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翼手目ヒナコウモリ科

テングコウモリ

Murina hilgendorfi Milne-Edwards, 1872
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー なし

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選定理由

本来は樹洞を昼間の隠れ家にするコウモリであるが、大木が激減し、樹洞が消失したため。また、一部の群れでは樹洞が消失している洞窟を昼間の隠れ家として利用している現状がある。

形態

吻部の先がやや前外側に突出しているのが、このテングコウモリ属の特徴である。

◎近似種との区別 本種は大型であり、前腕長が40mm以上であるが、次種のコテングコウモリは35mmを越えない。

分布

北海道、本州、四国、九州。

◎府内の分布区域 非常に古く、おそらく林が多く残っていたと思われる1920年ころに、山城で1頭採集されたことがある(岸田 1928)。その後、長く本種の生息記録がなかったが、2000年3月末に、当時の瑞穂町質志鍾乳洞で一度30頭前後が発見された。

生態的特性

夕方に隠れ家から飛び出して、飛翔する昆虫類を採餌する。昆虫類が飛ばない冬期には冬眠する。

生息地の現状

1920年代に記録された山城にはすでに大きな林はなく、現在では滅びているであろう。現在でも大木が多数残されている京都大学芦生研究林などに生息している可能性はあるが、まだ確認できていない。本種の生息は洞窟内で時々発見されるのみであるので、恒常的なものではなく、緊急避難的な要素が大きいと思われる。いずれにしても、本来はこれらの洞窟周辺の樹洞を昼間の隠れ家にしていた個体がかろうじて生き延びていると想像される。ところが、2000年3月末に、当時の瑞穂町質志鍾乳洞で一度に30頭前後が発見された。これらは4月中旬にはいなくなった。これが何を意味するのかは不明であり、目下研究を継続中である。

生存に対する脅威

本来の昼間の隠れ家である樹洞の消失及びその代用と思われる生息洞窟の環境悪化、及び人による洞内での懸下コウモリへの生息妨害。

必要な保全対策

まず、本来の昼間の隠れ家である樹洞を今後一切減少させない。大径木の樹木を伐採しない。現在残されている大木を全て保存する。現在本種が利用する洞窟に、人が入れないような、しかしコウモリが通れるような扉を設ける。観光鍾乳洞の場合は、コウモリの一年を通した移動や個体数変動を調べて、観光客のための灯りを確保する場所を決定する、及びコウモリの移動や懸下が妨げられないようにする。

文献 岸田(1928)

執筆者 前田喜四雄

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