個人情報保護法の趣旨、事例と対応について
個人情報保護法とは
今日、「個人情報」を利用したさまざまなサービスが提供され、 私たちの生活は大変便利なものになっています。 その反面、「個人情報」が誤った取扱いをされた場合、個人に取り返しのつかない被害を及ぼすおそれがあり、国民のプライバシーに関する不安も高まっています。
このような状況を踏まえ、「個人情報の保護に関する法律」が平成15年5月に成立し、公布されました。(平成17年4月全面施行)
この法律では、国民が安心して高度情報通信社会のメリットを享受できるよう、事業者に個人情報の適正な取扱いを求めています。
ポイント1
個人情報保護法は、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的としています。
このため、個人情報の「保護」と「活用」のバランスを図ることが重要と考えられます。
ポイント2
個人情報保護法は民間の事業者の個人情報の取扱いに関して共通する必要最小限のルールを定めています。
個人情報保護法の仕組みは、事業者が、事業等の分野の実情に応じて、自律的に取り組むことを重視しています。
事例と対応について
平成17年4月に個人情報保護法が全面施行されて以降、個人情報保護の意識が高まる一方で、法律に対する誤解等により、必要とされる個人情報の提供までもが行われなかったり、各種名簿の作成が中止されるなど「過剰反応」といわれる状況も一部に見られます。
このため、内閣府が「名簿の作成・配付について(PDFファイル,16KB)」や「本人から同意を得なくても個人情報を提供できる場合(例)(PDFファイル,18KB)」等を公表していますが、個人情報保護法の目的や内容の理解を深めていただけるよう、事例についての対応方法とその根拠となるガイドライン等をまとめましたので参考にしてください。
本人からの同意を得る等により個人情報を提供できる場合
名簿の作成・配付
〈事例〉
学校でクラス名簿や緊急連絡網などを作成・配付できますか。
〈対応〉
入学時や新学期の開始時に、「生徒の氏名、住所など学校が取得した個人情報については、クラス名簿や緊急連絡網として関係者へ配付する」ことを明示し、同意の上で所定の用紙に個人情報を記入・提出してもらうこと、又は同意に代わる措置を取ることにより、作成・配付が可能です。
【内閣府の「名簿の作成・配付について(PDFファイル,16KB)」より作成】
〈その他の関連するガイドライン〉
本人からの同意を得なくても個人情報を提供できる場合
人の生命、身体又は財産の保護に必要な場合の情報提供(個人情報保護法第23条第1項第2号)
〈事例〉
大規模災害や事故等で、意識不明で身元の確認ができない多数の患者が複数の医療機関に分散して搬送されている場合に、患者の家族又は関係者と称する人から、患者が搬送されているかという電話での問い合わせがありました。相手が家族等であるか十分に確認できないのですが、患者の存否情報を回答してもよいでしょうか。
〈対応〉
患者が意識不明であれば、本人の同意を得ることは困難な場合に該当します。また、個人情報保護法第23条第1項第2号の「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」の「人」には、患者本人だけではなく、第三者である患者の家族や職場の人等も含まれます。
このため、このような場合は、第三者提供の例外に該当し、本人の同意を得ずに存否情報等を回答することができ得ると考えられるので、災害の規模等を勘案して、本人の安否を家族等の関係者に迅速に伝えることによる本人や家族等の安心や生命、身体又は財産の保護等に資するような情報提供を行うべきと考えます。
なお、「本人の同意を得ることが困難な場合」については、本人が意識不明である場合等のほか、医療機関としての通常の体制と比較して、非常に多数の傷病者が一時に搬送され、家族等からの問い合わせに迅速に対応するためには、本人の同意を得るための作業を行うことが著しく不合理と考えられる場合も含まれるものと考えます。
【厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に関するQ&A(事例集)( PDFファイル ,233KB)各論Q5-17より作成】
〈事例〉
過去に販売した製品に不具合が発生したため、製造会社で当該製品を回収することになりました。販売会社を通じて購入者情報を提供してもらい、製造会社から購入者に連絡を取りたいのですが、購入者数が膨大なため、販売会社が購入者全員から第三者提供についての同意を得るのは困難です。さらに、製品の不具合による人命に関わる事故が発生するおそれもあるため、製品を至急回収したいのですが、このような場合でも購入者全員の同意を得なければならないですか。
〈対応〉
製品の不具合が重大な事故を引き起こす危険性がある場合で、購入者に緊急に連絡を取る必要があるが、購入者が膨大で、購入者全員から同意を得るための時間的余裕もないときは、販売会社から購入者の情報を提供することは、個人情報保護法第23条第1項第2号(第三者提供制限の適用除外)で規定する「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当するため、購入者本人の同意を得る必要はありません。
【経済産業省の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」に関するQ&A( PDFファイル ,239KB)92より作成】
法令に基づく情報提供(個人情報保護法第23条第1項第1号)
〈事例〉
刑事訴訟法第197条第2項に基づき、警察から顧客に関する情報について照会があった場合、顧客本人の同意を得ずに回答してもよいですか。
〈対応〉
警察や検察等の捜査機関からの照会(刑事訴訟法第197条第2項)に対する回答は、「法令に基づく場合」(個人情報保護法第23条第1項第1号)に該当するため、照会に応じて顧客情報を提供する際に本人の同意を得る必要はありません。なお、照会は、捜査に必要な場合に行われるもので、相手方に回答すべき義務を課すものと解されており、また、上記照会により求められた顧客情報を本人の同意なく回答することが民法上の不法行為を構成することは、通常考えにくいため、照会には、一般に回答をすべきであると考えられます。ただし、照会に応じ警察等に対し顧客情報を提供する場合には、当該情報提供を求めた捜査官等の役職、氏名を確認するとともに、その求めに応じ提供したことを後日説明できるようにしておくことが必要と思われます。
【経済産業省の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」に関するQ&A( PDFファイル ,239KB)91より作成】
〈その他の関連するガイドライン〉
- 金融庁の金融機関における個人情報保護に関するQ&A( PDFファイル ,240KB)
- 総務省の電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの解説( PDFファイル ,303KB)
- 法務省の法務省が所管する事業を行う事業者等が取り扱う個人情報の保護に関するガイドライン( PDFファイル ,96KB)
- 厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に関するQ&A(事例集)( PDFファイル ,234KB)
上記のガイドライン、Q&A及びリンクは更新等により変更される場合があります。
