京都ジョブパーク 総合就業支援拠点

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中途障害を乗り越えて職場復帰(視覚障害の事例)

企業や外部支援機関の支援を受けて働き続けておられる事例をご紹介します。(2017年7月)

株式会社堀場製作所 基盤・共通技術部 西本さん

1985年、(株)堀場製作所入社。以来32年間ソフトウエアエンジニアとして活躍。入社15年目頃、左目に歪みが出はじめ、網膜色素変性症と診断される。その後10年程で症状が進行し、2009年に障害者手帳を取得。2015年から在宅勤務制度を利用し、週のうち3日在宅・2日出勤。障害等級は2級。弱視で、かすかにしか見えない。

西本さんは非常に前向きに活動されていますが、そのきっかけは何だったのでしょうか

病気を発症してから病状が進行する間が比較的長かったのですが、視力が衰えてきた時に、通勤への不安も高まってきたため、このままでは会社や周りの人たちの気持ちに応えられないと思うようになりました。会社から京都障害者職業センターに相談をされ、それを機に視覚障害者を支援している京都ライトハウスと繋がり、積極的に歩行や点字、白杖の使い方などの訓練を受けるようになりました。訓練は平日でしたが、それに参加することを会社が認めてくれました。他にも作業内容の見直しや勤務時間の変更、在宅勤務制度の利用や心の支援など、その都度親身に対応してもらっています。中途障害者に理解のある会社だと思います。

このように会社の支援や外部機関での訓練を受ける中で、もっと色々なことができるのではないかという自信がわいてきました。

現在の仕事の内容を教えてください

ソフトウエア管理業務を担当しています。製品開発のためのツール、開発関連文書、部品などの管理業務です。作業はパソコンを使ってキー操作のみで行います。工夫としては、ショートカットキーを活用して操作していますが、どうしてもマウスでクリックしなければいけない場合は、拡大鏡ソフトを使って対応しています。また、一連の作業やメール処理は、音声読み上げソフトを使っていますが、ソフトで対応できないところは他の方にアシストしてもらっています。

日々の生活において助かっていることや、苦労していることを教えてください

例えば、私のような弱視の者にとって、道路の端に引かれている白線は非常に重要です。何とか白色を感じ取り、それに沿って歩けるからです。少し前のことですが、通勤路の白線が色あせて歩きにくかったので、会社に相談したら、すぐに行政に掛け合ってくれ、塗り直されました。また、社内のエレベータにも点字シールを貼ったり、気づいたことをスムーズに対応してもらえることは、本当に助かります。

苦労といえば苦労の連続かもしれませんが、それよりもそれらが回りの方たちの理解により、一つひとつ解決していくことが重要だと思います。

これからチャレンジしたいことは何ですか

視覚障害者向けの美術鑑賞会に参加してみたいです。作品に触れることができたり、他の参加者が言葉で絵画の説明をしてくれるイベントがあるんです。私にとって屋外を移動して見知らぬ場所へ行くことは、そもそも大変なのですが、このようなイベントがある場所へと移動できるようにチャレンジしていきたいです。

みなさんに伝えたいことは何ですか

同じような悩みを持つ方々にとって、私の経験が少しでも励みになればと思います。また、私が受けた支援経験が他の企業の参考になって、働き続けられる人が一人でも増えれば嬉しいです。

 

職場の仲間より

西本さんの真摯な姿勢が私達の励みにもなっています。また、少しでも日常生活や仕事の苦労を克服したいという積極的な思いを受け、部署では過度なサポートはせず、困ったら自ら手をあげてもらう自立面を意識しています。そのうえで困難時は、一緒に社内や社外に働きかけています。すると、同じ思いで動いてくださる方が多く、周りの優しさが西本さんと私の活力になっています。この一例として、道路の白線が目印と知り、塗り直していただいたことが挙げられます。何事も変えるのは苦労しますが、その先のよさを考え、思いを共有しながら一緒に変えられることは変えて、その状態を定常化していきたいと思います。

 

支援者より

社会福祉法人京都ライトハウス 高橋さん

中途視覚障害になると退職せざるを得ないケースが多い中で、本ケースでは退職をくいとめるために、人事・職場・産業医がチームを組んでしっかりと対応されようとしている深い配慮に感銘を受けました。障害者雇用に取り組む場合、新規採用はもちろんですが中途障害の人たちの働き続けられるケアも忘れないでほしいと思います。

京都府視覚障害者協会 相談員薩摩さん

在職中に視機能低下し大変な不安を抱える方は多いです。就労する視覚障害者の会もあり、そこで悩みの共有や改善策を得ることも就労継続へ大きな支えとなります。歩行やパソコンなど残存視機能があるほど習得可能なこともありますので、視覚でお困りの従業員がおられたら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

お問い合わせ

京都障害者雇用企業サポートセンター

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