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地球温暖化防止を推進するため、市民や事業者、行政が一体となり、汚泥や生ごみを利活用する同センターの取組について調査する。
同センターは、豊橋市バイオマス資源利活用施設整備・運営事業により整備され、平成29年10月に稼働開始した。下水汚泥やし尿・浄化槽汚泥、生ごみを資源としており、複合バイオマスエネルギー化施設としては、国内最大規模を誇っている。
同センターは、1日に汚泥472立方メートル、生ごみ59トンを受け入れており、それらをメタン発酵させ、バイオガスを取り出し、ガス発電のエネルギーとして活用している。メタン発酵後に残った汚泥は、石炭代替の炭化燃料に加工してボイラー燃料に利用するなど、100%エネルギー化を図っている。
同市は、「530(ゴミゼロ)運動(5月30日に街中のゴミを拾い歩く運動で、昭和50年に豊橋市が始め、全国に広がったとされている)」の発祥の地でもある。同市のごみの分別は11分別に上るが、市民や事業者のごみの分別に対する意識は高いとのことであった。
今後も引き続き、市民や事業者、行政が一体となり、環境に配慮したまちづくりを推進していきたいとのとのことであった。
概要説明を聴取した後、施設を視察
下水熱の有効利用が「ミライのフツー」となるよう、下水熱の普及を進める同市の取組について調査する。
同市は、平成21年5月に国の「環境モデル都市」に選定された。近年では、下水熱の有効利用が「ミライのフツー」となるよう、市民や企業、大学と連携を進めているが、中でも「まちなか」の下水に着目し、下水熱利用による環境負荷の低減の取組を推進している。
平成30年2月に開設した高齢者福祉施設では、豊田市駅前通り北地区第一種市街地再開発事業を活用して、下水熱利用給湯システムが導入された。高齢者施設周辺の下水管から熱エネルギーを回収し、水熱源ヒートポンプでお湯をつくり、高齢者施設に供給する仕組みとなっており、計画給湯量は27,000リットル/日で、約25%のCO2削減を見込んでいる。
下水熱の特徴として、下水の水温は大気に比べ、夏は冷たく、冬は暖かいため、年間を通して温度が安定している。高齢者施設や保育施設など、大量にお湯を使う施設では、下水熱を活用することは有効とのことである。
このほかにも同市では、下水熱広域ポテンシャルマップを作成したり、ピット型熱交換器による下水熱空調システムの実現に向け、積水化学工業株式会社と共同実証実験を行ったりするなど、さまざまな取組を進めている。
今後は、下水熱の認知度向上を図るため、情報発信を行うとともに、国の補助制度を有効活用するなど、下水熱を一層普及促進していきたいとのことであった。
概要説明を聴取した後、水熱源ヒートポンプを視察
地球温暖化対策を一層推進するため、再エネを活用して、「つくる・はこぶ・つかう」という水素のサプライチェーン(原材料の調達から生産、物流、最終顧客までの供給の連鎖)全体の低炭素化を推進するなど、水素社会実現を目指す同県の取組について調査する。
同県では、官民一体となり、水素社会実現に向けた取組を進めている。平成17年7月には、FCV(燃料電池自動車)の普及に向け、県内の水素ステーションの着実な整備を促進・誘導していくことを目的に、あいちFCV普及促進協議会が設立された。平成30年7月末現在、構成員は、県内全市町村や自動車メーカー、水素供給インフラ関連企業など、55団体14社に上る。
同県では、水素ステーションの整備費及び運営費に対しての補助や、燃料電池フォークリフト導入に対する補助などを行っている。平成30年7月末現在、県内の水素ステーションの数は、移動式のものを含め21か所に上り、全国1位の整備数となっている。
平成27年9月には、県庁内の水素社会普及啓発ゾーンに移動式水素ステーションが整備され、運用開始から2年半で延べ約1,200台が充填されたとのことであった。
普及啓発・意識醸成のための取組も進めており、平成29年度は、小・中学生を対象にした水素ステーション見学・FCV体験乗車など、水素関連のイベントも幅広く行われた。
今後は、FCVが開発・製造された地として、FCVの普及、水素ステーションの整備について、全国をリードする取組を進め、日本全体への波及を目指していくとのことであった。
概要説明を聴取
地域活性化や再生可能エネルギーの導入促進を図るため、農業用水を活用した小水力発電など、集落再生に向けた事業を展開する同法人の取組について調査する。
同市石徹白(いとしろ)地区は、岐阜県と福井県の県境、標高700メートルの高地に位置する人口約270人の集落である。豊富な水の流れを携えた豊かな自然に囲まれており、この地域を将来にわたって存続させていくことを目指し、平成19年から農業用水を活用した小水力発電に取り組んでいる。
平成26年には、地区のほぼ全戸(約100世帯)が加盟する石徹白農業用水農業組合が設立され、各戸が1口1万円ずつ出資し、石徹白番場清流発電所が建設された。「地域でできることは地域で」という考えから、発電所の電気制御や土木工事、日常維持管理を地元が行っており、売電収益は農業振興などに活用している。
今回の調査では、石徹白番場清流発電所のほか、上掛け水車、らせん型水車を視察した。
小水力発電事業の取組をはじめ、子育て世代の移住受け入れや地元女性有志によるカフェ立ち上げなど、地域住民が主体となった地域づくりの取組は、平成23年度「食と地域の絆づくり」の優良事例として農林水産省から表彰を受けるなど、全国的にも注目を集めている。
今後も、地域に宿る「自立の精神」で自然エネルギーによる地域再生の取組を進めていきたいとのことであった。
概要説明を聴取
上掛け水車を視察
らせん型水車を視察
石徹白番場清流発電所を視察
木質バイオマス発電の導入を推進するため、地域の未利用木材を利活用し、森林・林業等の地元産業の活性化に貢献している同社の木質バイオマス発電について調査する。
森林整備の有効活用と林業及び地域社会への貢献の観点から、近年、全国的に木質バイオマス発電の取組が広がっている。
同社は、これまで間伐材で伐採されながら、利用されずに森林内に放置されてきた小径木や根元材等の未利用木材を有効活用するため、28億円(うち、「森林整備加速化・林業再生基金」14.5億円:林野庁)をかけて木質バイオマス発電設備を整備した。平成26年12月に稼働開始した同バイオマス発電の発電出力は6,250kwで、年間89,000トン(木質チップ水分50%ベース)の燃料を使用している。発電した電力は全て売電し、年間約12億円の売電収入を見込んでいる。
本事業の開始により、15名程度の新規雇用創出がなされたり、森林内に放置されていた未利用木材を活用することで適正な山林環境が生まれ、放置木材の流出災害の防止に繋がったりしているなど、さまざまな効果が生まれているとのことであった。
平成32年には、発電出力6,800kwの第2号バイオマス発電設備の供用開始が予定されている。
今後は、森林資源の有効活用といった地産地消の資源循環型社会の実現だけでなく、電力の安定供給と県内林業の活性化及び森林の継続的な経営への貢献を目指していくとのことであった。
概要説明を聴取した後、木材チップを視察
燃料チップ用原木ストックヤードを視察
流動層ボイラーを視察
地域循環型社会の実現のため、市民共同発電所や地域電力会社「こなんウルトラパワー株式会社」を核として、地域自然エネルギーの地域循環政策を推進する同市の取組について調査する。
同市は、平成24年9月に全国初の地域自然エネルギー基本条例を制定し、平成27年2月には、条例の具体化に向けた地域エネルギー地域活性化戦略プランを策定した。その中で推進する6つのプロジェクトは、(1)小規模分散型市民共同発電プロジェクト、(2)公共施設への率先導入プロジェクト、(3)小水力発電導入プロジェクト、(4)バイオマス燃料製造プロジェクト、(5)スマートグリット街区のモデル的整備プロジェクト、(6)可能性検討プロジェクトである。
平成28年5月には、市商工会や民間企業との共同出資により、地域電力会社「こなんウルトラパワー株式会社」が設立された。地域内の発電所から発電された電力を市が買い取り、市内の公共施設や民間企業に対して電力を供給している。これら電力の地産地消の取組が評価され、一般財団法人新エネルギー財団主催の平成29年度新エネルギー大賞において、財団会長賞(普及啓発活動部門)を受賞した。
障害者福祉の分野でも先駆的な取組をしてきたことで知られている同市であるが、今後は、農業・福祉・エネルギーの連携をさらに進め、地域でさりげなく支え合える持続可能なまちづくりを進めていきたいとのことであった。
概要説明を聴取
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