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3 新しい知見による資源保護策の検討
 以上紹介しましたように、今回京都府沿岸海域におけるヒラメの成長と成熟についての知見が得られたわけですが、この知見に基づいて、これまでの京都府におけるヒラメの資源管理の取り組みについて再検討してみます。
 現在行われているヒラメ資源管理の取組みの一つとして、全長250mm未満のヒラメ
の再放流があります。平成8年に関係漁業者で組織された「京都府ヒラメ資源管理部会」において、小型ヒラメの再放流について合意され、その後、この取り組みは継続実施されています。当時、この取組みについては、250mm未満のヒラメは商品価値が低く、再放流してより大きくしてから漁獲した方がもうかるとの主旨で始められました。今回の成長に関する知見から、全長250mmのヒラメは雌雄とも概ね満1歳で、体重にすると200gにも達していません。例えば、あと1年獲るのを我慢すれば、ヒラメは全長で約1.1 倍、体重で3〜4倍と大きくなり、もっと高い価値を持った商品として生まれ変わります。商品価値の有無及び資源の有効利用という観点から、小型魚を再放流するということは大変意義のあることです。さらに、生殖能力を持ったヒラメを、最低一度は再生産活動に参加させてから漁獲するということも、資源管理上重要であると考えられます。つまり、再生産という観点から見た場合には、大部分のヒラメが成熟する年齢である満3歳、サイズとしては、雌で全長480mm(体重1,200g)、雄で全長370mm(体重500g)になるまでに、ヒラメを獲り尽くしてしまうことのないようにする必要があるといえます。
 また、京都府沿岸海域におけるヒラメの産卵盛期は、4月上旬から5月下旬であることも明らかになりましたので、この時期に、大型魚を獲り過ぎないようにすることも資源管理を行う上で重要なことと考えられます。
 しかし、今回得られた知見から、今すぐにヒラメを対象に新たな資源保護策を導入すことにはなりません。成熟の項の中でも書きましたように、水産生物はある程度漁獲されても、適正な量の親が残っていれば再生産し持続的な利用が可能な資源です。今後ヒラメの資源管理型漁業を進めていくためには、京都府沿岸海域におけるヒラメの資源量や、再生産が期待できる親魚の量がどれくらいあればよいのかなど、ヒラメ資源に関してはまだまだ多くの情報が必要です。
 季報39号でも示しましたように、京都で育ったヒラメが、京都だけで一生を過ごすわけではなく、少なくとも日本海西部海域を広く回遊することも知られていますので、ヒラメの分布、移動及び系群についての情報収集も不可欠です。また、これらの情報を収集することは、より確実で効果的な栽培漁業を行うためにも必要と考えています。そのため、今後これらの調査結果も併せて整理することにより、京都府沿岸海域におけるヒラメの栽培漁業や資源管理型漁業をより効率的に進める上で、現実的にどのような資源培養管理策がとれるのかを、これからも漁業者の皆様と一緒になって考えていきたいと思っております。 
 
 
お わ り に 
 
 ヒラメが生息する沿岸海域は、漁業だけでなく、遊漁をはじめとするその他の様々な産業によって利用され、その利用形態は従来にも増して複雑化してきており、水産に携わるものだけで占有することはできない状況になっています。
 このような中で、ヒラメを対象とした栽培漁業や資源管理型漁業を計画的、かつ効率的に進め、効果をあげていくためには、ヒラメの生態や資源の動きだけでなく、生息環境、すなわち「海」の条件や漁業、流通、さらには海面利用の実態など、多くの基礎的な事実を把握する必要があります。そして、その時点で、現実的に取り得る最も効果のあがる手法は何かを考え、段階的に実践に移していくことが大切です。
 また、実践の結果、効果があがっているかどうかを常時監視し、効果をさらにレベルアップさせるためには、そのときの条件に合わせて、実践内容を見直すことも場合によっては必要ですし、また、そのための調査研究も必要となります。
 本冊子で御紹介しましたヒラメの成長と成熟は、京都府沿岸海域におけるヒラメの栽培漁業や資源管理型漁業のレベルアップを図るためには、是非とも解明しなければならない課題の一つになっていましたので、これまでに漁業者の方たちに御協力いただいて入手した多くのデータを解析することにより、今回明らかにすることができました。
 今後は、ヒラメの資源管理培養手法のさらなるレベルアップを図るために、京都府沿岸海域におけるヒラメの分布、移動や系群の実態についても明らかにしていく必要があると考えていますので、また、機会をみて皆様に御紹介します。
 最後に、ヒラメ調査に関して、府内の漁業協同組合を始めとする多くの漁業者の方たちに御協力いただきました。この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。
 
 
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