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保健環境研究所だより81号のページです

bW1 平成17年7月  


もくじ




温泉表示の改正について


1 温泉表示が改正されました

 近年、温泉志向が高まる中、温泉の源泉数は京都府も含め、全国的に増え続けています。皆さんの中にも、温泉を利用して、心身のリフレッシュや健康の維持、増進に役立てられている方も多いのではないでしょうか。
 皆さんが温泉地の旅館などで浴場に入られるとき、脱衣場など施設内の見やすい場所に温泉の成分、禁忌症、入浴上の注意事項などが掲示されているのにお気付きかと思います。
 この表示に関して、平成15年7月31日公正取引委員会は「温泉表示に関する実態調査について」を発表し、その中で、現状の温泉表示には温泉水が浴用に供されるときの加水・加温等の情報提供が不足していること等、景品表示法上の問題点がたくさんあることを指摘しました。
 また、近年温泉等の入浴施設でレジオネラ属菌による肺炎が続発したことや、昨夏には長野県白骨温泉の一部施設で入浴剤が投入されていたことや、他の温泉でも水道水や井戸水を使用した"天然温泉"表示など、温泉地の実態報道が相次ぎ、"温泉"をめぐっての議論が世間の注目を浴びたところです。
 これらの動きを受け、平成16年11月に環境大臣が中央環境審議会に「温泉事業者による表示の在り方等について」を諮問し、平成17年2月に答申を受け、「温泉法施行規則の一部を改正する省令」が同2月24日に公布されました。
 これにより、温泉を公共の浴用等に供する者は、温泉の掲示項目として温泉法施行規則第6条に従来から定められている、「源泉名」、「泉質」、「温度」、「成分」、「成分の分析年月日」、「分析を行った登録分析機関の名称・登録番号」、「浴用・飲用にあたっての禁忌症」、「浴用・飲用の方法・注意」の8項目に加え、平成17年5月24日から、温泉に加水、加温、循環装置の使用、入浴剤添加、消毒処理などを行っている場合は、その旨とその理由を掲示しなければならないこととなりました。

2 温泉とは? 

ここでは、掲示を見るときの参考となるように、温泉の定義、温泉の種類等についてお話します。
 温泉総数が2万を越える"温泉国"日本の中では、温泉地としてはあまり目立たないのですが、京都府でも現在約80の源泉が利用されています。限りある貴重な財産ともいえる温泉を、私たちの健康・福祉の増進のために今後とも長く有効に活用するため、京都府環境審議会の温泉部会が、温泉の掘削許可や掘削後の動力装置の許可等について、知事に答申を行っています。しかし、さらに有効な温泉の保護と適正な利用のためには、何よりも温泉を利用される皆さんの理解が大切と考えられます。
 温泉は、温泉を保護しその利用の促進を図り、公共の福祉の増進に寄与することを目的として昭和23年に制定された環境省所管の温泉法で定義されています。
 温泉法は、温泉の定義(摂氏25度以上の温度又は法に定める成分を有する地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気、ガス)、温泉の保護(温泉を掘削・増掘する場合、動力で汲み上げる場合には都道府県知事の許可が必要)、温泉の利用(温泉を公共の入浴又は飲用に供しようとする場合は、都道府県知事の許可が必要)等について定めています。定
義からいうと、地中から湧出する際の温度が25℃以上であればそれだけで温泉になり、また、25℃未満であっても下表の物質(いずれか一つ以上)が含まれていれば、温泉になります。


物質名         含有量(1s中)
溶存物質(ガス性のものを除く)          総量1,000r以上
遊離炭酸(CO2)    250r以上
リチウムイオン(Li+) 1r以上
ストロンチウムイオン(Sr2+) 10 r以上
バリウムイオン(Ba2+) 5r以上
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+) 10r以上
第一マンガンイオン(Mn2+) 10r以上
水素イオン(H+) 1r以上
臭素イオン(Br-) 5r以上
沃素イオン(I-) 1r以上
ふっ素イオン(F-) 2r以上
ヒドロひ酸イオン(HAsO42-) 1.3r以上
メタ亜ひ酸(HAsO2) 1r以上
総硫黄(S)〔HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの〕     1r以上
メタほう酸(HBO2) 5r以上
メタけい酸(H2SiO3) 50r以上
重炭酸ソーダ(NaHCO3) 340r以上
ラドン(Rn)   20(百億分の1キュリー単位)以上
ラジウム塩(Raとして)     1億分の1r以上



 温泉法第14条では、「温泉を公共の浴用又は飲用に供する者は、施設内の見やすい場所に、環境省令で定めるところにより、温泉の成分、禁忌症及び入浴又は飲用上の注意を掲示しなければならない」とされ、この掲示は、「同第15条第1項の都道府県知事の登録を受けた『登録分析機関』の行う温泉成分分析(当該掲示のために行う温泉の成分についての分析及び検査をいう。)の結果に基づいて行わなければならない」とされています。ちなみに、当研究所は府内唯一のこの登録分析機関となっています。また、この成分分析は鉱泉分析法指針(環境省局長通知:平成14年3月改訂)に基づき行うことになっており、掲示の泉質名もこれによって行っています。
 以下に代表的な泉質の分類を示します。


温泉名 泉質 温泉名の例
(1)単純温泉 泉温が25℃以上で、温泉水1s中に含有成分が1000mgに満たない。pH8.5以上のものをアルカリ性単純温泉と呼ぶ。肌触りが柔らかく、癖のない温泉 岐阜県・下呂温泉、長野県・鹿教湯温泉など、多くの温泉地にみられる。
(2)二酸化炭素泉 温泉水1s中に遊離炭酸100mg以上を含む。入湯すると全身に炭酸の泡が付着 大分県の長湯温泉、山形県・肘折温泉郷の黄金温泉など、わが国には比較的少ない。
(3)炭酸水素塩泉 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上、陰イオンの主成分が炭酸水素イオン。陽イオンの主成分により、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム-炭酸水素塩泉等に分類 和歌山県・川湯温泉、長野県・小谷温泉などは、ナトリウム-炭酸水素塩泉(旧名「重曹泉」)
(4)塩化物泉 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩素イオン。陽イオンの主成分により、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム-塩化物泉等に分類 京都府・久美浜温泉、静岡県・熱海温泉、石川県・片山津温泉など、多くみられる。
(5)硫酸塩泉 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオン。陽イオンの主成分により、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム-硫酸塩泉等に分類 群馬県・法師温泉、静岡県・天城湯ヶ島温泉などは、カルシウム-硫酸塩泉(旧名「石膏泉」)
(6)含鉄泉 温泉水1s中に総鉄イオン(二価鉄または三価鉄)を20r以上含有。陰イオンによって炭酸水素塩型と硫酸塩型に分類。温 泉が湧出して空気に触れると、次第に鉄の酸化が進み赤褐色になる特徴がある。 兵庫県・有馬温泉など
(7)含アルミニウム泉 温泉水1s中に含有成分が1000mg以上あり、陰イオンとして硫酸イオン、陽イオンとしてアルミニウムを主成分とする。 群馬県・万座温泉などは、アルミニウム・二価鉄)−硫酸塩泉(旧名「明礬泉」)
(8)硫黄泉 温泉水1s中に総硫黄2r以上含有する。卵の腐敗臭に似た特有の臭いは硫化水素による。 栃木県・日光湯元温泉、神奈川県・箱根温泉郷の小涌谷温泉など
(9)酸性泉 温泉水の中に多量の水素イオンを含有、強い酸性を示す。 秋田県・玉川温泉、群馬県・草津温泉など
(10)放射能泉 温泉水1s中にラドンを30(百億分の1キュリー単位)以上含有 京都府・湯の花温泉、鳥取県・三朝温泉、山梨県・増富温泉など
(社団法人 日本温泉協会「温泉百科」から一部改変して引用)


(水質課)


鳥インフルエンザ:人への感染と対策


1 東アジアでの発生状況

現在、東アジア諸国でA/H5N1亜型鳥インフルエンザウイルスの人への感染や死亡例が発生しています。これら一連の集団発生は、1997年の香港での発生がその前兆でしたが、大規模な集団発生は2003年12月から2004年1月にかけて韓国やベトナムの農場で鶏に異変が認められたことに始まっているようです。
その後、タイ、インドネシア、中国、韓国、日本など、東アジアの10カ国に蔓延しました。日本では2004年1月中旬から3月初めにかけて山口県、大分県、京都府で相次いで家禽類(鶏、アヒルなど肉、卵、羽毛をとるために飼育される鳥)での感染が確認されました。京都府も府内市町村や関係団体、さらにはボランティアの方々等多くの皆さんの御支援や御協力をいただきながら一丸となって、その制圧に取り組んだところです。
 鳥インフルエンザは基本的には鳥の病気ですが、偶発的に、或いはウイルスが変異を起こして人にも感染することがあります。WHO(世界保健機関)は2005年5月19日付けの累積症例数の報告で、発生時期を3期に分け、それぞれの時期での感染確定症例数及び死亡例数を国別に集計しています(表参照)。家禽類での鳥インフルエンザ感染があった国のうち、人への感染や死亡が報告されているのはベトナム、タイ及びカンボジアの3カ国です。2005年5月19日現在で合わせて97名の感染が確定され、うち53名が死亡していますが、ベトナムでの被害の大きさが次の表からも分かります。また、カンボジアの4症例についても全てベトナム国境に近いメコンデルタ内に住む住民でした。

写真1 自家消費用のアヒルの写真


これらの国では自家飼育している鳥を自家屠殺し、調理するのが一般的です(写真1)。また、鳥の生血を飲んだり、内臓を生で食べる食習慣があるようです。このような生活習慣の中で大量のウイルスの偶発的感染を受けたものと考えられます。

発症日

ベトナム

 

カンボジア

合計

確定症例数

死亡例数

確定症例数

死亡例数

確定症例数

死亡例数

確定症例数

死亡例数

2003年12月26日 〜2004年3月10日

 23

  16

  12

   8

   0

   0

  35

  24

2004年7月19日2004年10月8日

  4

   4

   5

   4

   0

   0

   9

   8

2004年12月16日 〜2005年5月13日

 49

  17

   0

   0

   4

   4

  53

  21

  合計

 76

  37

  17

  12

   4

   4

  97

  53


2 パンデミック(世界的大流行)の可能性

現在のところ、鳥インフルエンザの人への感染は、一部の国のごく一部の人に限られていますが、もしウイルスが人への感染力を増したり、変異することにより人から人への感染が容易になると、ほとんどの人が免疫を持っていないため、パンデミックが発生し、地球上で何百万人もの人が死亡するとも言われています。
今までのところ、人への感染のほとんどは、病鳥や死鳥との濃厚な接触が原因であると考えられています。
 しかし、中には人から人への感染が強く疑われている事例もあります。それは、2004年9月8日に肺炎で死亡した11歳の少女を看病した母親が感染した事例です。少女はタイのカンペンペット県で母親の姉(叔母)と同居しており、この二人は発病前に死亡鶏との接触があったことが分かっています。少女は確定診断されていませんが、鳥インフルエンザに感染していた可能性があると見られています。回復した叔母は検査で感染が確認されています。少女の母親はバンコク地域に住んでいましたが、娘が入院すると、死亡するまでつきっきりで看病しています。母親は娘の死亡後バンコクに帰り、その直後の9月20日に鳥インフルエンザで死亡しました。母親の行動を詳細に調査した結果、母親は娘から直接感染したことが強く疑われています。
また、2005年5月6日から7日にかけてフィリピンのマニラで開催されたWHO国家間会議で、2005年1月から4月にかけてベトナム北部で発生した人への感染が従来の感染様式とは様相を異にしていることが報告されています。主な相違点は次のとおりです。
(1)クラスター(家族等、特定の集団)での発生事例の増加:人から人への直接感染があり得ることを示唆しています。
(2)同じクラスター内でも人によって発症時期が異なる:クラスター内で二次感染が起きており、発症時期に差が出ていることを示唆しています。
(3)無症状者でも検査で感染が確認される感染者の存在:人に対する病原性を低下させることにより、ウイルスが人との共存を図る方向に変化していることを示唆しています。
(4)発症者の年齢層の拡大:2004年には鳥の自家飼育や自家屠殺等に従事することが多い年齢層(平均年齢17歳)に感染者が多かったと考えられますが、2005年になって感染者の年齢が広がり、1歳の乳児や80歳以上の老人でも感染しており、感染鳥等との接触以外に原因がある可能性を示唆しています。
(5)死亡率の低下:(3)とも関連しますが、生きた細胞内でしか増殖できないウイルスが鳥や人をむやみに殺せば、自らが増殖する場を失うことになりかねないので、結果的に折り合いを付けて共存する道を選んでいるものと考えられます。
(6)一部のウイルスのHA(赤血球凝集素:呼吸器粘膜へのウイルスの付着に関与)遺伝子に変化:人へ感染しやすくなる変異を起こしている可能性を示唆しています。

3 鳥インフルエンザと食の安全

昨年2月末から3月にかけて京都府丹波町の2養鶏場で鳥インフルエンザが発生したことに伴い、一部の学校で給食に鶏肉、鶏卵を使用しない事例がありました。家畜伝染病予防法により、半径30km圏内での鶏肉、鶏卵等の移動禁止措置が講じられたため、消費者に食の安全に対する大きな不安を抱かせたようです。
 移動禁止措置は、感染症の蔓延を阻止するための措置であり、鶏肉や鶏卵が食品として危険であるというわけではありません。確かに、ベトナム、タイ等では感染者や死者が出ていますし、タイの動物園では死鳥を餌として与えられたトラが死亡した例があります。しかし、これらのほとんどは感染鳥や死鳥との濃厚な接触が大きな要因となっており、日本とは状況が大きく異なります。
 具体的には、ベトナムやタイ等の国では次のような状況があります。
(1)多くの農家では、人と身近な場所で小規模な自家飼育をしている。
(2)気候が高温多湿であり、食品が腐敗しやすいため、鳥を解体・加工せず生きたままで売買するライブバードマーケット(live bird market)の商習慣がある。
(3)自家飼育あるいはマーケットから購入した鳥を自家屠殺、自家調理することが多い。
(4)鳥の生血を飲んだり、生の内臓を食べたりする食習慣がある。
以上のことから、場合によっては大量のウイルスに暴露される危険性があることが分かります。
それに対して、日本の事情は異なります。
(1)一般的に、養鶏場は居住地と離隔しており、その多くが大規模で高度に産業化されています。
(2)平成4年度からは消費される鶏肉等の大部分は獣医師による厳格な検査を受けて処理されることになっているため、病鳥や死鳥は市場に流通しません。また、今日、日本では自家屠殺はあまり見られません。
(3)国内で消費される卵の大部分は養鶏場からGP(Grading &Packing:選別と包装)センターに搬入され、そこで洗浄、消毒処理されています。
以上のことから、日本では家禽類の加工製品を介して鳥インフルエンザに感染することは考え難いと言われています。
 しかし、WHOは家禽類の加工製品が感染源となったとする情報は得ていないとしつつも、念のため内部温度が70℃以上になるよう加熱すれば安全であるとしています。

4 発生国へ渡航する人の注意事項

日本では養鶏関係者を除いて、鳥から直接人が感染を受ける可能性は低いと考えられます。むしろ、発生国へ渡航した人が現地で感染し、日本に持ち込む可能性が考えられますので、できるだけ不要不急の用件では発生国へ行かないことが前提ですが、やむなく発生国へ渡航した場合の注意点として、次のことがあげられます。
(1)ライブバードマーケットには近寄らない。
(2)ホテル等で出された鶏肉等が十分加熱されているか確認する。
(3)外出から帰ったときには必ずうがいや手洗いをする。
 方法としては、まず、手に付いたウイルスなど微生物の数を減らすため、流水で十分に洗い流します。次に、インフルエンザウイルスは石鹸等、界面活性剤で死滅し易いので、石鹸でもみ洗いします。さらに逆性石鹸等で消毒すれば安心です。
(4)体調に異変を感じたら、速やかに受診し、抗インフルエンザ薬等の投薬を受ける。

5 鳥インフルエンザに関する当研究所の取組

鳥インフルエンザに感染すると、鶏や七面鳥などの家禽は発症が早く、致死的な経過をとります。一方、カモやアヒルはウイルスに感染しても発症しませんが、糞便中に大量のウイルスを排泄し、感染源となります。特に、カモは渡り鳥であるため(写真2)、ウイルス運搬の媒体になっていると言われており、府内での発生を事前に探知するためにも、その監視は極めて重要になっています。
そこで、当研究所では平成12年度から国の受託事業として、京都府南部の精華町に飛来するカモからウイルスの分離を行っています。平成16年度からは京都府独自の調査事業として監視地点を5定点に拡大し、京都府全域を監視対象とし、カモの飛来期である10月から翌年の3月にかけてウイルスの分離を行うとともに、年間を通して渡り鳥等が飛来する池の水についてもウイルスの分離を行っています。今までのところ、問題となるようなウイルスは検出されておりません。
 なお、昨年、丹波町での鳥インフルエンザ発生時にはカラスがウイルスに感染して死亡し、府民に大きな不安を与えました。そのため、当研究所が死亡カラス(33羽)や一般野鳥(201羽)の検査を担当し、死亡カラス2羽からA/H5N1亜型鳥インフルエンエンザウイルスを検出しました。

写真2 精華町に飛来したカモの写真



6 おわりに 

WHOは、現時点では鳥インフルエンザが基本的には鳥の疾患であり、偶発的に人にも感染し得る動物由来感染症であることを認めています。
 しかし、一方で大流行の可能性が高まっているとし、各国に対して監視体制の強化、予防計画の策定、抗ウイルス剤の備蓄等の対策を呼びかけています。当研究所においてもこのウイルスの動向を引き続き注意深く監視していきたいと考えています。  (細菌・ウイルス課)




京都府原子力防災総合訓練について

−緊急時モニタリング訓練−



 京都府の放射線監視

 京都府には原子力発電所は設置されていませんが、福井県高浜町にある関西電力株式会社高浜原子力発電所から半径10q圏内(原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲)に舞鶴市及び綾部市の一部が位置することから、京都府では、府民の安全と健康を確保するために高浜原子力発電所による放射能の影響を監視しています。
 空気中の放射線量率や魚、野菜、水などの身近にあるもの(環境試料)の放射能濃度などを測定しています。その結果は「高浜原子力発電所環境放射能測定技術検討委員会」で検討されていますが、これまで周辺環境に対する影響は認められず、環境安全上問題はないと評価されています。
 京都府では日常的にこのような放射線監視を行うとともに、原子力発電所での事故といった緊急時に対して、より効果的な防災体制の確立を図っています。


高浜発電所と保健環境研究所の位置を示す地図


 原子力防災訓練

 平成17年3月21日(月曜日)、原子力災害時における通信連絡体制の確立、防災業務関係者の災害対策に対する習熟と、関係機関相互の協力体制の強化を目的として、福井県と合同で原子力防災総合訓練が行われ、その一環として当研究所は緊急時モニタリング訓練に参加しました。
 訓練は、関西電力株式会社高浜原子力発電所1号機において運転中にトラブルが発生し、給水ポンプなどの故障により冷却機能が失われて原子炉の炉心が損傷し、排気筒から放射性物質が放出され、周辺環境に影響を及ぼすおそれが生じたという想定で実施されました。
 午前7時30分、当研究所長をセンター長とし、京都府のほかに舞鶴市と関西電力株式会社の職員をセンター員とした「京都府緊急時モニタリングセンター」を中丹広域振興局内に設置して訓練を開始しました。
 モニタリングセンターでは、あらかじめ定められた緊急時モニタリング計画に基づき、センター員の出動状況や現地活動班の被ばく線量の確認などを行う「総務班」、空気中の放射能濃度の予測などを行い、各班に指示をする「企画評価班」、モニタリング結果の整理や各班への連絡業務を行う「情報収集記録班」、車で移動しながらの放射線測定や臨時モニタリングポストの設置及びデータ収集を行う「線量率監視班」、空気中の粉じんや土壌、水道源水などの採取を行う「試料採取班」、採取された試料の測定などを行う「試料測定班」の六つの班に分かれ、モニタリング活動を行いました。また、自衛隊の協力を得て海上モニタリングも実施しました。

 モニタリングセンター組織図

 原子力災害時には、「緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)」を立ち上げ、国、府や県、市町村などが一体となって災害対策について協議し、さらに緊急時モニタリングや緊急時医療措置など各対策内容ごとに設けた機能班において、情報の収集・共有、対策協議を行うことになっています。今回の訓練でも福井県高浜町内のオフサイトセンターからの情報が直ちに京都府緊急時モニタリングセンターへ伝えられ、福井県との情報の共有などに大きな役割を果たしました。

訓練組織図


 訓練を終えて

 原子力発電所の事故は起きてはならないことですが、万が一に備えての訓練は、関係機関の連携を強化し、防災対策の習熟を図る重要な機会になります。実際に訓練に参加することによって、防災対策についての理解が深まり、組織の中で一人ひとりがその役割を充分に果たすという点でも貴重な経験となりました。

モニタリングセンターの様子の写真


 今回の原子力防災訓練では、緊急時における防災活動の全体的な流れやモニタリングセンター各班の活動内容、防災関係資機材の使用方法などについての事前研修を行ったこともあり、各班とも迅速に活動することができ、情報の伝達や班同士の連携についてもスムーズに行われ、時間的制約がある中で無事訓練を終えることができました。
 今後の課題としては、関係機関相互の更なる緊密な連絡、配備されている設備機器類の十分な活用、訓練内容の充実による関係者の能力向上などがありますが、今回の訓練で得られた成果を踏まえ、原子力防災体制の一層の充実を図っていきたいと考えています。

(大気課)