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特集2 特別対談 生涯現役 誰もが生きがいを持って活躍できる京都府へ

人生100年時代の到来により、多くの人が長い人生を歩むようになってきました。多様化した選択肢の中で、どのような生き方をすれば実り多い時間を過ごすことができるのか。生涯学び・働き続けるための支援拠点、「京都府生涯現役クリエイティブセンター」の小畑英明センター長と西脇知事が対談しました。

京都府生涯現役クリエイティブセンター センター長
京都経営者協会 会長
小畑 英明

1951年生まれ。2011年日新電機株式会社代表取締役社長、17年代表取締役会長を経て、21年特別顧問。18年5月より京都経営者協会会長を務める。21年8月1日「京都府生涯現役クリエイティブセンター」のセンター長に就任。

京都府知事
西脇 隆俊

1955年生まれ。2018年、第51代の京都府知事に就任。「現場主義の徹底」「前例にとらわれない」「連携にこだわる」をモットーに府政運営を進める。子育て環境日本一を掲げ、自ら現場に足を運ぶ。座右の銘は「雲外蒼天」。

※新型コロナウイルス感染症対策を万全にした状態で取材・撮影を行いました

これからの時代の働き方とは

「人生100年時代」を迎え、働き方はどのように変わるでしょうか。

小畑 長く生きたいというのは、人間の根源的な願望なのでしょう。例えば、秦(しん)の始皇帝は「不老不死」を求めてありとあらゆる手段を尽くしました。現代は秦の時代から見たら不老不死とは言わないまでも、不老長寿に近い社会が実現しているわけですよね。それで、実際にその社会を生きてみると…。どうやら始皇帝が考えていたような理想郷ではない気がします。リタイアした後の期間が長くて、それで本当に生きがいがあるのか、経済的に成り立つのか…。不安が付きまとうわけです。こうした不安をできる限り緩和して、理想郷の社会に近づけていくにはどうしたら良いのか。これを考えるキーワードの一つに「生涯現役」があるのだと思います。

西脇 京都府では一昨年の秋に、20年後の目指す姿を掲げた京都府総合計画「京都夢実現プラン」を策定しましたが、そこでも人生100年時代を見据えています。「高齢になっても能力を発揮でき、住み慣れた地域で安心して暮らせる社会」を実現する姿としていますが、これにはいろんな意味を込めています。「能力を発揮でき」という部分は、自分の持っている力が世の中の役に立つということ。それから、住み慣れた地域で安心して暮らせるというのも重要ですね。若い頃は日本中あるいは海外を飛び回っていた人が、住み慣れた地域の魅力を再確認して、地域で活躍されるというパターンは、決して珍しくない話です。POSTコロナ社会ではテレワークやサテライトオフィスなど地方回帰が進み、働き方の変革が起こると思います。

小畑 働くということを時間軸で捉えたとき、ライフステージごとに必要な学習や経験を累積していくと、高齢になったときの仕事も面白くなるという気がします。ただ、今の時代は、仕事の時間軸だけで考えるのも良くないんですよね。生活の時間軸、趣味の時間軸、これも大事です。例えば、若い頃は仕事の軸が太くても良いと思いますが、中年になると、仕事と生活の軸のバランスが取れていないとうまくいかない。高齢になると、今度は趣味の軸を太くしていくというような感じで、これからは3つの軸のバランスを世代や年代ごとに整えていく必要があるのではないでしょうか。

西脇 最初は入社した企業が生活の中心かもしれません。その後、仕事を積み重ねていくなかで、家庭や地域、あるいは起業、違う分野での仕事も考えられますよね。本当に人生が長くなってきたので、さまざまなパターンが考えられるようになりました。能力のある人、いつまでも意欲を持っておられる人は、仕事や地域活動にどんどん参画していってほしいですし、その動きは人口減少社会にあっては、社会の活力を維持するために必須だと考えています。府民の誰もが活躍できる社会を目指していくことが人生100年時代では特に重要だと思いますね。

2021年4月からは、70歳までの就業機会確保を努力義務とする改正高年齢者雇用安定法も施行されました。

小畑 少子高齢化の中で、企業はずっと人材不足に悩んできたわけです。だからこうした法律ができる以前から、「余人を以て代えがたい」人材となれば、それこそ70歳を超えていても雇用を続けるケースはたくさんありました。ただ、こういう法律ができれば当然、それぞれの会社がそれぞれの事情に合わせて前向きに検討していくことになるでしょう。

西脇 70歳まで働くとすると50年ほど職業人生があるわけですよね。そうなると同じスキル、同じ会社、同じ仕事でずっと続けていかれるという人は、おそらく少数だろうと。中にはすごいエキスパートの方もおられますが、多くの人は40代50代くらいで一度キャリアを見直す必要が出てくるのではないでしょうか。

小畑 会社は法に伴う制度整備をこれから進めていくと思いますが、それだけで問題が解決するかといえばそんなことはありませんね。知事がおっしゃったように、ずっとその会社で70歳まで勤める人もいれば、別の会社に行きたいという話も当然出てくる。福祉や、あるいはもっと社会性のある仕事に就きたいという人も。そういう人たちを受け止められるような仕事の機会を準備して、そこにマッチングしていく。あるいはマッチングできるように教育したり、資格を取ってもらったりすることも必要になってくるでしょう。こうした仕組みづくりは、企業では難しい面もあるので行政に担っていただくことを期待します。

生涯学び、働き続けるために

8月1日、働く方の学び直しを支援する「京都府生涯現役クリエイティブセンター(以下センター)」がオープンしました。

西脇 社会人になって最初の知識だけで「定年まで」というのは、なかなか通用しにくくなっています。一方で、中小企業や農業の現場は人手不足に悩んでおられ、地域では少子高齢化が進み、お年寄りや子どもの見守り、防災活動などニーズが高まっているが、肝心の人がいない状況です。そうした人材ニーズに応えられるように、社会で活動しながら学び直す機会を作れないか。学び直そうとする人を支援できないか。そうした考えからセンターの構想が出てきました。

小畑 「生涯現役」でいえば、私は専門性が大事だと思います。ですが、大概のサラリーマンの専門性というのは、ある会社のある部門のある仕事の専門性なんですよ。だから、高齢になってその専門性で生きていくためには、ちょっと言語矛盾的ですが「専門性の汎用化」を進めておく必要があります。例えば「このお客さんとの営業」ではなくて、「このタイプのお客さんとの営業」なら通用するとかですね。他にも、デジタル社会以前の専門性が今はあまり役に立たないとなると、「デジタル技術の進化に対応する」といったようなことも考えられます。そうなるとかなり高度な学び直し、大学院に行くようなレベルのリカレント教育も必要になりますね。

西脇 京都は大学のまちということもありますが、大学側にも社会貢献をしたいというニーズがあります。ぜひ大学とも連携していきたいと思っています。場合によっては、大学院の教育に結び付けていくなどの可能性も考えられます。

小畑 それから、自らの専門性を磨いて他の会社や分野に挑戦したい方もいらっしゃると思うのですが、こうした場合、働く側だけでなく、人材を受け入れる側も、専門性を磨いた人材をしっかりと評価し、受け入れるための新たなガバナンスや経営戦略が不可欠となります。働く側、受け入れる側双方の相談に乗って、教育して、マッチングをして、この3つの機能をワンストップでやらなくてはと思っています。ですから、現状に問題意識を持っていて、どうしたら良いか悩んでいる人がおられたら、大いにセンターへ相談に来ていただきたいです。

西脇 小畑さんがおっしゃったことが一番重要ですよね。まずはセンターに来ていただくと、いろんな話ができると思います。このセンターが入る京都経済センターには、あらゆる経済団体が入っていて「それならこの人の話を聞いたらどうか」といった紹介もできます。明確な目標がなくても、まずは相談をしていただければ。始めはミドル・シニアの在職者の方向けの支援からスタートしますが、いずれは幅広い層への支援まで広げてまいります。「人生100年時代」への対応は、社会全体から見れば人材活用ですが、お一人おひとりの立場にとってもやはり社会と関わることは重要ですし、それが生きがいや健康につながるのは間違いないと思っています。府民の誰もが生きがいを持って活躍できる京都府へ。センターが大きな役割を果たせるように、私も全力を尽くしてまいります。

生涯現役で活躍することは一人ひとりの暮らしの満足度を高め、ひいては社会全体の豊かさにもつながる

リカレント教育を推進し、
社会の中にある活力の源を活かしていきたい


令和2年度 リカレント教育モデル事業の実施風景

京都府生涯現役クリエイティブセンター

8月1日(日曜日)オープン(利用は2日から)
利用日時:(月曜日)から(金曜日) 9時から17時
※(火曜日、木曜日)は、相談予約がある場合は19時まで

休業日 土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日から1月3日)
TEL:075-741-8600 FAX:075-741-8603
場所 京都市下京区四条室町東入ル函谷鉾町78番 京都経済センター3階

京都府生涯現役クリエイティブセンターの主な機能

府内在職者(ミドル・シニア層)
1 相談・キャリア支援
  • 自己理解の支援、キャリアの棚卸し、適職アドバイス
  • 研修プログラムのコーディネート など

終了後のステップ(サポート連携)

2 情報収集・発信
3 リカレント教育

〈意識改革研修〉
大学、民間研修機関などによるミドル・シニアのマインドセット、キャリアの「リ・デザイン」など

〈分野別研修〉
京都産業を牽引する人材の育成

  • キャリアのブラッシュアップ
  • ニューフロンティア挑戦
  • シニアベンチャー育成

地域課題解決の担い手育成

  • 地域・社会貢献人材育成
  • 農業人材育成
  • 福祉人材育成

終了後のステップ(人材マッチング交流支援)

終了後のステップ

〈キャリアアップ・キャリアチェンジ〉

  • 勤務先でのキャリアアップ
  • より能力を発揮できる仕事へのチェンジ
  • 起業、兼業、副業など

〈地域・社会貢献〉

  • 社会課題の解決
  • やりがいの発見(NPO、ボランティアでの活動)など

[お問い合わせ]
労働政策課
TEL:075-414-5550 FAX:075-414-5092

府政トピックス

京都府開庁記念日記念式典を開催

 開庁記念日に当たる6月19日、京都府立府民ホールにおいて記念式典を開催しました。
 式典では、京都府の産業・観光振興や経済の活性化に先導的な役割を果たされた柏原康夫(かしはらやすお)氏に「特別功労表彰」を、伝統工芸の振興などを通じて、京都府の発展と府民福祉の向上に大きく寄与された渡邉隆夫(わたなべたかお)氏に「特別感謝状」を、それぞれ西脇知事から贈呈しました。
 その他、府の発展や地域振興など各分野で活躍する115の個人・団体、さらに昨年度に創設した「京都夢実現プラン」推進特別賞4団体を表彰しました。表彰式に先立ち、西脇知事はコロナ禍に直面している現況に触れ「この苦難を乗り越え、誇りの持てる新しい時代の京都を築いていかなければならない」などとあいさつ。先人たちの努力に思いを致しつつ、府政の発展を誓いました。
 また、式典の最後には、府と世界各地域との「かけ橋」となられることを願って、府内で勉学に励む外国人留学生15人を「京都府名誉友好大使」に任命しました。


「特別功労表彰」の表彰状を受け取る柏原康夫氏


渡邉隆夫氏には「特別感謝状」を贈呈

[お問い合わせ]
総務調整課
TEL:075-414-4032 FAX:075-414-4048

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