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丹後の海の生き物(微細藻類)

微細藻類

  読んで字のごとく、非常に小さな植物プランクトンの総称です。写真は珪酸質の殻に包まれた細胞が特徴的な珪藻の仲間。アンテナ状に突き出た部分は刺毛(しもう)と呼ばれ、海水中で浮遊生活を営む上で大変都合良くデザインされています。刺毛を除く大きさはわずか数ミクロン。あまりに小さいため、普通の顕微鏡では詳細を観察することは出来ません。
  この珪藻、実は海洋センターが生産するトリガイやイワガキの幼生の餌。口の小さな幼生のために、数ある微細藻の中から選りすぐった種類です。海水に数種類の栄養を加えた培養液と、適度な明るさがあれば、室内でも容易に増殖させることができます。
  センターの研究員が天橋立近くの阿蘇海で本種を採集したのは1970年代の後半、「水産試験場」から「海洋センター」に改称してまだ間もない頃の話。以来約30年もの間、海を離れフラスコの中で静かに世代を重ねています。大切な元種を絶やしては大変。培養液の交換や間引きなど、定期的な世話が欠かせません。

京都府立海洋センター主任 今西裕一 

(平成19年4月25日、京都新聞掲載)

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