公共用水域及び地下水の水質常時監視について
(京都府保健環境研究所だより86号掲載)
1 水質汚濁防止法と公共用水域及び地下水水質測定計画について
水環境の保全を目的として、水質汚濁防止法が昭和45年に制定され、工場及び事業場から公共用水域(公共利用される河川、湖沼、港湾及び沿岸海域の総称)への排出水及び地下に浸透する水を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等が規定されました。この中で、各都道府県知事は国の地方行政機関の長と協議して測定計画を策定し、公共用水域及び地下水を常時監視しなければならないとされています。
京都府内全体の常時監視は、国土交通省近畿地方整備局、京都府及び京都市が、毎年協議した計画に基づいて担当分の測定を行っており、京都府知事がそれらの結果をまとめて環境大臣に報告し、公表することになっています。
2 水質測定項目について
京都府内全体では、計画に基づき次の項目を測定しています。
(1)公共用水域
人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)26項目、生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)10項目、水質汚濁防止法に基づく排水基準が定められている項目等その他項目として14項目を測定しています。これ以外にも、各機関が独自に測定している項目があります。
公共用水域測定項目
健康項目(26項目)
カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、アルキル水銀、PCB、ジクロロメタン、四塩素化炭素、1,2-ジクロロメタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン
1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、チウラム
シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素、ほう素
生活環境項目(10項目)
pH、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質量(SS)、n-ヘキサン抽出物質、大腸菌群数、全亜鉛、全窒素、全リン
その他の項目(14項目)
フェノール類、銅、鉄、マンガン、クロム、アンモニア性窒素
無機性リン、クロロフィルa、電気伝導度、濁度、塩素イオン
陰イオン界面活性剤、ニッケル、トリハロメタン生成能
(2)地下水
健康項目26項目、その他3項目を測定しています。
地下水測定項目
健康項目(26項目)
カドミウム、全シアン、鉛、六価クロム、砒素、総水銀、アルキル水銀、PCB、ジクロロメタン、四塩素化炭素、1,2-ジクロロメタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン
1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、チウラム
シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素、ほう素
その他の項目(3項目)
トランス-1,2-ジクロロエチレン、ニッケル、アンチモン
3 平成17年度の実施状況
(1)公共用水域
平成17年度、京都府内全体では、河川、海域を合わせた公共用水域で48水域128地点を測定しました。また、補助計画(測定計画に含まれない中小河川等について国土交通省及び京都府が独自に策定したもの)として16水域31地点を測定しました。検体数については、本計画で約19,000、補助計画で約1,800の検体について測定を行いました。
表3 公共用水域地点数
| 機関名 | 本計画 | 補助計画 |
| 国土交通省 | 24 | 5 |
| 京都府 | 71 | 26 |
| 京都市 | 33 | 0 |
| 合計 | 128 | 31 |
表4 公共用水域検体数
本計画
| 機関名 | 生活環境項目 | 健康項目 | その他項目 |
| 国土交通省 | 2,116 | 1,800 | 1,108 |
| 京都府 | 5,353 | 1,795 | 791 |
| 京都市 | 2,371 | 2,532 | 832 |
| 合計 | 9,840 | 6,127 | 2,731 |
補助計画
| 機関名 | 生活環境項目 | 健康項目 | その他計画 |
| 国土交通省 | 960 | 0 | 120 |
| 京都府 | 502 | 114 | 82 |
| 京都市 | 0 | 0 | 0 |
| 合計 | 1,462 | 114 | 202 |
(2)地下水
環境省が定めた方法に従い、概況調査(府内全域の地下水の水質状況を把握するための調査、年間60地点程度を選定)、汚染井戸周辺地区調査(概況調査で健康項目が検出(ただし、フッ素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の場合は基準超過)した場合に行う調査)及び定期モニタリング調査(汚染が確認された井戸について、定期的に水質動向を把握するために実施)を行いました。京都府内全体では169地点で採水を行い、年間1,700余りの検体で水質測定を実施しました。
表5 地下水地点数
| 機関名 | 概況 | 周辺地区 | 定期 |
| 国土交通省 | 2 | 0 | 3 |
| 京都府 | 49 | 12 | 43 |
| 京都市 | 12 | 13 | 36 |
| 合計 | 62 | 25 | 82 |
表6 地下水検体数
概況調査
| 機関名 | 健康項目 | 要監視項目 |
| 国土交通省 | 46 | 0 |
| 京都府 | 587 | 0 |
| 京都市 | 186 | 6 |
| 合計 | 819 | 6 |
汚染井戸周辺地区調査
| 機関名 | 健康項目 | 要監視項目 |
| 国土交通省 | 0 | 0 |
| 京都府 | 12 | 0 |
| 京都市 | 52 | 0 |
| 合計 | 64 | 0 |
定期モニタリング調査
| 機関名 | 健康項目 | 要監視項目 |
| 国土交通省 | 8 | 0 |
| 京都府 | 193 | 26 |
| 京都市 | 624 | 0 |
| 合計 | 825 | 26 |
4 京都府の試験機関が測定している項目について
京都府(京都市を除く)では、南部地域(南丹、乙訓、山城北及び山城南保健所管内)で採水された検体は保健環境研究所水質課で、北部地域(丹後、中丹東、中丹西保健所管内)の検体は中丹西保健所食肉・試験検査室で測定しています。
(1)公共用水域
生活環境項目では、n-ヘキサン抽出物質、全亜鉛、全窒素及び全リンの4項目を、健康項目では全シアン、六価クロム、総水銀、アルキル水銀、PCB及びフッ素を除く20項目を、さらにその他項目のうち銅及び鉄等9項目を測定しています。また、これら以外に22項目(平成19年度からは24項目を予定)の測定を行っています。
(2)地下水
PCBを除く全ての項目を測定しています。
5 平成17年度の京都府内全体の環境基準達成状況 (表7)
(1)公共用水域
健康項目では、全ての項目で環境基準を達成しました。生活環境項目のうち、河川のBODは環境基準点のある41水域中34水域で達成、海域のCODは7水域中1水域でのみ達成しました。また海域の全窒素及び全リンは5水域中2水域で達成しました。
(2)地下水
概況調査では、1地点で総水銀が環境基準を超過し、汚染井戸周辺地区調査では、テトラクロロエチレンが10地点で超過しました。
定期モニタリング調査では6項目で基準超過の状態が続いています。
表7 環境基準達成状況 公共用水域(基準達成水域数)
| 項目名 | 測定した水域 | 達成した水域 |
| 健康項目全ての項目 | 48 | 48 |
生活環境項目
| 項目名 | 測定した水域 | 達成した水域 |
| 河川BOD | 41 | 34 |
| 海域COD | 7 | 1 |
| 海域全窒素、全リン | 5 | 2 |
地下水(基準超過地点数)
| 概況調査 | 総水銀 | 1 |
| 汚染井戸周辺地区調査 | テトラクロロ エチレン | 10 |
| 定期モニタリング調査 | 砒素 | 3 |
| 総水銀 | 1 | |
| テトラクロロ エチレン |
7 | |
| 硝酸性窒素及び 亜硝酸性窒素 | 3 | |
| ふっ素 | 1 | |
| ほう素 | 1 |
6 水質状況の変遷について
(1)河川のBOD
河川の主要環境基準地点のBODは、桂川や鴨川では、昭和60年から平成元年にかけて、5mg/Lを超える値を検出していましたが、その後水質改善が進み、現在では2mg/L前後で推移しています。その他の河川ではほぼ2mg/L以下で横這い状態が続いています(図1)。
(2)海域のCOD
昭和60年度から、阿蘇海では3mg/L前後、その他の海域では2mg/L前後で推移していましたが、平成14年度以降は7地点全てにおいて緩やかな増加傾向を示しています(図2)。
7 最後に
河川や湖沼の水質汚染は、かつては工場等が出す有害物質(水銀等)を含んだ排水等によるものが主な原因で、社会問題となり、水質改善が進められてきました。近年、生活雑排水等による有機物汚染が新たな問題となっています。また、地下水では、汚染による影響が長期化している事例が数多くあります。 新しい世代にきれいな水環境を引き継いでいくために、自然環境に配慮した生活が私たち一人ひとりに求められています。
(水質課)

