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人権口コミ講座(42)

外国人介護士の人権問題
 財団法人世界人権問題研究センター嘱託研究員
 京都大学大学院文学研究科特定准教授 安里 和晃

 日本政府はインドネシアとフィリピンとそれぞれ結んだ経済連携協定を下に、去年インドネシアから約200人、今年はフィリピンから約300人の看護師候補者と介護福祉士候補者を受け入れた。それぞれの国から2年間で1000人ずつ受け入れる予定となっているが、実際には低調なスタートとなった。

 ここではすでに外国人介護士が導入されているシンガポールと台湾を参考にしてみたい。シンガポールでは施設介護に従事するほぼ100%、台湾では約30%が外国人である。意外なことだが、外国人労働者に対する評価は総じて高い。言語の違いは大きな問題だが、離職率の低さ、休日出勤をいとわないこと、勤勉であることが高い評価の主な理由である。

 しかし、高い評価の裏には労働者の借金問題があることを指摘しておかなければならない。介護士の賃金が月7万円弱の台湾の場合、約30万円の斡旋料が、また賃金が約3万円弱のシンガポールの場合は約10万円の斡旋料が必要である。つまり賃金の4カ月分が斡旋料に相当することとなり、借金をして出稼ぎに出る者も多い。

 借金の返済、実家への仕送りの期待に応えることが、出稼ぎ労働者の心理的なプレッシャーとして重くのし掛かるが、このことが彼女らを従順で勤勉な労働者へと過度に転換させる。たまたま悪質な雇用主の下で雇用されても、労働者は雇用主の変更が容易でないため辞めることもできない。特に出稼ぎ初期には生活適応、職務への適応、ホームシックも重なり、サポート体制が必要になる。具体的には雇用契約に基づいた労働時間の遵守や賃金支払いだけではなく、十分な休養・自由時間の確保、食文化の違いや宗教上の配慮も必要になる。就業上においてもスタッフ間のコミュニケーションのとり方、指揮命令のあり方も見直さなければならないであろう。

 日本では福祉分野での外国人労働者の導入が、介護の質の低下を招くのではないかと懸念されている。従って、言語能力や技術の向上は当然重要だが、どのように受け入れれば、働く者の能力を十分に発揮できるかも重要であり、受け入れ側のマネジメント能力が問われている。

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