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図:保健環境研究所だよりタイトル

bW0 平成17年3月  


もくじ





京都環境フェスティバル2004

 地球温暖化の防止や循環型社会の形成など、環境保全に取り組む団体や環境NGO、企業等の活動を紹介する「京都環境フェスティバル2004」に出展しました。
 「色の変化を愉しもう〜地球環境問題の視点から〜」をメインテーマに、実験を通して当研究所の仕事の一端を知っていただくとともに、環境問題についても考えていただくことができました。

と き 平成16年12月11日(土)、12日(日)10:00〜16:00
ところ 京都府総合見本市会館(パルスプラザ)
 

写真、息を吹き込んで色の変化を観察しているようす(その2)  実験1:地球温暖化の原因は何だ?

 地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素は、自動車の排気ガスに大量に含まれています。実験で、二酸化炭素の性質である、「水に溶けると酸性になる」ことを確かめました。
実験2:酸性雨の正体をさぐれ!

 酸性雨は、二酸化炭素より酸性の力が強い窒素酸化物などが原因とされています。自動車の排気ガスに含まれている窒素酸化物を調べました。
 写真、排気ガス中の二酸化窒素による色の変化を観察しているようす(その1)
写真、インクの成分を分離する実験のようす(その2)  実験3:あばいてみよう!色のヒ・ミ・ツ
              〜色の正体をさぐれ〜


 私たちの身の回りにあるいろいろな色は、実は何種類かの色が合わさってできています。黒インクや黒サインペンの色の正体を調べました。
 



ひとこと
 企画した実験はいずれも色の変化がよくわかることもあって、とても盛況でした。次回も、環境に関する楽しい実験を用意して、皆さんのご参加をお待ちしています。



   研究所の業務を振り返って

技術次長 筒井 剛毅 


 私は昭和44年4月に京都府に採用され、本年3月に退職することとなりましたが、その間36年の長きにわたり、研究所一筋で勤めさせていただきました。赴任当初は、公害調査課に所属し、水道水や河川水等の水質検査を担当しました。それまで、水質検査は全く未経験でしたので、当時の先輩や上司から分析のイロハを学ぶことができ、その知識がその後の技術的基盤となりました。その時、指導していただいた諸先輩方には大変感謝しております。
 ちなみに私が仕事を始めた頃は、日本経済が飛躍的に拡大した高度経済成長期の終わりの頃で、国民の生活水準は一気に向上し、豊かな生活を可能にしましたが、その反面、大気汚染や水質汚濁による環境汚染が全国的に拡大し、連日のように新聞やテレビ等でその状況が報道されるなど、公害が大きな社会問題となっていた時期でした。そのため、水質調査で現場に出かけると、新聞記者が追いかけて来て「調査の目的は、結果は何時出ますか?」などの取材を受けることが多くありましたが、その内容が新聞に掲載されると、何となく誇らしく感じていたことを思い出します。
 36年間の研究所生活のうち、水環境に関する仕事が通算27年間と最も長く、他に大気環境に関する仕事を5年間、食品検査を4年間それぞれ担当させていただきました。今回、退職を迎えるに当たり、これまでの仕事の中で特に印象深かったことについて、少しふれさせていただきます。

 必要とする資機材は手作りで
 水質汚濁対策に係る研究所の最も大きな役割としては、環境基準や排水基準が守られているかを監視するための水質検査があげられますが、環境基準を達成していない場合は、その改善方法について提案する必要があります。その時には、水が汚れる原因と仕組みを調べるための現地調査が不可欠となります。今日では、調査に必要な資機材は多数市販されていますが、当時は、検査の機器はかなり揃っていましたが、調査用の機材はほとんどありませんでした。そのため、当時の上司からの「無ければ作れば良い」との一言で、色々な資機材を多くの同僚と深夜遅くまで手作りしたことが、今でも懐かしく、その後の私の仕事の進め方に大きく影響しました。
 当時、水質調査用に考案・開発した資機材として、連続的に試料を採水する水圧式連続採水器、川や海域の底泥から溶け出す汚染物質を調べるための底泥表面水採水器、重金属を選択的に吸着・濃縮する重金属積算指標計、湾内の海水を水平・鉛直方向に短時間で採水可能な真空式3次元同時採水器などがあります。これらの資機材を活用して、舞鶴湾や阿蘇海の汚濁機構の解明に役立てることができました。

水圧式連続採水機の模式図 写真:重金属積算指標計
水圧式連続採水器 重金属積算指標計




 京野菜との関わり

 食品検査を担当していた頃に、京野菜の栄養成分について調査を行いました。この成果については、当時、NHKの朝の連続ドラマで「京ふたり」が放映されており、その中で京野菜が頻繁に取り上げられていたこととも重なり、大きな反響がありました。
 特に、その時々で話題となった人を紹介する朝日新聞の「ひと」欄に掲載されたことは、今でもなつかしく誇りに思っています。京野菜はその後京のブランド産品に認定され、順調に市場を拡大しています。
 調査を開始した頃は、今も変わりませんが、ご承知のとおり食生活が生活習慣病と密接に関連しているとされ、京都府においても京野菜を食材とした京の長寿食メニュー作りが進められており、研究所にも栄養価の点で相談がありました。府の農業総合研究所の協力により京野菜を入手し、16品種について、50項目の栄養成分を調べました。その結果、京野菜の栄養価は市場に多く流通している野菜に比べて高いことが分かり、特に、生活習慣病予防などに効果が期待されている食物繊維や多価不飽和脂肪酸が多く、ビタミンC、ビタミンE、ミネラルなども豊富に含んでいることが明らかとなりました。
 また、食物繊維の形状は品種により異なっており、特に薬味として珍重されている辛味大根の食物繊維は、研ぎすまされたサーベル状であったことを今も鮮明に憶えています。また、収穫後、栄養成分がどの程度減少するかを伏見とうがらし等で調べたところ、ビタミンEについては逆に増加することが分かり、その大部分は種に含まれていました。野菜は栽培後、栄養分の補給は停止しますが生きています。その間、ビタミンEを生成し、種に蓄積していることになります。生物の最も重要な役割は種の保存であることは間違いなく、そこにビタミンEが大きく関わっていることは注目される現象と考えています。

 技術的相談
 研究所の役割として、本庁、保健所、市町村及び府民から寄せられる環境・衛生に関する技術的相談への対応があり、その対応の仕方によっては、研究所の存在感を高めることにもなりますし、逆に役割が問われることにもなりかねません。私が対応した内容は、地下水汚染、土壌汚染、魚の斃死や水道水での異臭味などですが、特に印象の強い相談として、水道水から水銀が水質基準を超えて検出されたため、その原因究明と今後の対策をどうするかとの事案がありましたが、幸いにも対応策を含めて回答することができました。これら多くの相談に対して、手前味噌ですが誠実に対応してきたことを今も誇りに思っています。
 これからの後輩の方々には、研究所は技術的な諸問題に対する最後の砦であることを肝に銘じて、日々研鑽に努めて頂くことを期待しています。特に、昨年、京都府で発生した高病原性鳥インフルエンザ対策で研究所が果たした役割は大きく、その存在感を示した事案でありました。今後とも健康危機管理対応を目指した庁舎整備を進めていただくとともに、府民が安心・安全に生活できるために寄与出来る研究所であることを切に願っています。
 最後に、研究所に長くお世話になり、その間、多くの調査や研究に関わって参りましたが、何よりも人間関係が大切であること、成果は多くの人々の協力の上に成り立っていることを痛感しており、紙面をお借りして、感謝申し上げます。





 「健康食品」って何?


 運動不足、睡眠不足、野菜が不足気味でなかなかバランスのとれた食事ができなくて、病気ではないけれど健康でもないと考えている人が多いと思います。このような生活を改善するために「何か健康によいもの」をということで、市場に出回っている様々な「健康食品」への関心が高まってきています。しかし、一般に“健康によさそうなもの”の総称のように言われている「健康食品」という言葉ですが、この言葉に法律上の定義はありません。
 人が口に入れるものとしては、下図に示したように医薬品(医薬部外品を含む)と食品があります。保健機能食品制度は平成13年4月に発足しましたが、今回新たに追加された条件付き特定保健用食品を含め、「健康食品」について、紹介します。


図 医薬品と食品の分類
区分 医薬品
(医薬部外品を含む)
食      品
特別用途食品 栄養機能食品
(規格基準型)
健康の保持・増進をうたっている「いわゆる健康食品」 一般の食品
病者用食品等(許可基準型・個別評価型等) 特定保健用食品(個別審査型・規格基準型・疾病リスク低減表示) 条件付き特定保健用食品(個別審査型) 健康補助食品((財)日本健康・栄養食品協会規格基準型) その他
保健機能食品
成分等に関する表示 成分及び含量
効能効果
使用上の注意事項
栄養成分含有表示
保健用途の表示
栄養成分含有表示
保健用途の表示(栄養成分機能等)
摂取する上での注意事項
栄養成分含有表示
栄養成分機能表示
注意喚起表示
栄養成分含有表示 栄養成分含有表示
(表示しなくてもよいものもある)
その他 「食生活は、主食、主菜、副食を基本に、食事のバランスを。」等の表示 「食生活は、主食、主菜、副食を基本に、食事のバランスを。」等の表示(努力義務)
背景が色つき が健康食品




特別用途食品とは

 特別用途食品は病者用食品等、特定保健用食品及び条件付き特定保健用食品に分類できます。

1 病者用食品等

図:病者用食品のマーク  この食品には、左図の表示があり、区分欄には、乳児用食品、妊産婦用食品、高齢者用食品、病者用食品等が記載されています。
 高血圧症や腎臓疾患等の疾病によりナトリウムを摂取制限されている方のための低ナトリウム食品のような病者用食品や、乳児用の調製粉乳、妊産婦の栄養補給に適した粉乳、そしゃく困難な高齢者用の食品等特別な用途に適するという表示をした食品を言います。この食品は、厚生労働省が内容を総合的に審査し許可しています。


2 特定保健用食品

図:特定保健用食品のマーク  この食品には左図の表示がされています。
 からだの生理学的機能や生物学的活動に影響を与える特定の保健機能を有する成分を含んでおり、摂取することにより、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、お腹の調子を整えるのに役立つなどの特定の保健の用途のために利用されることを目的とした食品です。この食品は、厚生労働省で有効性や安全性に関する科学的根拠に関する審査を受け、許可された内容が商品に記載されています。
表1 特定保健用食品の表示内容と成分一覧例
表示内容 成  分
お腹の調子を整える食品 各種オリゴ糖、ラクチュロース等
コレステロールが高めの方の食品 大豆蛋白、キトサン等
血糖値が気になる方の食品 難消化性デキストリン等


3 条件付き特定保健用食品

図:条件付き特定保健用食品のマーク  この食品は平成17年2月から新たに追加され、左図の表示がされています。
 特定保健用食品の審査で要求されている有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、からだの生理学的機能や生物学的活動に影響を与える特定の保健機能を有する成分を含んでいることが認められる食品です。
 特定保健用食品と同様、この食品も厚生労働省で有効性や安全性に関する科学的根拠に関する審査を受け、許可された内容が商品に記載されています。



栄養機能食品とは

高齢化や不規則な生活などにより、通常の食生活を行うことが難しく、1日に必要な栄養成分を摂れない場合など、栄養成分の補給・補完のために利用してもらうことを趣旨とした食品です。
 この食品には、食品衛生法施行規則及び健康増進法に基づく栄養表示基準の規定により、1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量の上・下限値の規格基準に適合し、栄養機能食品(栄養素:対象成分の栄養素名)や定められた栄養機能表示や注意喚起表示、さらには厚生労働大臣による個別審査を受けたものではない旨等の表示がなされています。
 また、栄養機能食品の規格基準は現在17種類(ビタミン12種類、ミネラル5種類)です。

ビタミン: ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、
ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸
ミネラル: 亜鉛、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム

表2 栄養機能表示及び注意喚起表示の例
栄養成分 栄養機能表示 喚起表示
ビタミンA ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。
ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないよう注意してください。
ビタミンC ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。 本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。




いわゆる健康食品とは

1 健康補助食品

図:健康補助食品のマーク  公益法人である(財)日本健康・栄養食品協会が55の食品群について自主的に規格基準を定め、規格に合格した食品にこのマークをつけています。
法律的な定義はなく、厚生労働省が審査しているものではありません。



2 その他

健康によいと称して販売されている食品全般を言い、製造者によっては、規格が設定されているものもありますが、法律的な定義はなく、厚生労働省が審査しているものではありません。

おわりに

 今回説明したとおり、様々な「健康食品」が市場に出回っていますが、これらはあくまで「食品」であり、「医薬品」のように病気を治すものではありません。また、厚生労働省の許可を受けた病者用食品等、特定保健用食品、条件付き特定保健用食品及び栄養機能食品以外は栄養機能を表示することはできません。これらの食品も定められた範囲でしか栄養機能を表示することはできません。
 バランスのとれた食生活を送り、食品から必要な栄養素を摂ることが基本ですが、自分の食生活を把握し、足りない栄養素を必要量だけ健康食品から摂取する又は健康を維持するために摂取するというのが理想的です。そのためにはパッケージをよく見て、何が入っているか、摂取量はどれくらいか十分確認した上で摂取しましょう。例えば、水溶性のビタミン(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸)は、大量に摂ったとしても余分な量は尿として排泄されますが、脂溶性のビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK)のように摂りすぎると体に蓄積し悪影響を及ぼすビタミンもありますので注意が必要です。
 また、病院や医院で治療を受けている方が健康食品を利用する場合は、症状によっては、摂ってはいけないものや、薬と一緒に食べると副作用が生じたりするものもありますので、必ず医師又は薬剤師に相談してから摂取するようにしましょう。


(理化学課)




木炭から見た環境問題−廃材からの木炭利用研究について

はじめに

 「木炭」と聞いて、皆さんは何を連想されるでしょうか? 家庭用燃料の中心が薪炭だった昭和30年代以前の使用量とは比較になりませんが、今でも木炭はいろいろなところで使われ、環境問題にもつながっています。
 例えば、現在中国では森林の荒廃に伴う土壌流出や砂漠化などが深刻な問題となっており、木炭生産だけが原因ではありませんが、昨年10月にはその輸出を全面的に禁止しました。実は日本で使用されている木炭は中国産が約3分の1を占めています。新聞などで「焼き鳥、蒲焼きに影響?」という見出しを読まれた方もあるかもしれませんが、これらに使われている高級な木炭の約8割が中国産です。
 一口に木炭といっても、いろいろな用途があり、家庭用燃料の主役は、石油や電気、ガスに代わりましたが、焼き鳥や蒲焼き専門店、キャンプでの使用だけでなく、農業・畜産業での使用や、床下などの調湿材としても使われています。木炭の原材料も、伐採した樹木や鋸くずだけでなく、廃棄物となった木材をリサイクルしようという研究もあります。その1例として、廃材からの木炭による水質浄化の研究について紹介します。

なぜ廃材から木炭を作るの?


 日本の山にはたくさんの木が育っています。植林地では、間伐材の利用が課題となっており、これらを木炭として利用する研究も進められています。
 一方で、廃棄物としての木材も大量に発生し、そのリサイクルが急務となっています。平成12年に「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」が施行され、建物の解体などで生じるコンクリートや廃材(建設発生木材)のリサイクルを進めることが義務づけられました。廃材についてはチップ化され、パーティクルボード(木材の破片を接着剤で熱圧成型した板)や製紙などへのリサイクルが進められていますが、廃棄物処理施設で単に焼却処理されるものも多く、需要先を確保するために新たな技術の開発が必要になっています。
 そのため当研究所では、廃材を炭化して利用する研究を府の土木建築部などと共同で始めました。

廃材からの木炭の特徴

 研究には、昭和38〜41年度に建設された住宅の建替工事で発生した廃材を炭化処理したものを用いました。木炭というと、昔の炭焼窯を連想されるかもしれませんが、写真1のような大型プラントで炭化を行っています。

写真:木材炭化処理プラント
写真1 炭化処理プラント


 木炭は、焼き方や原材料の木材の違いなどでいくつかの種類に分かれます。かつて日本各地の山で製造されていた木炭の代表的なものは、黒色の柔らかい黒炭や白色の硬い白炭であり、その原材料はナラ類を中心とした広葉樹です。
 今回作成した木炭は、500℃程度の温度で炭化させたもので、廃材はスギやヒノキなど針葉樹が主であるため、柔らかく、軽いという特徴があります。
 また、どうしても釘など廃材に付着した金属片が少しは木炭中に混ざります。これらを踏まえた利用を検討する必要があります。

写真:炭化前の木材 写真:炭化後の木材
写真3 炭化前の木材 写真4 炭化後の木材


研究結果と今後の課題

(1)廃材からの木炭の安全性試験について
 木炭を使った水質浄化は、これまでも各地で取り組まれていますが、廃材からの木炭を使用した事例はあまり知られていません。建築資材としての木材には防腐・防虫剤等の薬剤処理や塗装等が施されることがあるため、その廃材からの木炭を有効利用する場合、安全性が問題となります。防腐処理を施した木材には、ヒ素などの有害な物質を使用しているものが知られています。
 そこで、実際に廃材からの木炭について、廃棄物や土壌汚染で問題となる重金属等を分析しました。水質浄化を目的としていることから、河川の水質に係る環境基準等と比較したところ、今回水質浄化実験に用いた木炭ではほとんどの項目で問題のない結果が得られました。
 今回の研究で用いた木炭の原材料は、昭和38〜41年度に建設された住宅の解体により発生した廃材であり、有害物質を使用した防腐処理材があまり使用されていなかったのではないかと考えられます。実験的に防腐処理を施した木材を炭化して得られた木炭からは、ヒ素などが高濃度で溶出することも確認できました。
 防腐処理材からの木炭からヒ素等が高濃度で溶出したことから、廃材からの木炭生産を進める場合、廃材の分別が重要と考えられます。また、実際の炭化処理における安全性確認のための試験頻度や、試験項目がこれで十分なのか、などが今後の事業化に当たっての検討課題です。

(2)水質浄化実験
 木炭は、木材中の組織を残して炭化されるため、目には見えませんが、いろいろな大きさの細孔がたくさんあります。このため、表面積が大きく、研究で用いた木炭では1g当たり約200uもあります。水中の有害物質は、この細孔の大きさに応じて吸着されます。
 また、木炭のいろいろな大きさの細孔は、水中の微生物が繁殖する場所にもなります。微生物は、水中の有機物を栄養として繁殖するため、有機物が少なくなることで水が浄化されることになります。
 浄化実験は、写真2の実験装置を用いて行いました。金魚などの飼育で皆さんも経験があるかもしれませんが、水を単に攪はんするだけでも空気が水中に取り込まれることで、ある程度浄化されます。このため、水を単に循環させた場合と、微生物が繁殖するように長期間水に浸けておいた木炭を入れて循環させた場合とで、どのくらい違いがあるかを調べました。

写真:水質浄化実験装置
写真2 水質浄化実験装置


 実験の結果、図1のように、有機物による汚れの程度を示すBODの値などが、水を単に循環させる場合よりも短時間で低下することが確認されました。しかし、その浄化機構が吸着によるものなのか、微生物による効果なのか、まだ明確にはなっていません。浄化機構の詳細の解明は、実際に水質浄化施設に利用する際の利用方法にも関係してきます。

図:BOD濃度の経時変化 図:COD濃度の経時変化 図:SS濃度の経時変化


 安全性の確認と水質浄化機構の解明のほか、廃材からの異物や薬剤処理材の排除方法、水質浄化に使用した後の木炭の処理方法などについて、今後も研究を続けていくことにしています。

〈豆知識:木炭の種類と用途〉
黒炭 炭窯内で空気を絶って消火する方法で製造。炭化温度は400〜800℃前後
炭質が軟らかく、着火が容易。かつては家庭で暖房用等に広く利用。バーベキューや茶道で使用。
白炭 炭窯内で灰をかけて消火する方法で製造。炭化温度は800℃以上。炭質が堅く着火しにくいが、安定した火力を長時間得られる。焼き鳥やウナギの蒲焼き等、料理専門店の業務用の需要が多い。
白炭のうち、主にウバメガシを原料にしたものは備長炭と呼ばれ、高級品。
オガ炭 オガライト〈製材鋸屑等を高温・高圧で加工した固形燃料〉を炭化したもの。
黒炭のものと白炭のものがある。

林野庁ホームページなどを参考に作成。

(環境衛生課・水質課)