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 3)種をまいて増殖する方法
 株移植の試験を行った場所の近くの水深1mの海底にアマモの種60粒を蒔いたコンテナを設置して発芽の状況と生長した葉の長さを時期を追って測っていきました。種まきは8,9,10,11,12月に行いました。表1のそれぞれの時期に蒔いた場合の結果をみてみると、
種を蒔いた翌年3月の状況は、8月に蒔いたものが平均の葉の長さでは最も大きく生長しました。また、11,12月に蒔いたものが最も発芽する割合が高くなりました。翌年6月の株の数は11,12月に種を蒔いた時期のものが多くなりましたが、11月蒔きと12月蒔きでは葉の長さに生長の差がみられ、11月に蒔いた場合は8月蒔きに次いで葉の長さの生長は良かったようです。また、早い時期に種まきをしても発芽がみられるのは12月以降でした。発芽率は2月に最も高くなりました。 
 海洋センターの水槽で0.5mm以下、0.5〜1mm、1〜2mm、2mm以上とそれぞれ砂の大き
さの違うコンテナに2月と11月にアマモの種を蒔いて、砂の大きさの違いと発芽について調べました。種の発芽は蒔いてから1ヶ月後でした。図10の時期別の発芽状況では、2月に蒔いた場合は0.5mm以下と0.5〜1mmのものは15%以上の発芽でしたが、1〜2mm、2mm以上のものは10%以下の発芽でした。11月に蒔いた場合は0.5mm以下と0.5〜1mmのものは20%以上の発芽でしたが、1〜2mmでは5%程度、2mm以上のものは実験期間中は発芽しませんでした。このことから、種を蒔く場合は、1mm以下の砂の大きさが均一に分布している底層が発芽には良好といえます。 舞鶴湾に生育しているアマモは水温が9℃から13℃に上昇する時期(2月から4月)にかけて花が咲きます。さらに、水温が13℃から23℃に上昇する時期(4月から6月)に種ができ、その種が放出されます。種をまいてアマモの増殖を行う場合は、水温が20℃前後の時期(6月上旬頃)に種を採集します。良質の種を確保するためには種を飽和食塩水中に入れ、浮いた種は取り除き、沈んだ種を選びます。採集した種は種まきをする時期まで保存します。保存方法としては種が落ちないようタマネギ袋などの目の細かい網袋に入れ、種を蒔く時期まで潮通しの良い海域に吊しておけば良いでしょう。種まきの時期は1早い時期に蒔いても12月以降でないと発芽しない、211〜12月にに蒔いた種が最も多く発芽したことを考えると11月以降が適当
写真2 播種方法
と思われます。底質別の発芽率は、0.5〜1mmが最も高くなったことから、底質は泥分が少なく砂分の多い細かい場所が良いでしょう。 波や潮の流れの速い海域では蒔いた種が散らばりやすい恐れがあることから、これらの場所は避けるようにしましょう。種が散らばりを防ぎ、効率よく生育させるために、例えば木綿の袋などに種を腐葉土と共に入れ、その袋を海底に設置する方法もあります(写真2)。
 種をまいて増殖する方法をまとめると次のようになります。
 
 
●種をまいて増殖する方法のまとめ

<要 点>

11〜12月頃に粒径1mm以下の砂底質の場所に種蒔きを行う方法が適している。

<長 所>
株移植方法と比較して面積あたりの作業労力が少なく、広範囲に応用できる。

<短 所>
種を蒔いた年は生殖株は出現しない。種を直播きすると逸散、流出する恐れがある。

<今後の課題>
粒径1mm以下の砂質底は発芽はしやすいが、波浪や潮流などの影響により安定しがたい。アマモが生長すると粒径1mm以下の砂質の底質は波動に抵抗できる堅牢な支持基盤にはならないなどから底質の選定を検討。
 
 今回紹介したアマモの増殖方法は実験的なもので、小規模なものです。これを効果的に実証するためには広い海域で一定規模の増殖をはかる必要があるでしょう。
 
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