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 3)磯焼けが磯根漁業へ及ぼす影響について
 磯焼けはアワビ、サザエやワカメなどを漁獲の対象としている磯根漁業に一番影響を与えます。しかし、先に述べましたように京都府でみられる磯焼け現象は他県で報告されているようなアワビなどの磯根資源が大量に減少(死亡)し、休漁に追い込まれるような状況にはなってはいません。これまで磯根資源の被害がみられたのは、田井地先のキタムラサキウニが死亡し、漁獲できなった例があげられます。しかし、これも磯焼けによる直接の被害というよりも平成6年夏季の水温が高かった影響の方が大きかったようです。ただし、直接目に見えた状況で磯焼けの状況が漁業に影響がなくても磯焼け漁場付近に生息していたアワビ、サザエが餌不足になった、生まれた稚貝の生き残りが悪い、アオリイカの産卵床が減少した、根付き魚が減ったなど目に見えない形で影響を与えていると考えられます。 
 これまでに紹介しました4地区についてはある程度の磯焼けの状況と持続要因が分かりました。田井地先はキタムラサキウニに代表される植食動物の食害が磯焼けの原因でした。このような植食動物の食害による磯焼けの海域ではウニなどの有用植食動物を漁獲するなどして適正に資源管理をすることにより藻場の回復が期待されます。成生地先では植食動物の食害もさることながら藻場を形成するに必要な「種」の供給源のないことも大きな要因でした。このような「種」の供給源のない地区は母藻となる藻の移植などによる造成を行い、さらに田井地先のように植食動物の適正管理を行うことが大事です。新井崎地先や野室地先のように波浪環境の厳しい海域では現在の技術ではホンダワラ類の藻場造成は困難であると思われます。
 藻場の回復、造成する方法はそれぞれの海域により異なります。藻場の回復、造成のためにはそれを阻害している要因を適切に把握し、その場に応じた技術の導入を考えていかなければなりません。そのために必要な資料の収集を今後も地道に行っていきますので、みなさんの御理解、御協力をよろしくお願いします。
 
 
お わ り に

 磯焼けは漁業生産に影響を与えますが、海岸の保全、環境など人間社会の営みにも深い関係があります。私たちは、これまでは漁業資源との関わりの中で海藻・藻場をみてきました。もちろん、海藻・藻場は漁業資源を持続的に生産していくためにはとても大事なもの(資源)です。海藻資源が無いとそのことによる経済的に打撃を受けますし、海藻・藻場を生物生産の基礎とした生物の培養にも支障を来すことになります。そのためには今後も積極的に海藻・藻場を守っていく努力が大事です。そのためには、海藻・藻場の消失した場所には人工的手段を講じて積極的に海藻・藻場を造成していく必要もあります。さらには、今後は海岸の保全、水質環境を始め、水産業や海、生物そのものも司って行くための海藻・藻場としてもこれを皆の大切な財産として育んでいきたいものです。その目標のため、海洋センターは海藻、藻場の回復、造成技術の開発に努力していきます。
 次回以降は藻場の磯焼け、回復、造成に関連のある要因や海藻の育成技術、資源の有効活用などについて紹介していきます。
 
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