京都ジョブパーク 総合就業支援拠点

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採用面接のポイント「大切なのはその人自身を知ろうとすること」

採用面接では、口頭での質疑応答を通して、経歴や書類等ではわからない個人の「特性」を把握することが重要です。また、入社後のミスマッチを起こさないための確認やすり合わせを行う大切な機会でもあります。

実践アドバイザーの杉山さんに採用に関する基本的な考え方と面接時に必要な確認事項や質問、重視する内容等、そのポイントを紹介していただきました。

採用活動についての考え方

<採用活動を価値あるものに>

採用活動は採用者の活躍、会社の発展につながるベストなマッチングを実現することを目的としますが、最初の従業員教育の場として、会社の理念等をしっかり伝え、会社と応募者との相互の理解を深める場としての役割も担います。また、応募者から「採用されなかったけど、応募したり面接を受けたりしてみて、とてもよい会社だった」と思われることも企業としては大切です。応募者にとって、この会社を受けて経験したこと、学んだことがその後の就職活動に役立つ、そんな採用活動を行っていただきたいと思います。

面接に臨む姿勢

<応募者の能力を引き出しましょう>

欠点や悪いところは、見つけやすいので、そこに目が行きがちですが、大切なのは、良いところ・長所を引き出すことです。状況によっては応募者の緊張を解きほぐしてあげるような工夫も必要になります。大切なことは「応募者の伝えたいことが、伝えられる場」にするということです。

面接の体制

<複数の面接官:応募者1人>

面接官1人では気づかないことや見逃すこともあるので、複数人で判断しましょう。応募者から見ても、1人だけの判断で採否が決まるわけではないという安心感もあります。また、センシティヴな個人情報を扱うことと、障害特性によって集団面接は困難な場合もありますから、応募者1人ずつの面接が望ましいでしょう。

 

<支援者の同行>

原則は応募者だけで面接し、その後必要に応じて支援者から情報を得てください。一方で面接では重要な情報を確認するので、手話通訳など、コミュニケーションに欠かせない支援者は同席が必要となります。

面接で確認すること

<基本は他の採用面接と同じ>

通常の採用面接と同じように、採用にあたって必要なこと、確認すべきことを確認した上で、障害に関する情報を確認していきます。

 

<障害に関する情報はしっかりと伝えてもらう>

障害の状況について会社が詳しく理解することは、障害のある方にとっても働く上で大切なことです。1.障害の状況、2.通勤手段、3.日常の行動への支援が必要か、4.必要な施設設備・パソコン利用(拡大機、ソフト等の要否)、5.出張の可否、6.残業の可否、7.必要な配慮事項(通院、服薬、緊急時の対応)等について確認しましょう。

面接の視点

<「就労準備性」「意欲」「能力」の3つの視点>

第一印象、礼儀、身だしなみ、履歴書、経歴、受け答え、やる気・興味、目標・ビジョン、人柄、良識等、自社の基準で評価することに加えて、以下の3つの視点も必要です。

 

  • 就労準備性:働くための準備が整っているか
    健康管理(障害受容、病状管理等)、生活リズム、社会生活力(時間管理・セルフケア等)等基本的なことが整っていることは重要です。
  • 意欲:「働きたい!」と強く想っているか
    継続して働くためには、当事者本人が働く意思と就労への強い意欲を持っていることが大切です。
  • 能力:仕事に必要な能力を有しているか
    「できること」とともに、何が「できないこと」で、どのような配慮を必要としているのかを確認しましょう。

<参考>その他の質問

以下に掲載しているQ&Aは、FAQ(「採用」ステップ)に掲載している内容も含まれています。

Q:就労準備性の確認ポイントをもう少し説明してください

A:高齢・障害・求職者雇用支援機構が作成した「就業支援ハンドブック」に記載されている就労準備性ピラミッドという図があります。これを参考にして就労準備性がどの程度積み上げられているかを確認するとよいでしょう。特に、健康管理や日常生活管理については会社では管理しづらいので、入社前にしっかりと確認しましょう。

就労準備性ピラミッド

 

Q:障害のある方の面接で特に考慮して確認すべき点を教えてください

A:以下の点に考慮して確認することが重要です。

  1. 経験の絶対量の不足
    障害が直接的・間接的な要因となり、社会との接点が制限されているため、あらゆることにおいて経験の絶対量が不足している場合があります。
    ※本人は苦手というが、実際にはやったことがない…
    ※一度だけ経験したことが、得意なこと、やりたいことに…
  2. 客観的な評価の不足
    保護者や支援者による主観的な評価、施設等においての相対的な評価が自己評価となってしまっている場合(自信喪失や過大評価)もあります。角度を変えた複数の質問(職歴・実習歴+得意・不得意な作業+楽しいこと好きなこと等)で確認する工夫が必要です。
  3. 障害区分だけで判断しない
    手帳の区分だけではわからない特性(個性)を持っている場合があります(例えば、発達障害に起因しているうつ症状等)。障害特性に関する知識を持つことは重要ですが、先入観を持ちすぎないことも大切です。手帳の取得時期や、前職で障害をオープンにしていたかなども重要な情報となります。「自分の特性について、自ら語ってもらう」「離職の理由については、障害との関係も含めて確認する」「障害内容に関わらず、必ず、服薬や通院について確認する」等の工夫が必要です。

Q:障害特性別に留意すべき点はありますか

A.知的障害では、質問が理解できない場合があるので、できるだけ平易で分かりやすい質問の仕方を工夫しましょう。また質問は理解できてもうまく回答ができない場合もあるので、答えやすい質問に切り替えるなどの工夫も有効です。また、就職活動についての支援を十分に受けていないために、履歴書の書き方等に問題がある場合もあります。聴覚障害では、手話が標準語となっている場合があり、文章表現が苦手なこともあります。精神障害では、状態に波があるので、面接当日の状態が常に維持されているとは限りません。

できるだけ情報を集めて総合的に判断しましょう。二次面接や職場実習等を活用して互いに理解を深めることも重要です。

Q:支援者から情報を得ることは必要でしょうか

A.支援機関の利用状況から、本人の現況や雇用後の対応等を考えることができるので、支援者からの情報は重要です。支援者の同行は拒否せず、本人との面接が終わった後に同席してもらい、面接で確認しきれなかった情報(日常の様子、病状や支援の期間や関わりの度合い等)を得るようにしましょう。

Q:質問事項が原因で応募者を不快にさせないか不安です。障害者差別禁止法のことも気になります。どこまで障害のことを聞いてよいのでしょうか

A.障害のある方だからと意識し過ぎず、普段の面接と同じようにして、その中で障害のことを聞いてください。職場においてどのような配慮が必要なのかを検討するために障害のことを確認するのですから、その思いを応募者と共有しましょう。また、面接の冒頭で「質問にあたって言いたくないことは申し出てください。障害についても聞かせていただきます」と伝えておくと、応募者の方も事前に意識できるので安心されます。

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