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更新日:2019年2月20日

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府民生活・厚生常任委員会管外調査(平成30年11月7日から8日)

社会福祉法人 隆生福祉会〔於:特別養護老人ホーム ゆめパラティース〕(兵庫県尼崎市)

介護職員がやりがいをもって楽しく働ける環境づくりについて

調査目的

社会福祉法人隆生福祉会は、介護の仕事はきついというイメージを払拭し、5K(きれい、かっこいい、給料が高い、健康になる、感謝される)の介護を目指しており、その具体的な取組内容について調査を行い、今後の介護・高齢者福祉施策の参考とする。

調査内容

同法人は、「五つ(ご利用者様・ご家族様・地域・職員・法人)の笑顔」を法人理念に掲げ、平成12年に開設。平成23年には福祉先進国フィンランドと国際交流協定を締結し、職員の交換実習等に取り組んでいる。

視察を行った「ゆめパラティース」は、日本の「きめ細やかな心配りと、おもてなしの心」と北欧(フィンランド)の「個を大切にするライフスタイル」を融合した特別養護老人ホーム(デイサービスセンター、ショートステイ、ケアプランセンターを含む。)であり、充実した施設と設備を備えている。具体的には、共有スペース(中庭、バルコニー、喫茶コーナー等)やリハビリスペース(フィンランドの医療器具、トレーニングマシーン等)、快適・清潔な居室スペースのほか、介護ロボットを次々導入し、利用者の満足度向上・症状軽減とともに、現場職員の身体的・心理的負担の軽減に取り組んでいる。

今後も、フィンランドとの国際交流による実習生の相互受入や介護ロボットの積極的な導入等を継続するとともに、職員が楽しく、イキイキと働ける環境づくりを一層進め、7K(5K+かしこくなる、権威が高まる)の介護を目指していきたいとのことであった。

主な質問事項

  • フィンランドとの交流による取組成果について
  • 介護ロボットの導入効果及び補助対象機器について
  • 認知症軽減のための取組について
  • 施設職員の平均年齢及び退職率について
  • 施設利用料金について など

社会福祉法人隆生福祉会介護ロボットの説明を聴取
介護ロボットの説明を聴取

社会福祉法人隆生福祉会利用者居室を視察
利用者居室を視察

岡山市議会(岡山県岡山市)

(1)「SDGs未来都市」の取組(主に健康づくり)について

調査目的

地方公共団体のSDGs(持続可能な開発目標)普及促進を図るため、内閣府が優れた取組を行う自治体を選定する「地方創生に向けた自治体SDGs推進事業」に岡山市が応募し、平成30年6月、「SDGs未来都市」に選定された。岡山市が目指す「SDGs未来都市」に関し、主に健康づくりの取組や今後の展望等について調査を行い、今後のSDGs推進に向けた取組の参考とする。

調査内容

岡山市は、平成17年の「国連ESD(持続可能な開発のための教育)の10年」の始まりをきっかけに、同年、「岡山地域『持続可能な開発のための教育』推進協議会」を設置し、持続可能な地域づくりを目指して、学校、公民館、NPO、大学、企業等とネットワークをつくり、地域全体でESDに関する様々な取組(啓発事業、ワークショップ等)を進めてきた。

岡山市は、ESDの取組をさらに発展・加速させるため、「SDGs未来都市」の応募に合わせて、「SDGs未来都市計画~誰もが健康で学び合い生涯活躍するまちおかやまの推進~」を策定。本計画は、経済・社会・環境の全ての側面に寄与する「健康」を柱とすることで市民の健康が図られ、市民活動や企業活動がより活発になり、地域の持続可能な開発の推進を目指すことを「2030年のあるべき姿」とした。

今後3年間の具体的な取組として、「健康教育推進プロジェクト」、「AIを活用した健康見える化事業」、「ICTの活用による遠隔健康医療相談事業」といったモデル事業を実施するとともに、市長をトップとした「SDGs推進本部」を立ち上げ、地域で活動しているESDネットワークとも連携しながら事業展開・効果検証を進め、将来的には普及展開に向けた成功要件の共有、自律的好循環の仕組みを検討していきたいとのことであった。

主な質問事項

  • ESD(持続可能な開発のための教育)の市民への浸透度について
  • ESD成功事例であるアユモドキの保護について
  • SIB活用に向けた関係機関との合意形成について
  • ESDに係るユネスコや国連大学等との連携について
  • ICT活用による遠隔健康医療相談事業の効果について など

岡山市議会概要説明を聴取
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(2)在宅介護総合特区の取組状況や成果等について

調査目的

在宅介護に特化した持続可能な社会経済モデルを構築するため、岡山市は全国初の「在宅介護総合特区」の指定を受けた。同市が本総合特区を申請するに至った経緯及び目的、在宅に特化した規制緩和を求める提案のうち、国に認められた事業の概要、その成果や今後の展望等について調査を行い、今後の介護・福祉施策の参考とする。

調査内容

岡山市は、急速に進む超高齢化・人口減少社会の到来に伴い、地域コミュニティの活性化・地域経済の発展を促すことが求められるという課題認識のもと、介護が必要になっても高齢者が住みなれた地域で暮らしていくことが出来る社会の実現を目指す「在宅介護総合特区(岡山型持続可能な社会経済モデル構築総合特区)」を国に申請した。平成25年2月に国から「在宅介護総合特区」の指定を受けた後、在宅に特化した規制緩和を求める11事業を提案し、うち5事業が国との協議により実施が可能となった(第1期事業)。

具体的には、
1.通所介護サービスの質を評価し、その取組や成果に応じて事業者にインセンティブを付与する「デイサービス改善インセンティブ事業」
2.介護保険給付の対象となっていない新分野の介護ロボットを1割負担で市民に貸与する「最先端介護機器貸与モデル事業」
3.市内のフィットネスクラブと提携し、高齢者が自ら介護予防に積極的に取り組むことをポイント評価する「介護予防ポイント事業」
4.「医療法人による配食サービス実施事業」
5.「訪問看護・介護事業者に対する駐車許可の簡素化事業」
に取り組み、事業成果が現れたものは国の制度改正・全国展開が実現した。

平成30年度から平成34年度までは第2期事業として、新たな事業や第1期事業の拡充に取り組み、引き続き国の制度改正、全国展開を目指していきたいとのことであった。

主な質問事項

  • デイサービス改善インセンティブ事業に対する厚生労働省や有識者の評価について
  • 介護事業所や利用者など現場ニーズの高い事業について
  • 認知症情報共有事業に係る県警との協議について など


岡山市議会その2概要説明を聴取
概要説明を聴取

岡山県議会(岡山県岡山市)

(1)病児保育の広域相互利用について

調査目的

岡山県が主導して進めてきた、市町村域を越える「病児保育広域相互利用に関する協定」の締結に至るまでの県内市町村との調整内容や、締結後の利用状況、効果や課題等について調査を行い、今後の病児保育に関する取組の参考とする。

調査内容

病児保育は、市町村と保育施設が委託契約を結んで実施していることから、利用者は施設の所在市町村の児童に限定されており、かつ、市町村によっては、病児保育の実施可能な医療機関がないなどの理由から施設の設置が進んでいなかった。そこで岡山県は、平成28年度から県内全市町村と広域相互利用に向けた個別協議を進めるとともに、説明会を開催し、病児保育の広域相互利用の目的、費用負担の枠組み等について説明し、協定参加を呼びかけた。

その結果、10市7町(人口規模で県の85%程度をカバー)にある病児保育施設のうち、医療機関が運営する病児対応型施設(14施設)について、協定市町内の児童であれば利用可能とする「病児保育広域相互利用に関する協定」を平成29年3月に締結した。

平成29年度の実績として、利用者数が昨年度比23%増となるとともに、参加施設の他市町村からの延べ利用者数が1,100人(全利用者数13,397人)となるなど、一定の成果が現れた。一方、利用希望が集中する時期は定員超過となって断わらざるを得ないケースや、利用予約者が急遽キャンセルするケースなど、人員体制の確保や利用者マナーの向上といった課題が見えてきた。

今後は、通勤圏内の市町村同士の県境(兵庫県、広島県等)を越えた相互利用を検討するとともに、体制強化のため医療施設など関係機関との連携を進めていきたいとのことであった。

主な質問事項

  • 看護師や保育士スタッフの確保対策について
  • 病児保育施設の整備に係る県の支援について
  • 広域利用者の送迎サービスについて など

岡山県議会概要説明を聴取
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(2)高齢ドライバーの事故防止対策について

調査目的

岡山県は、高齢ドライバーの事故防止対策のため、急加速や急ブレーキといった運転操作を記録する機器をマイカーに取り付けてもらい、データを収集・分析する全国初の「安全運転モニタリング事業」を実施している。その事業内容や期待する効果等について調査を行い、今後の高齢ドライバーの事故防止対策の参考とする。

調査内容

岡山県内の65歳以上の運転免許保有者は、平成29年度末時点で32万8,862人(全体の約25%)を占め、その割合は年々増加していることから、高齢ドライバーの事故防止対策は喫緊の課題であった。

そこで岡山県は、オリックス自動車(株)の「あんしん見守りサービス(Ever Drive)」のシステムを活用した「安全運転モニタリング事業」を同社に委託。平成30年7月に県内3箇所で事前説明会を行い、150人のモニターを募集(利用者の負担なし)の上、同年9月から翌年2月までの6ヶ月間をモニター期間として実施している。

本事業の仕組みは、
1.急ブレーキや急発進、車の速度・位置情報等を検知する車載器をダッシュボード裏などに装着
2.各種走行データが、GPS(衛星利用測位システム)を介して同社の専用サーバーに集約
3.同社は、集まったデータから年齢層別の運転特性をはじめ、急ブレーキなど危険な運転が目立つ箇所などを分析し、県に提供
4.県は、県警や市町村とも情報を共有し、講習会などでの活用策を検討
5.個人データは、モニター自身や家族がパソコンやスマートフォンで確認でき、自らの運転特性を把握して事故防止に役立てられる
というもの。

本事業はモニター期間開始から1ヶ月経過したところであり、具体的な効果検証は来年度以降となるが、高齢ドライバーの事故未然防止につながるデータを分析することで、高齢者の運転特性や地域の危険箇所をつかむとともに、運転者や家族への注意喚起、危険箇所での道路改良に生かしていきたいとのことであった。

主な質問事項

  • 安全運転モニタリング事業の予算額と利用者負担について
  • 同事業の費用対効果の見込みについて
  • 過疎地域における高齢ドライバー対策について など

岡山県議会その2概要説明を聴取
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神戸市立神戸アイセンター病院(兵庫県神戸市)

目に関する一般医療と先端医療のトータル支援について

調査目的

神戸医療産業都市内に、目の病気から研究・治療、臨床応用、さらにはリハビリ・就労支援まで、目に関するトータルな支援を行う全国初の施設として「神戸アイセンター病院」が開院されたが、本病院の開院に至るまでの経緯や本病院の特長、目指す姿等について調査を行い、今後の医療対策推進の参考とする。

調査内容

神戸アイセンターは、平成25年9月に兵庫県と神戸市が、同センターの整備を含む「グローバル・ライフイノベーション特区(国家戦略特区)」を提案し、翌年5月の特区指定の閣議決定を受けて、整備が進められてきた。

神戸アイセンター病院は、神戸市立医療センター中央市民病院と先端医療センター病院の眼科を統合し、基礎研究から臨床応用、治療、リハビリ・生活復帰支援までトータルで対応する眼のワンストップセンターとして平成29年12月に開院された。

国家戦略特区プロジェクトとして、iPS細胞を活用した世界初の臨床研究である網膜治療をはじめとする再生医療の迅速な実用化などを図るとともに、白内障などの標準医療を確実かつ高水準で行いながら、再生医療分野を中心に最先端の高度医療まで行っている。

地上7階建ての院内には、病院エリア、研究所、細胞培養施設のほか、リハビリ、展示、セミナーや就業支援を行うホールを兼ねた「ビジョンパーク」が有機的に配置されるとともに、病院スタッフと研究スタッフが交流する共有スペースを設け、新たなアイデアやイノベーションを生み出す仕掛けづくりがなされている。

今後も、眼科領域の再生医療分野を中心に、最新の医学研究成果や医療技術を取り入れた新しい治療を世界に先駆けて提供することを通じて、神戸医療産業都市と日本の眼科医療に貢献できるよう全力を尽くしていきたいとのことであった。

主な質問事項

  • 患者の内訳(他病院の紹介等)や手術内容の内訳について
  • iPS細胞の臨床研究治療を受ける患者の選定基準について
  • 眼特化型の病院が成立する理由について
  • 病院経営全般(年間利用率等)について など

神戸市立神戸アイセンター病院概要説明を聴取
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神戸市立神戸アイセンター病院病院内の各フロアを視察
病院内の各フロアを視察

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京都府議会事務局委員会課調査係

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