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人権口コミ講座 118

子どものいじめ問題への取り組み

公益財団法人 世界人権問題研究センター研究第五部部長 京都大学名誉教授 上杉 孝實

 子どものいじめが社会問題として大きく取り上げられるようになって以来、数十年が経過していますが、いじめによる自殺などが続いています。2013(平成25)年9月には「いじめ防止対策推進法」が制定され、それを受けて10月には「いじめの防止等のための基本的な方針」が文部科学大臣によって決定されました。2017(平成29)年3月には、性的少数者である児童生徒の保護や、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(平成29年文部科学省)の適用などを加えた方針の決定が行われました。2016(平成28)年6月に発表された国立教育政策研究所のいじめ追跡調査結果によれば、小学校4年生から中学校3年生までの6年間に被害経験を全く持たなかった児童生徒は1割程度、加害経験を全く持たなかった児童生徒も1割程度といったデータも提示されています。
 この方針では、法に基づいて国が「いじめ防止対策協議会」を設置すること、地方公共団体が「いじめ問題対策連絡協議会」などを設けることができること、学校に「いじめの防止等の対策のための組織」を置くと共に「学校いじめ防止基本方針」を策定することなどを示しています。また、いじめを把握するための調査の実施、情報の共有、児童生徒のストレスへの対応、自己有用感や充実感の持てる学校生活づくり、いじめを受けた者の立場に立つことなどについても書かれています。
 このような取り組みも大切ですが、自由な活動時間や場所の乏しさ、進路などについての圧迫感、地域における人間関係の希薄さと子ども集団の減少など、子どもを取り巻く状況の改善も課題です。かつてに比べ、子どもの生活が学校と家庭に限られがちであり、傷つきやすく、学校での人間関係の影響が大きくなっています。人権教育や仲間づくりの推進、教師が子どもと触れ合う時間の確保などの条件整備と共に、子どもが伸び伸び活動できる地域づくりや子どもに寄り添う場の拡大などが重要です。「子どもの権利条約」にあるように、子どもの意見の尊重と共に、休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加などを保障していくことが必要です。

◎ 平成30年3月発行の「人権口コミ講座19」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。

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