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特集1 文化芸術で地域創生

拡大する京都のアート市場

 多くの芸術系大学を擁し、毎年約4,000人の芸術家の卵を輩出している京都。しかし、彼らが創作活動で生計を立てていくには、困難が多いのが実情です。
 文化庁の京都移転が決定し、文化芸術の力を生かした地域創生の機運が高まる今、京都府は、若手芸術家らが活躍できる仕組み作りを始めます。今回は、2月に開催する「アーティスツ・フェア・キョウト」の仕掛け人である2人の芸術家に、今、京都のアートシーンに求められているものは何かを語っていただきました。

SPECIAL TALK
仕掛け人たちが語る、若手作家たちの新たな挑戦の場とは

椿 昇(TSUBAKI NOBORU)× 名和晃平(NAWA KOHEI)

椿 昇(TSUBAKI NOBORU)× 名和晃平(NAWA KOHEI)

つばき・のぼる

つばき・のぼる

1953年京都府生まれ。京都市立芸術大学美術専攻科修了。現代美術家として、現代社会への警告を内包した作品を生み出し続ける。瀬戸内国際芸術祭小豆島エリア、「青森トリエンナーレ2018」ディレクター。アートを持続可能社会実現のイノベーションツールと位置付けている。京都造形芸術大学美術工芸学科の卒展をアートフェア化するなど内需マーケット育成のための取り組みも。

MAMMALIAN 2017 “Space Art Tanegashima”

MAMMALIAN 2017 “Space Art Tanegashima”, Kagoshima

なわ・こうへい

なわ・こうへい

1975年大阪府生まれ。京都市立芸術大学大学院博士(後期)課程修了。独自の「PixCell」という概念を軸に、さまざまな素材とテクノロジーを駆使し、彫刻の新たな可能性を拡げている。彫刻家として国内外で精力的に活動し、作品はNYのメトロポリタン美術館など国内外に所蔵される。京都造形芸術大学教授、SANDWICH Inc.ディレクター。

Scum-Apoptosis 2011 ’Kohei Nawa-SYNTHESIS,’ Museum of Contemporary Art Tokyo courtesy of Gallery Nomart, SCAI THE BATHHOUSE photo by Seiji TOYONAGA|SANDWICH

Scum-Apoptosis 2011 "Kohei Nawa-SYNTHESIS," Museum of Contemporary Art Tokyo courtesy of Gallery Nomart, SCAI THE BATHHOUSE photo by Seiji TOYONAGA|SANDWICH

個々の作家のキャリアを飛び越え、作品の魅力を社会へそして世界の市場(マーケット)へつなぐ

椿 京都には美大や芸大がたくさんあって、昔は卒業後そのまま団体に所属し、人任せで作品を売ってもらって、割と受け身で生きていけたんです。

名和 そういう既存のシステムが崩壊した現在も、芸術系大学は残っていて、学生たちは混沌(こんとん)としたエネルギーを創作にぶつけるんですけど、卒業してからも創作活動を続けていける人は少ないですね。

椿 作家も霞(かすみ)を食べて生きられるわけではないし、アートで生計を立てていくには既存の仕組みに頼らない新たなシステムを作らなくちゃいけない。そのために今回やろうとしているのが、作家が自ら来場者に作品をプレゼンテーションして販売する、いわば「産直販売」のようなアートフェアです。

名和 アートは生ものですからね。そのエネルギーがありのまま伝わる「産直販売」を、UBS銀行ウェルス・マネジメント※の協賛のもと、日本のアートフェアで初めて開催する。まさに「極」と「極」が共存する2日間になりそうです。

椿 そう。若手作家にとっては、地元の草野球の試合にメジャーリーグのスカウトが来るようなもの。つまり、若手作家たちはキャリアを飛び越えて、いきなり世界のマーケットで勝負するチャンスを得ることになるわけです。決して、売れない若手の作品を買ってあげよう、なんて生易しいものではなくて。

※UBS銀行ウェルス・マネジメント=スイスに本社を置く世界最大級のグローバル金融機関。富裕層向け資産運用ビジネスを展開する。

日本の現代作家による名品をきちんと評価できる仕組みを京都から発信するために

名和 今、僕が危惧(きぐ)しているのは、国内に日本の現代美術のマスターピースをコレクションしているところが非常に少ないことなんです。

椿 ほとんど海外に流出してしまっていますからね。名和さんの作品もその典型で。

名和 世界で勝負できる作品を、国内できちんと評価できないと、海外に買われっぱなしで母国に残らない。これって、文化の流出なんですよね。

椿 状況を変えるためにも、今回のフェアで若手作家たちが、マネーという評価軸に向き合う機会を提供する。アートを「買う」という視点で見てみるというのは、来場者の皆さんにとってもきっと新しい体験になるはずです。

名和 それを文化的発信力が強い京都から始める。仕掛けていく僕らとしても非常に楽しみですね。

アートの世界が、ぐっと身近になる
ARTISTS’FAIR KYOTO(アーティスツ・フェア・キョウト)

才能ある若手アーティストたちが世に出て評価される仕組みを作るため、より多くの人とアーティストが交流し、作品の魅力をダイレクトに伝えるアートイベントを開催します。

アーティストたちが自ら出展者として参加 展覧会としても斬新かつユニークな 新しい形のアートフェア

国内外で活躍中の有力アーティストらが推薦した、20代から30代前半の若手アーティスト36人の作品約100点を出品。通常のアートフェアとは異なり、アーティスト自身が出品者となって来場者を迎えます。重要文化財の明治建築の中に組み上げた構造体に作品を展示し、プロジェクションマッピングによる演出を行うなど、展覧会としても前代未聞の内容。アートとマーケットの融合を感じていただける2日間です。

INFORMATION
期間 2月24日(土曜日)~25日(日曜日)10時~18時
場所 京都文化博物館 別館(中京区)
料金 1,000円(学生無料・要学生証)

京都文化博物館 別館(中京区)

ディレクター

椿 昇

アドバイザリーボード(推薦者)

池田光弘*/薄久保香*/大庭大介*/勝又公仁彦*/金氏徹平/鬼頭健吾*/澤田知子*/塩田千春*/高橋耕平*/名和晃平*/ミヤケマイ/ヤノベケンジ

*印のアーティストから応援出品があります。

※高橋耕平さんの高ははしごだかの高

出展アーティスト

今西真也/蒲原早奈美/金サジ/香月美菜/木村舜/小松千倫/品川美香/品川亮/柴田精一/迫鉄平/竹内義博/田中真吾/田村琢郎/長尾恵那/中村萌/NAZE/西村有未/能條雅由/東田幸/古田充/堀井ヒロツグ/堀川すなお/盆子原彩/前谷開/松谷しおり/松村咲希/水谷昌人/満田晴穂/皆藤齋/村上美樹/森山佐紀/矢野洋輔/吉岡寛晃/和田直祐

招待アーティスト

YOTTA/村上慧

会場デザイン

dot architects

田中真吾『re:trans #18』* 今西真也『Inazuma #8』*

1/田中真吾『re:trans #18』*
2/今西真也『Inazuma #8』*

木村舜『ヒトの様な存在』* NAZE『modoranaimono』

3/木村舜『ヒトの様な存在』*
4/NAZE『modoranaimono』

柴田精一『カラスの出現』* 品川亮『花卉に流水図』*

5/柴田精一『カラスの出現』*
6/品川亮『花卉に流水図』*

表紙/香月美菜『From one stroke』

表紙/香月美菜『From one stroke』

*印は同作家の過去作品で、出展作品とは異なります。

本事業は、平成29年度文化庁文化芸術創造活用プラットフォーム形成事業の支援を受けています。

ARTISTS’ FAIR KYOTO:BLOWBALL
(アーティスツ・フェア・キョウト:ブロウボール)

ARTISTS’ FAIR KYOTO:BLOWBALL

若手アーティストが世に出る機会を広げる2つの試み

有望な若手アーティストの発表の場面を広げ、企業経営者らとの新たなネットワークづくりによる市場づくりを目指す取り組みを、フェアと連動して開催。「ブロウボール(=タンポポの綿毛)」のように、才能ある若手たちのチャンスが広がっていく機会を支援します。

主催:文化庁、京都府、ARTISTS’FAIR KYOTO実行委員会

京都アートラウンジ

地元企業経営者らに、若手アーティストらが自身で作品をプレゼンテーションし、交流する場を創出。参加する20名の若手アーティストの作品は2月23日から3月23日まで会場に展示され、自由に観覧することができます。

INFORMATION
期間 2月23日(金曜日)~3月23日(金曜日)12時~19時
場所 ホテル・アンテルーム京都(南区)
2月23日(金曜日)19時~21時に同会場で展覧会オープニングを開催します。

京都アートラウンジ

ART MEETS WINTER

飲食店やオフィスなど身近な場所を会場として、21人の若手アーティストらの作品を約1カ月間にわたって展示。いつもと違ったアートとの出会いを冬の京都で。

INFORMATION
期間 ~2月28日(水曜日)
展示期間および時間は会場により異なります
場所
(1)Impact Hub Kyoto(上京区)
(2)おづmaison du sake(上京区)
(3)喫茶ゆにおん(左京区)
(4)京都新聞社ビル※(中京区)
(5)島津製作所本社※(中京区)
(6)タイム堂(上京区)
(7)月ヶ瀬堺町店(中京区)
(8)マエダコーヒーNoku cafe店(中京区)
(9)マエダコーヒー御池店(中京区)
(10)前田珈琲室町本店(中京区)
(11)ワコールスタディホール京都(南区)
※は一般非公開

東田幸『Trace #3』
東田幸『Trace #3』/会場(11)ワコールスタディホール京都(南区)

会場一覧地図

(1)では2月8日(木曜日)12時~13時45分にイベント「クリエイティブランチパーティSexy Salad」でアーティストがワークショップを行います。

各イベントについて詳しくは下記ホームぺージへ
[お問い合わせ]
ARTISTS’ FAIR KYOTO実行委員会(文化芸術振興課)
TEL:075-414-4221 FAX:075-414-4223
ホームぺージ:https://artists-fair.kyoto

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お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp

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