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京都職人仕事百科 第34回

装束司(しょうぞくし) 談・黒田 幸也(49歳)

時代祭の装束を調進して

黒田 幸也氏

 いま時代祭の装束を仕立てています。去年の時代祭、覚えてはります? 大雨に遭(あ)ってしまいましたので、今年は修理に追われています。毎年順番に新調する装束もあります。時代考証の先生方のご指導後、時代祭を執り行う平安講社様より製作のご依頼があるのが春頃で、装束店が分担して作ります。うちでは平安王朝以来の有職装束を伝統的に扱いますし、戦国の甲冑(かっちゅう)類、近世の装束など、店ごとに伝統や特色があります。祭り当日に衣紋(えもん)(装束着付け)を行うのも装束司の仕事です。

 鮮やかな緋色(ひいろ)の絹の単(ひとえ)に、黒の麻製の上衣(うわぎ)を重ねる、これは平安朝の随身(ずいしん)(従者)の装束。袖(そで)口や裾(すそ)は今なら針と糸でくけるところを、生地の端に餅糊(もちのり)をつけて指先でこよりのように丸め込む。着続けて擦(す)り切れてくると、さらに捻(ひね)り直して繕(つくろ)う。昔の知恵ですね。今年の時代祭行列では、そんな仕立ての細部にも、目を凝(こ)らしていただければと思います。

美意識の原点にふれる

装束

 装束司は京都ならではの仕事やと思います。他の地域にも装束店はありますが、時代祭、葵祭ほか、全国の著名な祭事装束は京都で作られることが多いのです。というても私らの仕事は装束だけでは成り立ちません。神社に必要な調度品の製作も請(う)けて、各職人をコーディネイトするプロデューサー役でもある。ですから分野ごとの京の職人さんとは密接な関係にあります。

 ただ、うちでは装束の仕立てを代々一族で継承しています。染めや織りが上がれば、うちで仕立ててお納めするのが伝統です。父、母、伯父、弟、嫁いでから修業した妻も一族全員で携わります。和裁と違って、装束の仕立ては針が大きく、縫い目も粗(あら)い。男手でないと無理な力仕事もありますが、十二単の仕立てなど針仕事には女手が欠かせません。

 王朝装束に触れていると、日本人の美意識の原点を見る思いがします。でも私ら装束司はPRが下手というか(笑)、こういう機会に少しでも知っていただけたらうれしい限りです。

黒田 幸也氏

くろだ・ゆきや
昭和35年京都市生まれ。立命館大学経済学部卒。御所堺町御門前にある黒田装束店は江戸初期創業。六選会(伝統服飾工芸協同組合)所属の装束店として時代祭や葵祭では平安王朝装束・調度品の新調・補修から衣紋までを受け持つ。

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