行政文書解題 「く」から始まる文書
2007年09月03日更新
郡役所文書
府内18の郡役所において作成または受理され、完結後編綴して管理保存された文書249冊。これらの文書は、郡役所廃止後昭和3(1928)年から4(1929)年にかけて集中的に整理ないし処分され、約3分の2程度が京都府庁へ引継がれた。以後昭和19(1944)年頃までにそのほとんどが廃棄され、残された215冊が同47(1972)年に当館へ移管された。保存・引継ぎの経過はつぎの通りである。
明治12(1879)年4月郡区町村編制法にもとづき京都府内の18郡に17の郡役所(宇治郡久世郡はあわせて1郡役所が置かれたが同年5月7日に分離各独立。また、紀伊郡には当初郡役所が置かれたが、伏見区役所の設置にともない乙訓郡とあわせて1郡役所となる)が開設され、上京、下東および伏見の各区に区役所が開設された。同14年1月伏見区役所は廃止され、紀伊郡役所が乙訓郡役所から分離独立したことにより、府内18郡すべてに郡役所が設置された。なお、明治23(1890)年に郡制が公布されたが、京都府においては同32年7月1日より郡制(制度上の地方自治体)が実施された。
各郡役所文書の編さん保存の具体的状況はつまびらかでないが、明治14(1881)年6月に京都府が「郡区町村記録保存心得」を達し、郡区役所および町村役場の諸記録について目録を作成し、郡区長戸長の転免の際引継をするよう指示しており、これが記録上確認できる最初である。同27年から28年にかけて各郡役所の「処務細則及簿書保存規程」が制定されているが、その内容は不明である。また同38年9月に「与謝郡役所簿書整理規程」の改正が府によって承認されている。これによると、簿書の保存年限は、永年、10年、3年の3種類とされ、編さん簿書は目録に登載し保存するよう規定されている。なお、大正期になると簿書の保存年限に5年や7年がつけ加えられている。大正12(1923)年4月の郡制廃止にもとづき同15年7月1日郡役所が廃止され、大正13年以降の5年保存以上の簿冊ならびに例規・台帳類約5900冊が府庁へ引継がれた。ついで、昭和3年7月、郡役所に残存している大正12年以前の簿冊の整理計画が立てられ、昭和3年8月から9月にかけて、各郡役所文書の実地調査が行われた。この調査では、(1)目録と現物とを照合して目録記載もれ分、散逸分の記録、(2)府庁へ引上げて保存すべきものと廃棄処分すべきものとの区別、(3)府庁への引上げ総冊数の把握等が行われた。調査終了後の同年12月に廃棄処分された各郡役所文書の簿冊総数は10064冊となっている。引上保存簿冊の府庁への輸送は昭和4年1月から3月にかけ実施されたが引上簿冊総数は15501冊で、郡役所廃止直後に引継がれた分を合わせると、21513冊が引継がれた。府庁では同年4月から6月にかけて引継郡役所文書の整理が行われ、各郡役所別年代順の番号札(ラベル)が貼付され、警察部庁舎3階の書庫に収納された。なお、各郡役所ごとの冊数内訳は次のとおりである。愛宕1303 葛野1013 乙訓654 紀伊1048 宇治982 久世1077 綴喜801 相楽1924 南桑田1075 北桑田923 船井1365 天田1815 何鹿1432 加佐2022 与謝1602 中834 竹野752 熊野689 合計21513冊(以上、京都府庁文書「昭和四年郡役所簿冊整理一件」(昭4-22)による)。各郡役所文書は、このようにして府庁に引継がれたが、年々増加する府庁文書の収納スペースの確保が困難となったため、書庫が改築された昭和8年から、決戦非常措置による処分が行われた同19年までの間にそのほとんどが廃棄され、戦後に残されたのは全部でわずか217冊にすぎない状態となった。
なお、当館には京都府庁より移管された前記郡役所文書以外に、昭和57年に乙訓自治会館から移管をうけた乙訓郡役所文書29冊を所蔵している。
各郡役所文書の年代、冊数および内容は、次のとおりである。
愛宕郡役所文書
〔年代・総数〕明治20~大正15年 9冊
〔内容・数量〕財務1、庶務1、学校誌1、社寺什宝3、史蹟調査1、土木道路2。
葛野郡役所文書
〔年代・総数〕明治18~大正15五年 21冊
〔内容・数量〕郡長事務引継書2、社寺什宝8、寺院調書明細帳3、各種学校台帳2、教員台帳1、遷都紀念祭協賛会1、部落有財産統一綴1、水車水路許可2、土木一件1。
紀伊郡役所文書
〔年代・総数〕明治35~大正15年 10冊
〔内容・数量〕碑文集1、社寺什宝4、小学校各種学校台帳1、教員保母台帳1、郡長官舎建築費1、小作慣行調書1、産業組合1。
乙訓郡役所文書
〔年代・総数〕明治12~大正15年 38冊
〔内容・数量〕郡長事務引継書1、郡治要覧1、庶務財務10、学校教育3、教員2、社寺調書3、社寺什宝7、皇室4、病院衛生組合3、水論山論1、小作慣行調書1、耕地整理1、産業組合1。
宇治郡役所文書
〔年代・総数〕明治21~大正10年 6冊
〔内容・数量〕社寺什宝4、学校台帳1、教員転任休退職者履歴書1。
久世郡役所文書
〔年代・総数〕明治18~大正15年 13冊
〔内容・数量〕社寺調書2、社寺什宝3、名勝旧蹟2、町村境界変更1、水害一件1、道路河川3、池沼売却1。
綴喜郡役所文書
〔年代・総数〕明治11~大正15年 13冊
〔内容・数量〕綴喜郡誌資料1、社寺什宝3、寺院明細帳1、小学校沿革台帳2、名勝録1、道路改修組合1、道路河川4。
相楽郡役所文書
〔年代・総数〕明治11~大正15年 19冊
〔内容・数量〕相楽郡村誌1、相楽郡会誌1、社寺調書明細帳4、社寺什宝2、学校台帳1、農林学校1、名所旧蹟6、部落有財産統一綴1、郡有財産台帳1、道路法施行1。
南桑田郡役所文書
〔年代・総数〕明治14~大正9年 7冊
〔内容・数量〕記録(庶務人事)3、史料記録1、郡立学校女学校3。
北桑田郡役所文書
〔年代・総数〕明治13~大正14年 6冊
〔内容・数量〕各村一覧表取調書1、社寺調書明細帳2、学校台帳2、道路1。
船井郡役所文書
〔年代・総数〕明治15~大正15年 27冊
〔内容・数量〕地図里程取調4、庶務財務2、社寺調書明細帳6、社寺什宝3、学校台帳4、高等小学校誌3、公園2、道路河川3。
天田郡役所文書
〔年代・総数〕明治43~大正15年 12冊
〔内容・数量〕碑文集1、史蹟調査3、学校台帳2、小学校図面2、女学校建築1、町村行政統計1、道路橋梁2。
何鹿郡役所文書
〔年代・総数〕明治20~大正15年 6冊
〔内容・数量〕社寺調書2、寺院什宝1、町村合併1、道路2。
加佐郡役所文書
〔年代・総数〕明治17~大正15年 13冊
〔内容・数量〕社寺調書明細帳3、社寺什宝1、維新前民政調査3、小学校簿1、郡立学校2、公園1、道路橋梁河川2。
与謝郡役所文書
〔年代・総数〕明治19~大正14年 16冊
〔内容・数量〕郡統計要覧簿1、庶務財務3、町村負債1、公益事例1、宮津藩学制沿革1、小学校一覧2、女学校建築1、社寺調書3、天橋立公園2、電話建設1。
中郡役所文書
〔年代・総数〕明治12~大正11年 13冊
〔内容・数量〕郡長事務引継書1、大野村分離1、村改革(新山、丹波)2、部落有財産統一綴1、士族就産1、寄留届1、社寺調明細帳2、耕地整理1、堤防堰紛擾2、郡役所建築1。
竹野郡役所文書
〔年代・総数〕明治28~大正15年 10冊
〔内容・数量〕八木村徳光村合併1、遺跡古墳2、神杜調1、小学校誌台帳2、部落有財産1、万畳山分割1、水害予防組合1、郡長住宅1。
熊野郡役所文書
〔年代・総数〕明治14~大正15年 7冊
〔内容・数量〕文部卿演舌写1、故蹟調1、社寺調明細帳4、部落有財産統一綴1。
