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3.資源管理の手法
  舞鶴湾におけるアサリの生活サイクル、資源変化、漁獲及び漁場環境の実態については以上のとおりです。次に、本季報の最後のしめくくりとして、上述の内容からアサリ資源の維持増大のためにどのような工夫ができるかを考えてみたいと思います。
(1)資源の保護・増大のための操業時期・場所の制限
まず最初に、アサリ資源を保護・増大するために、卵を持っている親貝や、まだ商品価値のない幼稚仔を効率的に保護管理する手法について検討します。
1産卵親貝の保護
  舞鶴湾のアサリの主な産卵期は、秋季の10月から11月にありますので、これら産卵をひかえている親貝を保護するために秋季に禁漁期間を設けて、産卵期が終了してから漁獲を再開する方法が考えられます。
  殻長25mm以上のアサリは、全て産卵に参加することが分かっています。一方、25mmまでのアサリは単価的には安いので、これらの未成貝を秋季までに収集して、密度の低い漁場、または新たに造成した漁場に移植する方法の考えられます。
  なお、未成貝を移植した漁場は、アサリが成長するまで禁漁にするとより効果的でしょう。
2幼稚貝の保護
  舞鶴湾のアサリは主としてジョレンで漁獲されていますので、この目合を調整することにより、保護しようとする幼稚貝の混獲を防止することができます。たとえば、現在舞鶴湾で使用されているジョレンの目合は25mm×20mmであり、まだ産卵に1回も参加していない殻長20mm以下の幼稚貝はすべて保護できますので、現行の目合のジョレンは、幼稚貝の保護という観点では有効な漁具と考えられます。
3害適からの保護
  舞鶴湾では、主にアサリは水深1m帯に分布しています。これは、アサリを補食するヒトデ類やカニ類、特にヒトデ類の分布量が、水深1m帯では少なく、それよりも深い場所では多いことが原因です。
  そこで、水深1m帯よりも深いところに生息するヒトデ類を駆除すれば、より多くのアサリが生き残ると考えられます。
(2)漁場環境の保全と改善
  漁場の底質改善を目的とした覆砂(砂を新たに投入する方法)による漁場造成は、アサリの資源管理の一つの手法として従来からよく用いられています。ただし、アサリの生活サイクルや資源の変化等を考慮に入れて、アサリを効率よく繁殖させるための漁場造成手法についてはあまり検討されていませんでした。そこで、舞鶴湾で明らかになったアサリの産卵時期や分布の実態から想定できる効率的な漁場造成手法について検討してみたいと思います。
1産卵期からみた造成時期
  前述しましたように、舞鶴湾におけるアサリの主産卵期は10月から11月にかけてです。そのため、この主産卵期まで、すなわち秋口までに漁場造成をしてやれば稚貝の着定が期待でき、即効性があると考えられます。
2分布水深からみた造成場所
  アサリは水深1m帯を中心に分布していることが分かっています。これはアサリの害適生物、特にヒトデ類の分布が水深1m帯に少なく、それより深いところでは多いことに理由があります。
  すなわち、アサリの着定後の生き残りを高めるためには、水深1m帯を中心に浅場の面積を拡大してやるという造成手法をとれば、効率のよい漁場造成が可能になると考えられます。
その際に、どのような砂をどの程度の量投入するとアサリの増産につながるのかを調べるために、次のような実験をしてみました。アサリの減耗はヒトデ類、特に舞鶴湾においてはヒトデとトゲモミジガイの食害が主な原因であると考えられますので、これらヒトデ類の食害と造成に使用する砂粒の大きさや、投入する砂の量(厚み)との関係について調べました(図5、6)。
  結果は表5のとおりで、アサリのサイズとヒトデの種類によってそれぞれ補食量は違ってきますが、舞鶴湾の場合には、通常ヒトデとトゲモミジガイが混在した状態で生息していることを考え合わせると、おおよその目安としては、砂の径が0.5〜1.0mmのものを最低60mm以上の厚みになるように造成すれば、アサリの主な減耗要因であるヒトデ類による食害を軽減することができるものと考えられます。
??  ただ、造成に際しては、事業に係る経費や潮流、波浪による砂の流失等についても配慮して実施する必要があるでしょう。
3造成後の保全方法
  舞鶴湾において造成された漁場を調べると、底質環境が良好に保たれている期間というのは、造成されてから5年間程度ですので、6年以上経過した造成漁場についてはチェックをして、砂成分が減少しているようであれば追加投入してやるなどの工夫が必要です。
  なお、砂を追加投入する場合にも、上記の結果を参考にしながら実施するとより効果があるものと考えられます。

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