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年報 第50号調査研究(要旨)

1.京都府河川に生息するトビケラ幼虫及びカワニナ中のPCBの調査

 宇治川に生息するオオシマトビケラ幼虫とチリメンカワニナ、及び鴨川に生息するヒゲナガトビケラ幼虫を採取し、PCB濃度を測定した。
 オオシマトビケラ幼虫については体重が増加するに従いPCB濃度が上昇する傾向が見られたが、チリメンカワニナについては逆の傾向であった。ヒゲナガトビケラ幼虫は、オオシマトビケラ幼虫に比べてPCB濃度が30分の1程度とかなり低かった。

2.HPLCシリカカラムを用いたLC/MS/MSによる農作物中のアセフェート、メタミドホス及びメソミルの定量法の検討

 当研究所では、食品中の残留農薬分析に当研究所が開発した一斉分析法を適用しているが、この方法で定量が困難であった表記3種類の農薬について定量法を検討した。
その結果、HPLC(高速液体クロマトグラフ)シリカカラムを用い、移動相をアセトニトリル/水(95:5)とした場合に良好な測定が可能であった。
 玄米、にんじん及びきゅうりについて添加回収試験を行ったところ、メソミルのにんじんについての結果を除き、おおむね良好に分析することが可能であった。

3.竹筒トラップによるアリ類調査について

 2004年5月から12月に京都市と宇治市の7箇所で、4種類の内径の竹筒トラップを25本ずつ、1箇所当たり100本設置し、アリ類の調査を行った。
 得られたアリ類は8種類で、内径4mmのトラップでは8種類すべてのアリが見られた。アリの利用種数やトラップ利用率には森林が影響を与えていることが示唆された。本調査法は簡易で指標性も高く、アリ類の調査方法として有効であると思われた。

4.平成15年度ダイオキシン類分析委託機関に対する外部精度管理調査について

 民間委託しているダイオキシン類の分析データの信頼性確保のため、委託機関に対する外部精度管理調査を行っている。
 平成15年度には、3種の標準物質を用いて府内の3分析機関に対して外部精度管理調査を行った。その結果、全体的には3機関の値は良く一致していたが、一部の化合物で系統的に高い値を示す場合があった。また、記載時の単純ミスもあった。

5.京都府における有害大気汚染物質濃度の経年変化と現状について

 平成9年12月の測定開始から17年3月までの有害大気汚染物質のモニタリングデータをまとめ、各測定物質の経年変化、地域特性等の解析を行った。
 測定物質により、調査地点、季節等による濃度の差が認められた。また、調査地点や測定物質により、移動発生源からの寄与が大きいと推察される場合と、移動発生源・固定発生源双方の影響が推察される場合とがあった。

6.キャピラリーカラムを用いた大気環境試料採取法の開発検討

 現在用いられている環境大気中の揮発性有機化合物の捕集方法には一長一短がある。今回、市販の内径0.53mmのカラムを短く切り試料捕集管として用いることにより、ヘキサン、トルエンなどが再現性良く分析でき、保存性も良好であった。
 この方法は、管の開口部が小さく形状が単純であるため汚染を受ける可能性が小さく、他の方法に比べて非常に安価であるなどの長所があり、大気環境試料の捕集に応用できる。

7.アルデヒド類捕集時における水分除去法の検討(減圧除去法の開発)

 有害大気汚染物質モニタリング調査で、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを捕集するとき、大気中のオゾンによる分解を防ぐため、オゾンを除去するスクラバーが用いられているが、湿度が高い時は水分が凝集して捕集管が汚染されてしまう。
 そこで、スクラバーの先端にキャピラリチューブを接続して負荷をかけ、系内の圧力を下げて水分凝集を防ぐ方法を検討したところ、水分除去に有効であることがわかった。

8.京都府主要河川及び瀬田川のプランクトン中のPCB濃度について

 京都府の主要河川である宇治川、木津川、桂川、由良川及び宇治川上流河川の瀬田川におけるプランクトン中PCB濃度を比較した。
 その結果、PCB濃度は瀬田川が高く、宇治川、木津川、桂川及び由良川では低い濃度レベルであった。また、宇治川と瀬田川では含有量に大きな差があり、この傾向は過去に調査された水生生物の傾向とは必ずしも一致しなかった。

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