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4.作戦−4 感染の防除
 
 感染試験に用いる健康な稚貝を試験生産する際の小規模な隔離飼育方式と作戦−2、3の項で述べた防除技術とを組み合わせ応用すれば、栽培漁業センターで稚貝を量産する場合でも筋萎縮症の発生を防除することは充分可能ではないかと考えられました。

 防除のポイントをまとめると、以下のようになりました。

1) 採卵、採精に用いる親貝は専用の親貝室で隔離飼育すること。
2) 受精卵のみを親貝隔離飼育室から汚染に十分留意して持ち出し、受精卵を十分に清浄海水(紫外線殺菌海水)で洗浄すること。
3) 洗浄した受精卵を消毒した飼育施設内の水槽に収容し、紫外線殺菌海水中で孵化させること。
4) 作業に用いる器具類はすべて事前に消毒しておくこと。
5) 当然ながら幼生や稚貝を収容する施設や水槽等も事前に消毒しておくこと。
6) アワビ生産施設内への出入りの際には手指等の消毒を徹底すること。施設内の長靴やエプロン、手袋等は消毒済みの専用の物のみを使用すること。
7) アワビ生産施設内の作業員は限定し、それ以外の者の立ち入りを禁止すること。
8) 施設内での作業後には、作業に用いた器具類は消毒すること。
9) 前年生まれのクロアワビ1年貝は、アワビ生産施設とはできるだけ離れた場所で中間育成(隔離飼育)すること。

 以上のような事項に注意して、平成7年(1995年)から平成10年(1998年)まで栽培漁業センターでの量産を実施してきましたが、残念ながら量産規模では筋萎縮症の発生がみられました。

 海洋センターでは平成5年度(1993年)〜9年度(1997年)に水産庁の補助を受けて、他の5県と共同して筋萎縮症の防除技術の研究を進めてきました。6府県のうち福岡県の栽培漁業センターでは、アワビ生産施設の徹底した消毒および稚貝と親貝や1年貝との完全な隔離飼育等、最も進んだ防除方式を採用していました。しかし、平成9年度にもそれまでと同様に本症の発生がありました。ところが、平成10年度に、紫外線殺菌海水で一貫して育成した水槽では全く本症の発生がなく、飼育海水を殺菌しなかった他の水槽では発生したとの報告がありました(福岡県栽培漁業センターの事例)。飼育海水中に本症原因ウイルスが含まれていたためではないかという新たな疑いが生まれました。水平感染や垂直感染以外に、重要な感染経路が存在していたわけです。筋萎縮症原因ウイルスが紫外線に弱いことは既に判っており、ウイルスが飼育海水中に含まれているのであれば、紫外線を照射することによってウイルスを容易に不活化(感染性を失わせること)できると考えられました。しかし、大きな湾内から取水している自然の海水の中に本症原因ウイルスが含まれているとは、当初まったく想定していなかったことが大変悔やまれました。思い返せば、10年間以上に亘って幾例もの感染試験を実施した中で1〜2例、感染しないはずの稚貝群が発病し、どうしても説明のつかない事例があったことに思い当たりました。おそらく飼育海水から感染してしまっていたのでしょう。
 

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