ホーム > 京都府レッドデータブック2015

京都府レッドデータブック2015

文字の大きさ

トップページ自然生態系地域生態系 > 八丁平湿原水生植物群落

地域生態系のアイコン地域生態系

八丁平湿原水生植物群落

分類

高層湿原 挺水植物群落

特徴

3万年前の最終氷期最盛期から形成されてきた高層湿原であり、周辺の山地で囲まれた盆地地形の中、周辺の森林からの湧き水で池が維持され、湿原が形成されてきた。特に現在はやや乾燥化が進んで湿原としては最終期に入っているが、氷河時代からの堆積物が見られる非常に学術的に貴重な湿原であるとともに、3万年間にわたる植物群落の変化を記録している堆積物が存在していることでも、貴重な場所である。湿原の周辺は落葉樹林になっており、昆虫類、野鳥、哺乳類などの生物層も非常に豊富であると共に、ムカシトンボやフジミドリシジミなどのそれぞれ特定の環境に結びついた昆虫等も数多く確認されている。湿原はオオミズゴケで形成されており、イヌツゲ、ノリウツギ、ツノハシバミ、サワフタギなどの木本植物が見られる。また湿原の周辺には、ヒツジグサ、ヒルムシロ、カキツバタなどの水生植物や、アブラガヤ、ホシクサ等を見ることができる。

分布

高層湿原は、本来は寒冷地に発達するものであり、京都府では、八丁平、深泥池、大フケ湿原(丹後地域)以外にはほとんど見ることはできない。八丁平では、周辺の森林からの冷たい伏流水が湧きだしていて、これまでこのような湿原が維持されていると考えられている。

保存に対する脅威

オオミズゴケに覆われ、水生植物が広く分布している湿原であるが、アカマツ、スギ、ヒノキ、ミズナラ、クリ、ヤマナラシなどの高木性樹木が多数生育しており、湿性遷移の終盤に近づきつつある状況である。しかし、湿原内には、湿原植生を維持している部分が数箇所認められ、カキツバタ、モウセンゴケ、カキラン、ヒカゲツツジなどが生育している。1990年代後半からシカによる水生植物の食害が激しく、カキツバタは危機的な状況に陥っている。京都市と研究者の協力によって、防鹿柵の設置など、食害の防止策が実施されている。さらに、集水域の森林では、草本層の鹿による食害、ササ類の一斉開花による枯死、カシノナガキクイムシによるミズナラ、クリの枯損がほぼ同時に起こり、部分的には、湿原内への土砂の流入も認められる。これらの問題に対する対策も進められてはいるが、十分な解決策に至っていない。今後も、基礎的な生態系に関する調査に基づき、保全対策が必要である。

府内での分布と京都府カテゴリー

京都府内の分布 京都府カテゴリ-
京都市・乙訓地域 峰床山東裾 京都市左京区八丁平 要特別対策

トップページ自然生態系地域生態系 > 八丁平湿原水生植物群落

京都府レッドデータブックに掲載されている野生生物や地形・地質、生態系などに関する情報がありましたら、情報提供フォームからお寄せください。

情報提供フォーム

お問い合わせ先:京都府環境部自然環境保全課
TEL:075-414-4706 FAX:075-414-4705
E-Mail:[email protected]
〒602-8570 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ページの先頭に戻る