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京都府レッドデータブック2015

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哺乳類のロゴマーク哺乳類
食肉目クマ科

ツキノワグマ(ニホンツキノワグマ)

Ursus thibetanus (Cuvier, 1823) =Ursus thibetanus japonicus (Schlegel, 1857)
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー なし
ニホンツキノワグマ (C)小泉博保

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選定理由

府内には丹後と丹波の2つの個体群があり、遺伝的にも違いが見られる。府内の個体数は回復の傾向にあるが、府内の個体数だけをみると、十分な個体数には達していない。隣接県では捕獲が行われており、十分な配慮が必要である。

形態

体色は黒色、前胸に三日月状の白斑、いわゆる月の輪を持つものが多い。成獣で頭胴長120~145cm、体重70~120kg。

分布

本州、四国、九州の山岳地に分布していたが、九州では2012年に環境省によって絶滅宣言が出されている。本州西部の個体群は、西中国個体群、東中国個体群で増加傾向が認められている。

◎府内の分布区域 京都府内では由良川の東の舞鶴市東部から京都市北部に分布する北近畿東部個体群と京丹後市、福知山市から舞鶴市西部にかけて分布する北近畿西部個体群に分かれる。

生態的特性

多くは1産2仔で、2年程度子育てをする。食性は植食性の強い雑食性で、タケノコ、草本の葉、ハチ類、アリ類、堅果や漿果など樹木の実を食べる。最も重要な餌は、ブナ、ミズナラ、クリなどの堅果類である。冬は主として樹木にできた空洞(樹洞、ウロ)や土穴、岩穴に入り、冬ごもりする。秋、ドングリ類、ミズキなどに登り、いわゆる円座、クマ棚をつくる。

生息地の現状

生存に最も重要な環境は広葉樹天然林であるが、戦後の人工林化で天然林が著しく減少している。また、カシノナガキクイムシによるナラ類、カシ類、シイ類の集団枯損および原因がはっきりしないブナの枯死が拡大しており、最重要な堅果類の供給源が激減している。さらに、シカによってイチゴ類の減少、ミズキの枯死が発生し、漿果類も減少しており、天然の食物環境は極めて悪化している。

生存に対する脅威

京都府内の生息数は、2013年時点で丹後個体群約700頭、丹波個体群約200頭と推定されており、環境省のガイドラインでは、丹波個体群は絶滅危惧地域個体群、丹後地域個体群は危急地域個体群に該当する。しかし、被害増加が見られ、地域住民から、被害防除のための有害獣捕殺への要請はかなり高まっている。

必要な保全対策

生息地である落葉広葉樹の保全のためのモニタリング並びに広葉樹の回復が必要である。クマによる農林業被害や人身被害も許容限界以下にするため、隣接県と共同して保護管理計画を立て、被害防除並びに有害捕獲の実施体制の確立が望まれる。狩猟は禁止とし、有害捕獲には上限を設定している。

文献 京都府(2015)

執筆者 高柳敦、村上興正

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