持っていないところです。車のコンセプトや性能、仕様、デザイン設計といった企画開発と、基礎技術や安全面の技術開発に重点を置いておられ、部品そのものは製造せず、各メーカーから調達するか、もしくはモーターやバッテリーなどの重要パーツは、メーカーと共同開発されています。よって、工場建設や各種ロボットなど、設備投資にかかる時間や資金を大幅に省略し、協力会社との「水平分業」による製造と開発で、経営スピードを高めています。

現在は、2車種目となる次世代スーパーカー「GLM G4」を、2019年の量産化に向けて開発を進められています。1回の充電による航続距離は400キロメートル、想定価格は4,000万円で、1,000台限定で発売される予定とのことです。

今後は、車をつくり実績を上げることでブランドを確立し、大量生産を進めていくと同時に、日本の技術を世界にも発信していきたいとのことでした。

主な質疑

  • 創業時における事業展開の展望について
  • 府内のベンチャー企業の動向について
  • 拠点を京都に置く理由について
  • 小阪金属工業(舞鶴市内)とのつながりについて
  • 車のエンブレムについて など

説明を聴取した後、電気自動車を見学

商工労働観光部・建設交通部港湾局【於:第2ふ頭旅客ターミナル】(舞鶴市)

京都舞鶴港の整備状況について

京都舞鶴港では、年々増加するクルーズ客船に対するおもてなしの取り組みや、増加するコンテナ貨物に対応するための港や臨港道路の整備が進められています。

今回の視察では、特にハード面での整備状況について調査を行いました。

京都舞鶴港に寄港する定期航路について、コンテナは、韓国航路が週2便、中国航路が週1便、また、フェリーは日韓露国際フェリー航路が週1便、国内便では北海道(小樽)を結ぶフェリーが毎日往復で運航されています。

京都舞鶴港での近年の取扱貨物量は、7年連続で1,000万トンを超えています。平成28年の総貨物量は10,829千トンで、内訳では、輸送用車両(フェリー)が4,935千トンと全体の約半分を占めており、続いて石炭が4,152千トンと全体の約4割を占めています。外貿貨物コンテナ取扱量については、平成28年に過去最高の11,493TEU((Twenty Foot Equivalent Unit)とは20フィートコンテナ1個を単位としたコンテナ数量のこと)を記録しました。

増加するコンテナ貨物に対応するため、物流機能強化事業が進められています。舞鶴国際ふ頭では、70メートルの岸壁延伸整備が国の方で行われ、平成29年10月から供用開始されています。同年11月には、従来第2ふ頭で使用されていた多目的クレーンが約2キロメートル離れた舞鶴国際ふ頭に移設されましたが、今後整備を進め、平成30年3月までに供用を開始される予定です。

平成29年度は、4月から10月の間で外航クルーズ船が39回寄港し、過去最高を更新しました。年々増加するクルーズ客船に対応するため、旅客ターミナルがある第2ふ頭では、「海の京都駅(仮称)」推進事業が進められています。今後は、第1種上屋の旅客ターミナル化や駐車場の整備など、旅客機能拡充に向けた整備が促進されるとのことでした。

また、おもてなしにも力を入れており、観光案内所の設置をはじめ、物品販売や中丹広域振興局による企画イベント実施など、賑わい創出に積極的に取り組んでいます。

平成29年4月には、それまで本庁にあった港湾課を舞鶴市内に移転し、現地の港湾事務所と一元化して、本庁組織としての京都府港湾局が新たに設置されました。これにより、現場での判断や課題の把握がスムーズになり、行政の効率化が図られるようになったとのことです。今後は、その点を生かし、ハード・ソフト両面から総合力を発揮していくとのことでした。

主な質疑

  • コンテナ貨物取扱量増加の背景について
  • 雇用創出や地域振興について
  • 港湾局設置による効果について
  • 今後のクルーズ客船誘致について
  • 臨港道路整備にかかる地元との調整について など

説明を聴取した後、船上視察

高野川(舞鶴市)

台風21号による被害状況について

平成29年10月21日から23日にかけて本府に接近した台風21号は、府内各地で甚大な被害をもたらしました。中でも、北部地域では、人家等の浸水被害が発生するとともに、護岸や河川堤防などが大きく被災しました。

今回の視察では、高野川下流域における台風被害について、調査を行いました。

高野川は、西舞鶴地域を流れる二級河川で、流域面積は16.15平方キロメートル、河川延長は7.2キロメートルに及びます。

台風21号により、高野川下流域では、商店街をはじめ、多くの家屋が浸水被害を受け、浸水戸数は、床上136戸、床下367戸、合計503戸に達しました。浸水深が54センチメートルに及ぶところもあったとのことです。

高野川下流域における浸水被害は、市街地の地盤高が低いために起こっており、1.高野川の堤防を洪水、高潮が越える越水、2.高野川から排水路等を通じた市街地への逆流、3.高野川に雨水が排水できないことによる内水氾濫などの要因が複合的に重なって発生しているとのことです。

同地域は、過去にも多くの浸水被害が発生しています。平成25年9月16日に発生した台風18号では、24時間実績雨量279ミリを記録し、被害家屋数は床上浸水130戸、床下浸水191戸にも上りました。

高野川流域の度重なる浸水被害の軽減を図るため、京都府と舞鶴市が連携し、それぞれの役割分担のもと、効率的で効果的な対策について協議を行い、総合的な治水対策(案)が平成29年3月にとりまとめられました。ハード対策では、洪水・高潮対策として、堤防のかさ上げや河道掘削、護岸整備などが、ソフト対策では、内水(高潮)ハザードマップ作成等による避難警戒意識の啓発などが当面の対策とされています。

今後は、治水対策の具体化に向け、河川整備基本方針や河川整備計画の策定や、下水道の都市計画決定、事業計画を策定し、平成30年度以降に集中的に実施していかれるとのことでした。

主な質疑

  • 台風21号時の周辺地域の溢水状況について
  • 内水のポンプ運搬作業について など

台風21号の被害状況について、中丹東土木事務所から説明を聴取

府道38号線(南丹市)

台風21号による被害状況について

南丹市もまた、台風21号により甚大な被害を受けました。森林が8割以上を占める同市では、倒木による被害が各地で発生しました。

今回の視察では、同市美山町白石地区に赴き、京都広河原美山線(府道38号線)の被害状況の調査を行いました。

降雨及び強風の状況について、同市美山町では、10月23日の2時30分に最大瞬間風速25.5メートルと観測史上最大を記録したほか、同町の洞では、22日の21時~22時にかけて最大時間雨量36ミリ、総雨量439ミリと、観測史上最大を記録しました。

今回視察を行いました白石地区の府道38号線では、台風21号による強風と豪雨により、現道横の斜面土砂と立木が道路に流れ込み、これにより、落石防止柵や落石防止網、ガードレールが一部破損するなど、道路の被災範囲は延長約80メートルにも及びました。被災箇所の斜面勾配は、40~50度の急斜面となっており、そこには100本を超える倒木や崩土が残置されており、台風被害の甚大さが改めて確認されました。

台風当時、当該被災箇所から京都市側にある白石地区(2世帯6人)及び佐々里地区(11世帯20人)が一時孤立状態になり、また、倒木による停電(26日夕方復旧)など、ライフライン被害も発生しました。

当路線では、冬期において、降雪のため、佐々里峠が一時期全面通行止めとなることから、白石地区及び佐々里地区の住民は田歌方面の一方向のみが唯一の通行可能道路となるところですが、その道路が今回の台風により被災してしまいました。今後の降雨や降雪により、残置された多数の倒木が現道に流れ込んで来る恐れがある中、孤立集落を生じさせないための応急対応として、現道に並行する佐々里川内に延長約170メートル、幅員4メートルの仮設道路(迂回路)が設置され、11月20日に完成しました。

仮設道路は平成30年3月末には撤去を予定されています。今後は、倒木の撤去なども含め、現道の早期復旧に向けて復旧工法等の検討を進めていかれるとのことでした。

主な質疑

  • 同地域における過去の風倒木被害について
  • 仮設道路完成までの期間について
  • 風倒木撤去の工法について など

台風21号の被害状況について、南丹土木事務所から説明を聴取

京都大学フィールド科学教育研究センター 芦生研究林(南丹市)

「芦生の森」の生態系維持回復に向けた取組について

芦生研究林(4,185.6ヘクタール)は、京都市の北約35km、福井県と滋賀県に接する京都府北東部、由良川の源流域に位置しており、通称「芦生の森」とも呼ばれています。同研究林は、平成28年3月25日に環境省から指定された京都丹波高原国定公園の核心地として位置付けられています。

府のレッドデータブックに記載されているほ乳類のほぼ全種の生息が確認されるなど、多種・多様な動植物の生息・生育環境が形成されており、生物学上また分類学上、貴重な種も複数確認されているとのことです。

1990年代以降、ニホンジカの生息数の増加に伴う植生への採食圧の高まりから、森林下層植生の衰退が顕在化する中、本府においては、生態系の維持又は回復に支障を来たす動植物の防除等を行うことを目的に、京都丹波高原国定公園生態系維持回復事業に取り組まれました。平成28年9月から翌年3月にかけて事前のモニタリング調査が行われるとともに、平成28年12月から翌年7月にかけて、1,900メートルにわたる防鹿柵が設置されました。今後、防鹿柵設置後の植生の状況についてモニタリング調査が行われるとのことです。

京都大学フィールド科学教育研究センターからは、同研究林における取組と将来について話を伺いました。同センターでは、1.教育と研究の活性化、2.市民からのサポートを得るための仕組みづくり、3.自然保護と利用の関係の適正化を柱として取り組みを進められています。

同研究林においては、農学部・農学研究科の実習や他大学の実習など、多くの教育プログラムが展開されているほか、一般市民を対象とした公開講座や、地元団体によるガイドなど、幅広く取り組まれています。近年は、アウトドアブーム等により、一般利用が増えているとのことですが、一方では不法侵入や遭難が課題となっているとのことです。

同研究林は現在、施設の老朽化や、先進的な研究設備の不足、広大な森の維持など、さまざまな課題を抱えており、これらの解決に向け、基金を設立し、同研究林の存在意義を社会に対して発信していく活動を進めています。今後は、このような課題解決に取り組むとともに、同研究林の維持・存続に向け、取組を進めていかれるとのことでした。

主な質疑

  • 防鹿柵設置によるモニタリング調査内容について
  • 京都大学フィールド科学教育研究センターの職員体制について
  • 芦生研究林における動植物の種類及び熊の生息について
  • 冬期の研究内容について など

説明を聴取した後、現地(カツラの巨木、防鹿柵設置場所)を視察

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398