本文へ

文字の大きさ : 大きくする | 元に戻す

文字の大きさを変更する機能は、スタイルシートが無効なため使用できません。


人権口コミ講座(43)

ソーシャルインクリュージョン
−薬物依存症からの回復支援について−
 薬物依存症からの回復支援「フリーダム」常任理事 正木恵子

 ソーシャルインクリュージョンとは、社会から排除されがちな人を社会の一員として包み支え合い、共生社会を目指す理念です。今回は薬物依存症からの回復支援について、ソーシャルインクリュージョンの視点から述べさせていただきたいと思います。

 薬物依存症は、その多くが覚せい剤やシンナーなどの違法薬物に起因するという理由で、非行・犯罪のレッテルを張られ、当事者・家族はしばしば地域社会において、孤立を強いられてきました。こうした現状を少しでも打開するため、大阪ダルク支援センター(現フリーダム)では、1997年秋、当事者と家族向けの相談窓口「薬物依存電話相談」(※1)を開設しました。社会資源が都市部に偏在する現状の中、幅広い地域から多くの電話が寄せられています。ボランティアスタッフの研修を重ね、より直接的な援助が提供できるよう、家族向けの学習会「ファミリーサポート」なども立ち上げました。その一方で、拘置所や留置場にいる薬物依存の人に回復に必要な情報や希望のメッセージを届ける「インターベンションプログラム」(※2)が地道に重ねられています。

 私は、援助専門職である保護観察官として奉職しつつ、ボランティアとしてこれらの活動に長年従事してきました。そこで学んだことは、援助者自身が回復への希望を捨てず、真摯な気持ちで、援助に向かうことの重要性です。加えて、周囲の温かい理解が当事者・家族の気持ちを支えてくれます。薬物依存症からの回復とは、ただ薬物の使用を止めるだけではなく、薬物を使わずにその人らしい人生を紡いでいくことです。健康な人も生きづらさを抱えた人も、共に生きる社会の実現を目指し、皆様の温かい御理解をお願いいたします。

※1 薬物依存電話相談…毎週土曜日午後3時〜7時 TEL 06-6320-1196
※2 インターベンション…「介入」。個人と社会的環境の相互作用も視野に入れ、課題解決の目標に向けて、直接的にかかわる援助活動

次のページへ


ページの先頭に戻る