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人権口コミ講座(39)

世界人権宣言60周年に考える
 財団法人世界人権問題研究センター所長
 京都大学名誉教授 安藤 仁介

 世界人権宣言が1948年12月10日に国連総会で採択されてから、ちょうど60年が過ぎました。この機会に、この宣言の持つ意味を改めて考えてみましょう。

 世界人権宣言は実は、第二次世界大戦前と大戦中の恐るべき人権侵害に対する反省を踏まえて採択されました。ご承知のように、大戦を連合国と戦ったドイツのナチス政権は、ユダヤ系の血を引いているというだけの理由で、自国や占領地でかれらの財産を没収し、かれらを集団収容所に入れ、種々の人体実験の対象とした挙句、最後はガス室で殺害したのです。

 この忌まわしい事件が二度と繰り返されないように、連合国が戦後に設立した国際連合は、その目的の一つに「人種、性、言語、宗教に基づく差別なく、すべての人の人権と基本的自由を尊重するための国際協力」を加えました。ここにいう人権の中身を示すものとして、世界人権宣言が採択されたのです。その後、国連はこの宣言に法的拘束力を与えるため、二つの国際人権規約をつくり、今日までに世界人口の7割以上を含む160ばかりの国家が人権規約に入っています。また、欧州や米州さらにアフリカ大陸でも、各地域の諸国が参加する地域的な人権保障条約が結ばれており、国のなかには、国内法の頂点に立つ憲法で、世界人権宣言の諸規定を取り入れているものもあります。

 このように世界人権宣言は大戦後の世界における人権保障の中核となってきましたが、わたしは宣言の28条と29条がとくに大切だと考えています。人権の狙いは、われわれ一人ひとりが生まれ持ったいろいろな可能性をできるかぎり生かせる社会をつくることです。そして28、29両条は、そういう社会をつくることは、われわれの権利であるとともに義務である、と述べています。つまり人権の尊重される環境をつくり出すことは、われわれ自身の努力にかかっているのです。

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