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特集1 ノーベル化学賞受賞記念対談 次代のイノベーションを京都から。

次代のイノベーションを京都から。

NEWS 吉野彰氏に京都府特別栄誉賞を授与
吉野彰氏に京都府特別栄誉賞を授与

府は1月15日、京都府公館(上京区)にて、府の名誉を高め府民に夢と希望、力と勇気、感動を与えたとして、旭化成(株)名誉フェロー 吉野彰氏に京都府特別栄誉賞を授与しました。

旭化成株式会社 名誉フェロー 吉野 彰氏

「世界をアッと言わせる産業が生まれるなら京都」
旭化成株式会社 名誉フェロー
吉野 彰(よしの・あきら)氏

1948年、大阪市生まれ(72歳)。京都大学大学院工学研究科修了後、旭化成(株)入社。1981年から新型二次電池の研究に着手し、1985年にリチウムイオン二次電池を発明。2005年大阪大学大学院で博士号(工学)取得。紫綬褒章など国内外の数々の受章・受賞歴があり、2019年にはノーベル化学賞の栄誉に輝く。趣味はテニス。

京都府知事 西脇 隆俊

「失敗を恐れずチャレンジできる土壌をつくりたい」
京都府知事
西脇 隆俊

着想を導いたのは京都で培った反骨精神

西脇 このたびはノーベル化学賞の受賞、誠におめでとうございます。2年連続で京都ゆかりの方が受賞され、私どもも大変うれしく、誇らしく思っています。

吉野 ありがとうございます。私の母校の京都大学には「人と同じことはやらない」という反骨の伝統があります。京大での私の専攻は石油化学で、入った会社も電池が専門の企業ではありませんでした。専門外の分野だったからこそ、人が考えつかない発想ができたのだろうと思いますし、そういう意味で、私は京都の血を引いているな、と感じています。

西脇 ご研究の背景に、京大での学びと先人の研究の蓄積があったと伺いました。

吉野 ええ。私は、京大では福井謙一先生(※1)の孫弟子に当たるんです。福井先生が理論の中で予測されていた物質の存在を、具体的に実証されたのが、白川英樹先生(※2)。その物質を使って私が研究を始め、リチウムイオン電池の開発につながったんです。

※1 福井謙一:1981年「フロンティア軌道理論」でノーベル化学賞を受賞

※2 白川英樹:2000年「導電性高分子の発見と発展」でノーベル化学賞を受賞

吉野彰氏と家族の皆さん
ノーベル化学賞のメダルを手にする吉野彰氏と家族の皆さん(共同通信社提供)

5歳の頃の吉野彰氏 京都大学考古学研究会
(上)5歳の頃の吉野彰氏
(下)京都大学考古学研究会の仲間と発掘現場にて(18歳の頃/前列左から3人目)

35歳前後に全力でスタートできる自分に

西脇 先生がリチウムイオン電池の研究を始められたのは、いつ頃だったんですか?

吉野 私の場合、33歳からでしたが、ノーベル賞受賞につながる研究を開始した年齢の平均は、36.8歳だそうです。

西脇 ある程度、社会の仕組みが分かって、そこそこ権限をもらえて、なおかつまだ若いので少々のリスクがあってもチャレンジできる、そういう年代ですね。

吉野 私は子どもたちと話す時、「35歳の自分に向けて学ぼう」と言うんです。漠然とした「将来」を目指すんじゃなくて。

西脇 なるほど、将来を「いつか」ではなく具体的に示せば、目標になりますよね。

吉野 目標といっても「35歳で成果を出そう」ではなく「35歳でスタートするために」ね。35歳になった時の自分のために勉強や投資をして社会経験を重ねて、いざ35歳になったら、それを一気に爆発させる!(笑)

西脇 35歳というと、子育て中の方も多い年頃でもありますが、京都府では「子育て環境日本一」を目指して、誰もがキャリアを中断することなく結婚・妊娠・出産・子育てを経験し、社会で存分に活躍できるよう、環境の整備を進めています。

吉野 うちの娘がまさに働きながら子育てしている最中で、先日も「保育園までは仕事と両立できそう。でも小学校に上がったら厳しいかも」と言っていました。

西脇 京都の企業には、小学生の子がいる社員が子どもの帰宅を家で迎えられるよう、短時間勤務制度を取り入れているところもあります。こうした柔軟な職場環境づくりを府でもバックアップしています。

研究所での様子等

(1)研究所での様子
(2)1983年に試作されたリチウムイオン電池第1号
(3)1990年代のリチウムイオン電池
(4)実用化されたスマートフォン用ラミネート型電池(旭化成提供)
※(2)(4)はレプリカ

環境問題の解決が鍵。今の若者はチャンス!

西脇 今回の受賞理由の一つに、リチウムイオン電池が地球環境問題を解決する可能性を開いたことがありますよね。

吉野 そう。蓄電の機能は重要な機能だと思います。それにAIやIoTといった先端技術や、シェアリングなどの新しい概念などが融合して、そろそろ環境問題に本当の答えが技術的に出てくるでしょう。

西脇 京都でもスマートシティを目指し、けいはんな学研都市でMaaSをはじめとした多様な研究開発が進んでいます。

吉野 転換があるとすれば2025年。

西脇 ちょうど大阪・関西万博の年ですね。大きく動く可能性があると。

吉野 ええ。地球環境は大きな問題になっていますが、誰も答えを出せていない。新たな技術を開発できれば、世界のスーパースター、ヒーローです。私の研究に関連していうと、IT革命スタート時の1995年と今の世界全体の雰囲気が似ています。ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズもベンチャーから始まり大きくなった。それと似たことが起こっていきますから、今の若者は絶好のチャンスですよ。

イノベーションを生む条件が京都に

西脇 そのチャンスをつかもうとする機運が必要ですね。京都はかつてベンチャーの都でしたが、近年では開業率が低くなっています。府ではスタートアップ支援にも力を入れて起業を応援したいと思います。

吉野 IT革命でシリコンバレー(※3)がイノベーションを起こした条件が5つあって、それがそろっているのが、実は京都なんですよ。第1の条件は「知恵袋」。京大をはじめ、知恵を集めてアイデアを練る人たち。第2に「お金」。ピンときたアイデアを支援できる仕組み。第3は、未来を語らんといかんので「お酒」が要る(笑)。つまり、お酒を飲みながら、立場や業種を超えて未来を語り合える場ですね。

※3 シリコンバレー:アメリカ、カリフォルニア州にある、IT企業や研究所が密集する地域。半導体の代表的な素材であるシリコンにちなんで名付けられた

西脇 それなら、京都経済センターの「オープンイノベーションカフェ」で進めている取り組みが当てはまりそうです。

吉野 4つ目は、浮かんだアイデアをイラストや映像にできること。ハリウッド映画みたいにね。するとパッと議論が広がって、ビジョンを多くの人と共有できます。

西脇 なるほど。映像でいうと、東映京都撮影所内にVR・AR拠点を設けて人材育成などに活用する計画も進んでいます。

吉野 5つ目は、国の中心である東京から離れていること。シリコンバレーもNYやワシントンD.C.から離れているから、自由にやれたところがある。

西脇 確かに京都が当てはまります!この潜在力を生かし、誰もが失敗を恐れず挑戦できる土壌をつくっていきます。

吉野 ぜひ京都から、世界をアッと言わせるような研究や企業、産業が生まれてほしい。大いに期待しています!

ノーベルメダルのレプリカを見る2人

ノーベルメダルのレプリカを見る2人。3個に限り製作が許されているとか。
©The Nobel Foundation

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