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セクハラの定義や社会背景、事例をご紹介してきましたが、最後に、企業はどんな対策をとることが求められるかをあげておきましょう。
留意点として1、職場環境型セクハラを防止するためにも、セクハラの原因や、それに関連する問題の、いわゆるグレーゾーンも含め、概念を最大限広く解釈しておくこと、2、苦情申し立てをした者がそれによって不利益にならないよう配慮が必要なことはいうまでもありません。
日本アイ・ビー・エムでは、1980年代より対価型、環境型ともにセクハラへの取り組みを展開。また、「上司と部下の私的な男女関係を禁止」したり「オープンドア・ポリシー」や「スピークアップ制度」など独自のシステムを設け、セクハラ防止に積極的に取り組んでいます。しかも、保護対象は社員にとどまらず、アルバイトや業務委託先にも及び「改正男女雇用機会均等法」よりも広い範囲をカバーしています。「オープンドア・ポリシー」とは、重役など上司の部屋のドアをいつも開放しておくというもので、セクハラ対策だけでなく気軽に上司と話ができるような職場環境を整備しています。また、面と向かって言えないことや苦情などのもって行き場が分からないような問題を処理する窓口が「スピークアップ制度」で、問題をスピークアップ(すぐに伝える)というムードと制度を整備し、さらにこうしたシステムをイントラネット(社内用電子掲示板)や社内報、会議や研修などを通じて伝え、啓発しています。4月に改正される雇用機会均等法は、その主旨や同社独自の指針を再度徹底させるためにガイドラインを作成するなど、一つのモデルケースとなるような積極的な取り組みを展開しています。
化粧品の販売会社ということもあり、女性社員が多く、女性が働きやすい職場づくりには積極的。東京の本社に「企業倫理委員会」が発足したのを機に下部機関として、「ザ・コードリーダー(京都支社:女性2名・男性1名)」が設けられました。この役割は、人権問題をはじめとする社員の正しい活動へ向けたPR啓発活動です。企業倫理委員会発行の冊子に「社員の行動指針:THE SHISEIDO WAY」「社員の行動基準:THE SHISEIDO CODE」「情報誌:THE CODE LETTER」あるいは年1回の「企業倫理白書」などがあり、これらを有効に活用して活動しています。例えば、セクハラ問題は、「差別をなくす」という立場から積極的に取り組み、朝礼でこの冊子の読み合わせを行ったりしながら、具体的にセクハラにつながる言葉や行動の事例を全員で確認し、そのような言動が起きないようにしています。さらには、管理職を含めた全社員のビデオによる勉強会も開催するなど、社員の人権意識の向上に努めています。
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