京都職人仕事百科 第35回
通訳案内士 談・菅井 悦子(58歳)
気持ちは民間外交官

通訳案内士って、聞き慣れない言葉でしょう? 通称は通訳ガイド、「外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする」資格を持つ者のことです。
毎年、国家試験が行われ、京都府に登録する通訳案内士は現在528名。その7割弱が英語で、言語は10カ国語に分かれています。
私が英語の資格を取ったのは20年前。最初は自分でも、通訳と通訳ガイドの違いがよく分かっていなかったです。でもそのうちに、私は通訳より通訳ガイドに向いてる、と思った。通訳は言葉を訳す黒子(くろこ)役。でも通訳ガイドは笑顔と体力と忍耐力、時にはエンターテイメントも必要なお客様商売です。
若い人によく言うんですが、通訳ガイドはバスガイドと旅行添乗員を足したような仕事ですよって。観光地では外国語でガイドをし、同時に添乗業務も。トラブルへの対応や予約の確認、支払いもするし、食事の際にはお客様のアレルギーにまで気を配る。こうして外国人旅行者に日本をより良く理解してもらえるよう務めるのが私たちの仕事です。
笑顔も体力があればこそ

通訳案内士は、昭和24年からある資格です。語学のほかに、日本各地を案内するために必要な全国の地理、歴史、それと産業、経済、政治や文化に関する一般常識の試験もあります。この資格なしで外国人を案内して報酬を得ることは法律で禁じられているんです。
外国のお客様を案内する観光地のトップは、やはり京都です。でも通訳案内士の数を全国的に見ると、東京など関東圏が圧倒的に多くて、関西でも京都府は大阪府の半数以下なんです。
秋の観光シーズン、どこかで外国人をガイドする光景に出会われたら、それが私たちの仲間である通訳案内士です。旅の終わりに「あなたのおかげで楽しかった」のひと言をいただけると、疲れはいっぺんに吹き飛びますね。
- なぜ通訳案内士に?
子育て後の仕事として通訳の勉強中、この資格を知って受験。もともと小学6年生で健康優良児日本一に選ばれ米国旅行。その体験から英語好きになりました。 - 仕事のスケジュールは?
観光シーズンの春と秋に依頼が集中しがち。日本各地に随行すれば京都を長く離れることも多い。 - 京都在住のメリットは?
京都観光の依頼があればすぐに動ける。また京都の土地勘や文化習慣が身に付いていることが強みです。

- すがい・えつこ
- 昭和26年京都市生まれ。同志社女子大学英米文学科修了。主婦業の傍ら昭和61年英語検定1級合格、63年通訳案内業(現・通訳案内士)資格を取得し、通訳および通訳ガイドとして就業21年目。全日本通訳案内士連盟理事。
