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更新日:2018年3月28日

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農商工労働常任委員会管内調査(平成29年8月24日から25日)

京都府立京都高等技術専門校(京都市伏見区)

京都府立京都高等専門校における訓練科目の再編について

京都府立京都高等技術専門校は、職業能力開発促進法に基づき京都府の職業能力開発の拠点として、京都のものづくり産業を担う若年技術者を育成するための職業訓練を実施されています。

同校では、平成27年度から、人手不足が顕著な中小企業のニーズを踏まえた訓練の強化・充実、障害者の求職ニーズ・企業ニーズを踏まえた訓練の強化・充実、非正規雇用や離職率の高い若者のより質の高い就業実現のための訓練の強化・充実といった3つの視点で訓練のあり方を検討し、科目再編を実施されました。

具体的には、平成29年度から機械加工システム科の1年コースを廃止し、ものづくり企業のニーズを踏まえ、簿記・会計などの事務に加え、生産管理や機械器具の基礎知識を持った人材を育成することを目的に、プロダクトマネージメント科を開設されました。この科は小さい子どもを持つ女性でも受講できるように、訓練開始時間を他の科より1時間遅い10時とするなどの工夫をされています。訓練期間は1年、定員は20名です。

その他、障害者職業訓練を一元化するため、平成23年に開設された発達障害者を対象としたキャリアプログラム科を京都障害者高等技術専門校へ移管されました。

また、訓練や職業のミスマッチを防ぐために、訓練内容の体験や職業理解を中心とした「入校前導入訓練」も新たに実施されています。

平成29年度の入校状況は、設置されている5つの科を合わせて90名の定員に対して応募者数が129名、応募倍率は1.4倍でした。プロダクトマネージメント科の入校状況は、定員20名に対して応募者数が36名、応募倍率は1.8倍となりました。

平成28年度の就職状況は4つの科合わせて51名の修了生のうち、50名が就職し、就職率は98%となっています。(プロダクトマネジメント科は、平成29年度新設のため、実績なし)また、就職先の8割が中小企業とのことでした。

同校における就職支援は、担当課長や科指導員、専門就職推進員が一丸となり、きめ細かく指導されています。具体的には、就職ガイダンスや個別面接を実施し、本人の意向を十分に調査した上で、履歴書の書き方指導、模擬面接の実施など、丁寧に支援されています。未就業者にも修了から1年間は、情報提供を実施するなど継続的支援をされているとのことでした。

主な質疑

  • 資格取得について
  • 建築科の訓練期間と習得する工法について
  • 社寺建築関係に携わることを目指す人数について
  • 再編されたプロダクトマネージメント科の特徴について
  • 定員の充足状況及び修了者数の推移について
  • 訓練機器の更新状況について など

関係者から概要等について説明を聴取

説明聴取後、施設を視察

京都府農林水産技術センター(亀岡市)

試験研究開発を通じた農林水産業の振興について

農林水産技術センターのうち、農業研究の中心的機関となる農林センターでは、国産の豆類やブランド京野菜の生産技術の改良や、収益の高い農業経営を支える調査研究などが行われています。

今回は、農林センターの主な3つの研究成果について調査をしました。

まず、スマートフォンを活用した水稲の生育診断について調査をしました。

米の生産には生育量に応じた適切な量の追肥が重要であり、茎数や葉色などの実測には時間と労力を要し、葉色版を使った簡便法では生育量が不正確という課題がありました。そこで、同センターでは京都大学と共同で、スマートフォンで撮影した画像から水稲の生育量を算出し、適切な施肥量を診断するアプリを開発されました。現在は、診断できる品種がコシヒカリに限られていますが、今後は酒米に使われる「京の輝き」等の品種にも適用拡大していきたいとのことでした。また、中干しや収穫の適期判定への応用、民間企業と連携したアプリの実用化、早期普及にも取り組みたいとのことでした。

次は、黒大豆エダマメの長期安定生産技術の確立について調査をしました。

平成24年に品種登録をされた大粒で甘いエダマメ「京 夏ずきん」は8月から出荷がされていましたが、できるだけ早く店頭に並べたいという市場ニーズを踏まえて、パイプハウスを利用して7月から出荷できる栽培技術を確立されました。また、地下水位制御システム(FOEAS)を活用して安定生産を実現されました。

最後に、「京の米」オリジナル品種の育成について調査しました。

地球温暖化の影響により、コシヒカリを初め米の品質低下が顕著であること、米の産地間競争に打ち勝つため、ブランド力のあるオリジナル良食味米品種の開発要望を背景に、同センターではオリジナル品種育成に取り組まれています。新品種育成にあたっては、中央農業研究センター北陸研究拠点と共同研究を実施していきたいと考えているとのことでした。また、品種候補11系統から、収量、品質、病害虫抵抗性などの生産力を評価し、最終1系統に絞り込むとともに、炊飯食味計など最新の機器と京の料理人やお米マイスターなどによる官能試験で食味を評価していきたいとのことです。今後は、平成31年度までに品種候補を11系統から1系統まで絞り、平成33年度までには栽培を開始したいと考えているとのことでした。

主な質疑

  • 米の特Aの取り方研究、丹後農業研究所とのすみ分けについて
  • 豆類、品種改良等今後の展開について
  • 米政策に関する現場の声について
  • 生産緑地見直しでの農業を守るための要望について
  • 新羽二重の収穫量について など

関係者から概要等について説明を聴取

説明聴取後、現地を視察

京丹波町役場(船井郡京丹波町)

京丹波町におけるロケ誘致と「ロケ弁」作りを通した地域づくりの取組について

同町では、平成16年に鳥インフルエンザが発生した農場の跡地をオープンセットとして利活用する取組が進められています。

このオープンセットは全体で4.7ヘクタール、活用しやすい平地に限っても2.5ヘクタールある広大な土地で、周辺には民家などの支障物がなく、爆破シーンも撮ることができます。また、京都縦貫自動車道が開通し、京都市内の撮影所からもアクセスしやすいため、映画関係者から高い評価を得ているとのことです。

平成28年7月には、映画「本能寺ホテル」のロケ誘致に成功し、オープンセットでは本能寺の大炎上シーンの撮影が行われました。

また、平成29年6月には、地方創生推進交付金を活用し、京丹波町観光協会内に「京丹波町ロケーションオフィス」を発足されました。「京丹波町ロケーションオフィス」は京丹波町から委託を受けた京丹波町観光協会により運営されています。ロケーションオフィスでは、撮影ポイントの紹介や、映画制作に関連する各種事業者の紹介、斡旋などによるロケ支援が実施されています。

その他、ロケーションオフィスでは、事前に登録されたエキストラなどの人材を、映画制作会社、ドラマ制作会社等からの人材要請に応じて派遣する仕組みづくりにも取り組んでいるとのことです。この仕組みにより、地域経済へのうるおい、映画などへの参画による生きがい、楽しみ、地域への愛着が生まれるのではないかと考えているとのことでした。

さらに、同町では地元食材を使用した「ロケ弁」の開発も進められています。平成28年10月には、同町の依頼により「ロケ弁」の開発、研究をされている農事組合法人京丹波ほたるの里の加工施設「キッチンほたる」が整備されました。

ここで作られる「ロケ弁」は、平成29年7月に同町で行われたロケでも提供されたとのことです。こうした「ロケ弁」の開発・研究の取組は地域住民の活力にもつながり、さらに地域独自の自主財源確保にも寄与するものと期待が高まっているとのことでした。

主な質疑

  • ロケ地誘致のきっかけについて
  • 今後の中長期的な展開について
  • ロケ地の利用状況(収入面)について
  • 今後の運営形態への行政の関与について
  • ロケ事業の継続・拡充のためのアプローチについて など

関係者から概要等について説明を聴取

説明聴取後、施設を視察

商工労働観光部・建設交通部港湾局[於:第2ふ頭旅客ターミナル](舞鶴市)

京都舞鶴港におけるクルーズ客船誘致の取組について

京都舞鶴港では、国内外の観光客を取り込むためにクルーズ客船誘致に向けたハード・ソフト両面の取り組みが進められています。

今回は特にソフト面の取り組みについて調査をしました。

クルーズ船社は乗船港を決定する際に、乗船客を多く集められることを条件とすることから、クルーズ船を誘致するには京都舞鶴港からの乗船客をいかに増やすかも重要になるとのことです。

そこで、平成29年1月にはイタリアの船会社「コスタクルーズ」による「日本海周遊クルーズ」で船が寄港する5港が連携して、周遊クルーズの魅力をPRし集客を図るためのクルーズセミナーを開催されました。このセミナーは3大都市圏(大阪、名古屋、東京)で開催され、参加者に対して各港による寄港地紹介やコスタクルーズ社による周遊クルーズ説明が実施されたとのことです。

また、外国クルーズ船誘致に向けて、平成29年3月にはアメリカのマイアミで開催された海外展示会(シートレード・クルーズ・グローバル2017)に参加し、京都舞鶴港の魅力をPRするとともに、独自に商談会を実施し、各船主のキーパーソンとの関係構築に努めたとのことです。

さらに、国が実施する海外クルーズ船社等招請事業に積極的に参加し、クルーズ船社の幹部に観光地案内をするなど、クルーズ船誘致に努めているとのことです。

こうした取り組みにより、平成25年から順調に京都舞鶴港に入港する外国クルーズ船が増えています。平成29年は初寄港したドーンプリンセス、コスタネオロマンチカなどの外国クルーズ船が約40回京都舞鶴港に寄港しました。クルーズ船旅客数も増えており、今年は約4万人を見込んでいるとのことです。

また、クルーズ船寄港時には、着物姿の踊り子隊や地元の園児によるお出迎え、乗船客向けの観光案内所の設置、物販、Wi-Fi の整備、ふ頭から西舞鶴駅間のシャトルバス運行など様々なおもてなしが行われています。

主な質疑

  • 旅客ターミナルの拡充について
  • 乗船客へのおもてなし、海の京都DMOの市町村との連携について
  • クルーズ船閑散期の今後の取組及び要望について
  • クルーズ船乗船客への近隣地への観光誘致に向けた取組について
  • 海の京都DMOとの連携について
  • 主要な輸出入品について
  • コンテナによる収入について など

関係者から概要等について説明を聴取

説明聴取後、巡視船に乗船し現地を視察

海の民学舎[於:京都府水産事務所](宮津市)

海の民学舎における人材育成の取組について

京都府では、漁業の従事者数が高齢化や、後継者不足により著しく減少しており、漁村の過疎化も進行しています。また、漁業への新規就業者の定着が思わしくない状況でもあります。こうしたことを背景に、府と沿岸4市町(舞鶴市、宮津市、京丹後市、伊根町)、漁業関係団体が連携し、平成27年4月に、漁業の就業を目指す若者に対して、より実践的な知識や技術を習得させること、新規事業者を持続的に育成し漁村へ定着させることなどを目的に海の民学舎を開講しました。

学舎の運営は、行政と漁業団体で構成する「海の民学舎運営協議会」により行われています。

学舎での研修期間は2年間、定員は1期10名です。1年目は、宮津市にある水産事務所内の専用スペースにおいて、府内の漁業についての講義や実習が実施されます。具体的には、定置網漁業や底曳網漁業などの漁業実習、ロープワーク、魚網づくりなどの実習、漁業経営、漁村生活などについての講座が行われます。1年目の研修時間数は、座学358時間、実習912時間の1270時間です。また、1年目には研修生自ら就業を希望する漁業の種類、定住する地域・漁村を決定し、2年目は選択した漁村に定住し、指導者のもとで通年の実習が行われます。

研修生には各種支援制度も設けられています。例えば、1年目は国の次世代人材育成事業を活用し、1人当たり年間150万円が給付されています。2年目も、国の長期研修制度を活用し、指導者に対して助成をし、指導者から研修生に給与を支払う形で間接的に研修生の生活支援をされています。また、府内で5年間漁業に就業した者には授業料が返還されるとともに、共同生活の宿舎を低料金で提供されています。

現在は、第2期生3名、第3期生6名が学舎で学んでおられます。

平成29年3月には、第1期生7名が2年の研修を修了し、研修生の選んだ漁業、漁村で就業したとのことです。また、学舎では修了生に対する継続的な技術指導や漁村への移住・定住もサポートされているとのことでした。

主な質疑

  • 研修生の希望ジャンルと受け入れ先のマッチングについて
  • 2期生減少理由について
  • 修了生(1期生)の国の事業を活用した研修について
  • 地域との関わりの中での工夫点について
  • 府立海洋高校との関係について
  • 募集・紹介方法の現状及び今後について
  • 今後のカリキュラムの充実について
  • 独立型に対する生活面の支援について など

関係者から概要等について説明を聴取

説明聴取後、施設を視察

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398