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人権口コミ講座(45)

こうのとりのゆりかご「赤ちゃんポスト」
 財団法人世界人権問題研究センター嘱託研究員
 大阪国際大学現代社会学部専任講師 谷口 真由美

 2007年5月、熊本市の慈恵病院(理事長・蓮田太二氏)が、子どもを育てることが難しい親から、新生児を匿名で受け入れる「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)の運用を始めました。このポストをめぐっては、「命を救う最終手段」「緊急避難」、「子捨てを助長する」「安易な育児放棄につながる」と、現在も議論が続いております。2009年3月末までに預けられた子どもは42人、そのうち31人の身元が判明しており、1人が引き取りに来たと発表されています。

 同病院で、このようなポストが設置された目的は、「新生児の産み捨てや不幸な中絶を減らしたい」、「妊娠出産に悩む親の相談にのり、育児支援制度の活用や里親に頼んだり、養子縁組をしたりといった方向に結びつけること」にあります。そこで、このポストの設置に先立ち同病院は、24時間対応の電話相談「SOS赤ちゃんとお母さんの相談窓口」を、また同時に、熊本県・熊本市も同様の悩み相談電話を開設しました。2006年12月から2008年12月までの約2年間で、これらの3機関には計2,756件の相談が寄せられました。妊娠・出産で困った女性を、即時に無条件で受け入れる公的機関や病院は非常に少ないのです。相談に行っても、お説教されることから始まることも多く、これでは安心して身を任せられません。妊婦健診に対する助成は拡充されていますが、まだまだ金銭の問題もあり、産むこともままならない、産んでも育てられない、といった悩みを抱える女性が増えています。

 2007年度の日本における出生数は約109万人で、人工妊娠中絶件数は約25万6,000件でした。全妊娠数の約2割の女性が中絶を選択していますが、このうち、何人の女性が相談場所も無いままに中絶をしたのでしょうか。

 赤ちゃんポストをきっかけに、見過ごされがちな妊娠・出産期にある女性の相談・受け入れ場所について社会の理解が深まっていくことが大切なのではないでしょうか。

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