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研究こぼれ話(アワビの年齢)

  魚の年齢を知ることが資源調査において大変重要であることは、『魚の年齢を調べる』で掲載したとおりですが、クロアワビなどの貝類についても全く同じことが言えます。年齢を知ることで、成長を推定したり、年齢構成を把握したりすることができるほか、毎年府内沿岸域で実施されている種苗放流の効果を把握することにも応用できます。
  アワビ類の年齢を調べる方法は色々ありますが,その1つとして輪紋(りんもん)の数を読み取る方法があり、当所ではこの方法で年齢を推定しています。輪紋は夏期の高水温中での成長停滞と産卵期の間で年1本形成されるものと考えられており、この数が年齢に相当します。輪紋の読み取りは、貝殻についた付着物を金属ブラシで完全に除去し、貝殻の裏から強い光を当てて行います。光を当てると輪紋部分が透けて見えるので、簡単に読み取ることができます。
  殻にある輪紋を判読していると、成長の早いものや遅いもの、一時期から急に成長が早くなったものなど、個体毎の成長スピードに微妙な違いがあり、非常に興味深いものがあります。また、殻に小さな穴が開けられ、害敵に襲われていた形跡のあるものを見ると「恐ろしい目にあったのによくがんばっていたんだな」などと密かに感心することもあります。このように貝殻を観察するだけで、アワビが漁獲されるまでの生涯を垣間見ることができます。どうやらアワビは自身の殻に自分史を記しているようです。

クロアワビ殻に形成された輪紋

(増殖担当)

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