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鞘翅(コウチュウ)目 コメツキムシ科

ヒゲナガクロコメツキ

Ampedus (Ampedus) aureopilosus Kishii, 1988
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー なし
ヒゲナガクロコメツキ

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選定理由

タイプ産地:美山町芦生演習林。全国的希少種で、府内、府外とも記載後の追加の記録はない。

形態

体長は11.0mm。細長くやや肥厚し平行状、背面はわずかに隆起気味、光沢はきわめて明瞭。黒色で触角第2・3節と肢部は赤褐色、符節はより淡色。体毛は黄金色で艶は明瞭、細長く直毛で密。触角は長く末端節は明らかに前胸後角端を越え、第2節は短亜球形状、第3節は前節の1.5倍より長く長三角形状、第4節から明瞭な鋸歯状。頭部は広くやや膨隆し頭頂部に不規則な浅い凹みがあり、前頭縁線はやや半円状に突出し完全で、前頭溝が中央で不明瞭となり、上唇後縁と融合状となる。前頭溝側方は触角窩近くで広く凹む。頭頂点刻はやや大きく二重状でやや密、大きさと密度は不規則。前胸は台形で側縁の前半部は弧状に狭まり、後角部は平行状に近く先端はわずかに後側方へ伸張。後角は短三角状で先端は鈍端、明瞭な1隆起線をもつ。背板後縁傾斜は顕著で基部溝はない。背板点刻は頭部のものより小型で疎、点刻間は平滑、きわめて広く点刻直径の3倍以上ある。上翅の条線は細溝状で基部近くでは部分的に消失し、間室はほぼ平坦で平滑、小点刻を疎布。メスは未知。

◎近似種との区別 アカコメツキ類同様にこのクロコメツキ類も日本での分化が著しく、既に40種余りの分布が知られており、分類の難しいものであるが、アカコメツキと同じく生殖器構造にはそれぞれ特有な差異点が明瞭である。本種はヌバタマクロコメツキA. nubatama Kishii、ヤマトクロコメツキA. yamato Kishii、タカハチクロコメツキA.takahachi Kishii又はミズノクロコメツキA. mizunoanus Kishiiなどに一見よく似るが、これらとは体形が明らかに細長く平行状に近く、また体毛は金色に近い黄色で、触角先端節は明らかに前胸の後角端を越え、オス生殖器の側片先端の形状も異なる。ただ近似種が多く、外部形態の差異のみで同定することは困難なので、交尾器観察などの熟練者に同定を依頼することが望まれる。

分布

◎府内の分布区域 京都(京都大学芦生研究林と尾越久多の間)からのタイプ標本の1個体が知られるのみ。ラベルは次のとおり。1♂, 6. v. 1973, 水野弘造採集.

生態的特性

ホロタイプの産地は山地の森林環境なので、林道やダムなどの工事を進めることなく、現状のままの状態で維持されるなら安定であろう。

生息地の現状

5月上旬にカエデの花に集まるカミキリ類の採集を目的とした際の収獲なので、訪花していた可能性が高い。

必要な保全対策

生態が不明なので、現況の森林環境の維持保全が望ましい。

その他

日本固有種

文献 Kishii(1988、1999)

執筆者 岸井尚(加筆修正:水野弘造)

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