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令和2年4月2日知事記者会見

京都府内の感染者発生状況について

松井京都府医師会会長(以下、「会長」という。)

京都府医師会の松井です。よろしくお願いいたします。まず、京都府内のこれまでの感染者発生状況についてまとめさせていただきます。

4月1日現在、感染者76人、うち18人が既に退院されています。人工呼吸による管理などをしている重症者が3人です。全体の約3割が50代以上の中高年層であり、重傷者の3人はいずれも60才以上で基礎疾患を有しておられます。

京都の第一例目の発症者は、武漢帰りの中国の方で1月30日(木曜日)に発生しました。その後発生はなかったのですが、2月に入り、大阪のライブ参加者に端を発した病院内感染事象が発生しました。その後、ナイル川クルーズをはじめとする海外からの帰国者の発症が見られる一方、感染源が特定できない事例も徐々に増えてきています。

3月28日(土曜日)以降は、海外渡航歴のある大学生に端を発した他府県にまたがるクラスター事案が発生しています。本事案では、海外で感染した学生が参加した複数の懇親会で接触者が次々と感染しており、40名にのぼる感染者数となっています。症状が比較的軽いといわれている若者が活動的に動くことで感染を広げ、クラスターの連鎖が起こっている、あるいはますますクラスターの爆発が起こる状況にあると認識しています。

府内の大学におけるクラスター発生状況ですが、卒業旅行に行かれた4人の学生のうち3名が陽性で、その3名それぞれが前後して卒業祝賀会やサークルの懇親会、交流会等に参加されてその関連で陽性が確定された方が42名になっています。

 

この病気の特徴として8割の方が軽症であり、現状は既に感染をしながら市中にたくさんいるという、感染の蔓延期だと考えています。今からやらないといけないことは、クラスターが発生した時にコントロールするということで、濃厚接触者をはじめとした接触者が陽性か否かを判断して、適切な医療を行うことで感染の拡大を抑えることが最も重要と考えています。

加えて、数%~20%の重傷者の医療を確保することが大切です。現在は陽性が確定すると感染症指定医療機関に入院していただくことになりますが、この病床も限られていますので、これから感染者が増えていくと、これから入院できる医療機関を広げていく必要があります。具体的には一般医療機関に広げていくことを進めなければいけません。一般の医療機関には既にコロナ感染症以外の方が入院されているわけで、そうした方は基礎疾患で入院しているので、感染患者を受け入れる医療機関としては、一般の患者と完全に動線が区別できることを条件に、感染防御策が徹底的に取れる医療機関に限られると考えております。どういうところに条件を満たす医療機関があるかをこれから調べ、協力を依頼する必要があると考えています。いずれにしても、感染者がどこにいるかわからない、クラスターができあがって広がることで爆発的な感染拡大につながる危険をはらんでいる状況です。

 

感染症は、感染した人が感染していない人と接触することで新たな感染が成立するので、接触については十分注意していただき、「密閉、密集、密接」について、府民の皆様には十分ご注意いただくことで感染拡大を防ぐことができる、そのような自覚を持っていただくことが何よりも大切だと考えています。私からは以上です。

 

京都府内の感染者発生状況について(PDF:358KB)

 

京都府民・京都市民の皆様へ緊急のお願い

知事

資料2でお配りしていますが、私と門川市長の連名でお願いをいたします。

松井会長の発言のとおり、きわめて危機的な状況に近づいているという認識をしております。身近なところに感染リスクが潜んでいることを皆さんに充分認識いただきたく、4つのカテゴリに分けてお願いします。

 

【府民・市民の皆様へ】

府民・市民の皆様へは、新年度ということで進学・就職も含め人の往来が激しい時ですので、3つの密「密閉、密集、密接」を徹底して避けていただくことと、人混みが予想される場所への不要不急の外出や会合等の参加を自粛いただきますようお願いします。

若年層の皆様は無症状や軽症の方が非常に多く、本人が気付かずに感染を広める事例が多く確認されておりますので、特に慎重な行動をお願いします。

感染が拡大している首都圏や阪神圏への不要不急の往来は、当面自粛していただきますようお願いします。

 

【大学等及び学生の皆様へ】

京都は学生のまちです。大学での発生の例を見ても、感染リスクが大きいと思っています。

大学に対しては、万が一感染が拡大した場合に感染経路を追いかけなければいけませんので、学生との連絡体制を確保してほしいということです。また、改めて学生一人ひとりの行動が感染を拡大する恐れがあることを御指導いただきたいと思います。また、授業開始時期を思い切って延ばしていただいていますが、さらに思い切った延期やオンライン方式による授業の導入等、学内の感染拡大防止の徹底をお願いします。

また、学生の皆様へは、入学や進級等多くの方が集まる機会の多い時期ですが、懇親会、新歓コンパ等の自粛など、慎重な行動をお願いします。

 

【海外から帰国された皆様へ】

海外から帰国された皆様へは、帰国の次の日から起算して14日間は、体温測定を行う等、御自身の健康管理に留意いただくことになっていますが、必ずしも守られていない状況も見受けられましたので、帰国された方の自宅待機を徹底していただきたいと思います。咳や発熱等の症状が現れた場合は、帰国者・接触者相談センターに速やかに相談いただきますようお願いします。

 

【事業者の皆様へ】

公共交通機関をはじめ、宿泊施設、小売店や飲食・サービス店舗等様々な事業者の皆様へは、改めて、衛生管理の徹底と換気や可能な限り席と席を離すなど、現場に即した感染防止対策の徹底をお願いします。特に、同じ容器での試食やレジ等における近距離での行列などは感染拡大の危険ありますので、配慮いただくようお願いします。企業は年度替わりで多くの従業員が一堂に会する機会が多い時期となります。様々な工夫をしていただいていますが、感染拡大防止の工夫をお願いするとともに、従業員が休みやすい環境や在宅勤務、時差通勤等にも取り組んでいただきますようお願いします。

厳しい状況に直面しておりますので、京都府・京都市では医療機関等と一層連携し、府民の皆様の安心安全の確保に務めたいと思いますが、多くの方のご協力をいただかないといけませんので、どうぞよろしくお願いします。

 

市長

京都の感染の現状を踏まえ、市民・府民の皆様の命と健康を守るために、感染拡大防止が最優先課題です。人混みが予想される場所への不要不急の外出や会合等への参加を自粛していただくよう、細かいお願いをしておりますが、重ねて私からもよろしくお願いします。

昨日、京都学生祭典実行委員会、京都学生広報部の方が京都の学生、さらに全国の学生に向けて緊急アピールをされました。「自分は無症状の感染者だと思って、それぞれ他の人に感染させない慎重な行動をとりましょう。イベントの自粛、「3密」の徹底した回避など勇気を持って決断しましょう」と学生が主体的に活動を始められました。心強く思っています。徹底していただくよう私どもからも改めてお願いします。

 

京都は中小企業・小規模な事業者が多く、そこで働く方々も含めて経済的に深刻な状況にあります。とりわけ飲食店、小売店、文化施設、観光事業者の皆さんには極めて厳しい状況が続いています。

しかし、都市間の往来を抑制するなど、感染拡大防止に全国が一丸となって取り組むことが一日も早い収束につながります。私どもも府市協調で伴走型のきめ細やかな相談体制の充実、国に対する緊急要望を行い、国の責任で行うべきことは毅然として求めてまいります。所得や雇用の確保に私どもも、国・府・市、一丸になって取り組んでまいります。共々に危機感を共有し協力し合ってこの難局を乗り越えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

知事

私から1点報告事項があります。

府の施設について、今までも閉館等の対応をしておりましたが、今の状況を踏まえて、改めて対応の見直しを行います。例えば、府立植物園は屋外ということで昼間は開園していましたが、桜のシーズンで混雑が予想されますので、4月3日(金曜日)から12日(日曜日)まで臨時休園します。府庁の旧本館の中庭についても、当面の間閉鎖します。歴彩館も閉館を延長します。京都文化博物館はフィルムシアターや館内店舗等の一部を除き開館しておりましたが、4月4日(土曜日)から展示を休止いたします。一旦閉館していた堂本印象美術館も3月24日(火曜日)から開館しておりましたが、4月4日(土曜日)から改めて閉館します。これについては後ほど情報提供いたします。

 

市長

私の方からも、二条城、円山公園の桜のライトアップは休止しております。京都市美術館については3月21日(土曜日)開館の予定でしたけれども、4月4日(土曜日)に延期しており、これをさらに4月11日(土曜日)まで延期します。マンガミュージアムも閉館しており、まもなく開館の予定でしたが、これを4月9日(日曜日)まで閉館を延期いたします。

 

京都府民・京都市民の皆様へ緊急のお願い(PDF:168KB)

 

主な質疑応答

(危機管理部、文化スポーツ部、健康福祉部、商工労働観光部、教育庁)

記者

この1週間で京都府内は感染者の数が2倍以上になる急速なペースでの感染の拡大がある。この事態の認識を改めて伺いたい。また、緊急事態宣言に至る状況にないという認識でよいか。

 

知事

一昨日、初めて2桁の感染者が出ました。これは府内の大学のクラスターによるものですが、積極的疫学調査をしていますので、検査対象が多く必然的ではありますが非常に増えています。一部、感染経路が不明な方の感染者も出ています。クラスターがあればその背後に感染が広がっている懸念があることと、「大学のまち」京都ということもあり、各大学の関係者の方からも危機感を持っていると聞いていますが、学生さんは危ないというメッセージが出されているけれども、年度替わりで人の入れ替わりがある時期で、会合されているとか集まっているという話を聞いているので、改めて身近に感染リスクがあるということを認識してもらいたくて今日の合同会見に至っています。

「緊急事態宣言」は、政府として全体に発せられると知事に措置をする権限が与えられることなので、「緊急事態宣言」を出すべきかどうかは一元的に政府の話だと思います。ただ、ここ一連の話としては昨日の国会答弁でありましたが、政府としては、その状況には至っていない。逆に言えば、その状況に至らないように処置を講じるということです。一部、医療関係者などから出すべきではないかという議論が行われていることは承知しております。我々としては、「緊急事態宣言」を出す出さないではなく、そういう状況にならないよう、感染拡大防止に全力を挙げることが我々がやるべきことという認識です。

 

会長

クラスターという言葉を使われますが、これは感染が認められた人がいたら、その人について濃厚接触者を順に調べていくことで、その人を中心にした陽性者のかたまりができることを言います。新型コロナウイルスの特徴は8割の方が無症状あるいは軽症であるということで、症状が現れないと検査まで至らない方がいます。そういう人は潜在的にクラスターを形成している可能性が充分あるということです。目に見えているクラスターを制御することは大事ですが、それ以外にクラスターが存在することを考えて、それ以上広げないために濃厚接触者を作らないことが一番大切だと思っています。それがうまくいけば感染拡大を防げると思いますし、それが、感染拡大を防ぐ唯一の方法だと考えています。ひとごとではなく、ひょっとしたら自分がかかっているかもしれない、隣の人がかかっているかもしれないという認識で自覚を持って行動いただく、そして、その行動が感染拡大に大きな影響を与えることを認識いただきたいと思います。

 

市長

市内の大学でクラスターが発生しましたが、大学と協働して土曜・日曜にほぼ徹夜の状態で徹底的に、感染経路、濃厚接触者、卒業した学生がかつてアルバイトしていた先まで含めて調査して、昨日、一昨日は京都市内で言いますと、この大学関連の陽性者はいませんでした。しかし、この調査は大変な作業です。学生さんの慎重な行動、とりわけ無症状であっても自分がいつうつっているか分からない、その危機感を持って責任ある行動をしていただくことを強く求めたいと思います。

 

記者

3月23日(月曜日)にこの大学の学生が参加した懇親会で感染が拡大しているケースで、既に感染が確認されている3人の学生が感染元だとした場合、21日(土曜日)の懇親会に参加して23日という流れで2日の間に感染を広めているケースはこれまでより少しペースが早いという疑問点があります。

井手町をはじめ、山城北保健所管内で患者数が増えていて1種・2種の感染症病棟は山城北保健所管内で10床あり、コントロールセンターで対策もできているとは思うが、医療崩壊の可能性や危機管理について医師会としてどのような判断をしているか。

 

会長

感染発症している状態でサークルやイベント等に参加しているので、そこで感染していない人と接触した場合、抵抗力のない人ですから感染が成立することは不思議なことではありません。感染した人が動き回るほど感染者が発生してくると考えていだければと思います。

「医療崩壊」は、重症の患者さんを我々は見逃さず治療しないといけないのですが、今は軽症な方も入院しないといけない状況なので、軽症の方が医療機関を埋めてしまうと新たに生じた重症患者を受け入れられない、あるいはそこで治療できないということに関して「医療崩壊」という言葉が使われています。

重症の方、その可能性のある方を治療するために、指定医療機関を空けなければいけない作業が重要になります。そのためには今、指定医療機関に入院している軽症の方、無症状の方は厳重な監視の下に別の医療機関等に移動させて、指定医療機関の病床を空ける、制御機能を確保することが医療崩壊を防ぐ手立てだと考えています。

 

記者

京都府内ではじめるべきタイミングか。

 

会長

始めないといけないですし、現在進行中で京都府・京都市と協力しながら進めているところです。

 

記者

卒業旅行された方で陰性の方がいるが、依然として陰性が続いているのか。

 

市長

関係者の経過観察をしており、陽性判定は出ておりません。

 

 

記者

今回の首都圏・阪神圏の往来自粛と不要不急の外出の自粛の根拠はどこにあるか。

 

知事

明確な数値的な根拠があるわけではありません。一昨日、2桁の感染者の増加がありましたが、大学のクラスターの感染力、感染拡大は非常にすさまじいものがありました。これは京都府含めて11府県にまたがって感染者を拡大させています。京都は大学のまちであり、この件だけでなく類似のリスクが潜んでいるのではないかと思われます。特に学生等、若い人にとってみれば松井会長の話のとおり、8割の方が無症状又は軽症で知らず知らずのうちに感染し、拡大しているということ、周りにも感染者が潜んでいるということを認識して慎重な行動を取っていただくことが感染拡大防止に最も有効であり、それしかないということで、全府民・全市民にもお願いですが、改めてこういう形で3人そろって呼びかけをさせていただいたということです。

 

記者

今回の自粛要請によって市民生活や経済に深刻な影響が想定されるが、どのような認識か。

 

知事

京都の場合、観光産業・ものづくりのまちですので、サプライチェーンの崩壊等もありますし、大きく言えば人や物の往来も含めて経済全体の停滞があります。これはそろそろ数字にも表れています。京都だけではありませんがきわめて深刻な状況です。ただし、まずは収束に全力を向けるということです。それから、足元でお困りの中小零細企業をつぶさない、雇用者の方は解雇されないという前提で生活や経営を守っていく緊急のことがあります。そして、収束後はV字回復に向けて全力を挙げるということになると思います。今はまず、感染拡大防止と平行して府民の生活と経済を守ることに全力を挙げて参りたいと思います。

 

市長

感染拡大を防止してこの事態を早く収束させることが最大の経済対策だと思います。同時に中小企業・小規模事業者、文化等に従事されている多くの方々の生活や経済がきわめて厳しい状況にあります。府市協調で相談体制、国に対する万全の対策・補償を強力に求めていくことが大事だと思います。今は我慢をしなければならない時です。同時に、この我慢が単なる我慢ではなく、知事からもありましたようにこれを乗り越えていく。飲食店も宿泊事業者も大変です。今は一生懸命お客さんを呼ぶ時期ではない、お客さんが来られないこの機会にハラール・ベジタリアン対応の勉強会をやろう、多言語対応の研修をオンラインで始めている、忙しくてできなかったことをやろう、収まったときに更に京都のおもてなし力が向上していくというポジティブな取組を一緒になって始めましょうと観光協会や各事業者等が取り組んでいます。こうした取組を一層進めていきたいと思います。

 

記者

府民・市民のお願いの中で首都圏や阪神圏の往来の自粛とあるが、府内でも地域ごとに往来自粛や移動について考えたほうがいいのか。これから新学期で学校再開もあるが地域ごとに評価をしたり対応をされるのか。

 

会長

感染症は免疫を持っていない人に病原体が移ることで感染が成立するわけです。皆さん免疫・抗体を持っていません。そうすると、感染している人と感染していない人が接触すると感染する可能性が高いわけです。どこの場所が危険であるというよりも感染した人と近づくことが問題で、例えば京都から北部に行こうとすると公共交通機関を使うと人が密集する状況を作るので、感染している人がその中にいると感染しますよ、ということです。

移動を制限するというより密集しているところに近づかないということが一番大事だと考えていただければと思います。

 

知事

松井会長が言われたようにどこであろうと同じことです。ただ、首都圏・阪神圏は、リスクを避けるという意味で書かせていただきました。不要不急の往来ですので、必要な場合は防護をして行ってもらわなければいけません。京都も、例えば滋賀のようによりリスクの低いところからすればリスクが高いということになります。

一番重要なことは、「3密」も含めて感染しない行動をとっていただくということです。

 

記者

今後、学校や施設について地域ごとに分けて対応することは考えられないか。

 

知事

政府の専門家会議では、おそらく都道府県単位を意識した「感染拡大警戒区域」に係る三分類が行われました。都道府県では広いところもあり、地域ごとに違うと思いますが、ある程度、感染状況について独自の判断基準に基づいて学校・施設の休校・休館の措置が取られました。ある程度地域差があることは専門家会議でもより大きい視点から認めています。

ただ、オールジャパンで感染拡大のリスクが高まっており、全地域的にもリスクは高まっていることを充分認識いただきたいと思います。

 

市長

京都市内についても、75%が山間地域でそこに多くの集落があります。京都市の都市部を見ているのと、京北や花背や大原などとは違うわけです。従って、人混みを避ける「3密」を避けることが最大のテーマだと思います。

 

記者

4月1日(水曜日)の政府の専門家会議で、「感染拡大警戒地域」、「感染確認地域」、「感染未確認地域」の三分類が示されたが、京都は現状どこにあたるのか。また、学校再開について府・市で予定している再開についてどのように感じているか。

 

知事

私は「感染確認地域」だと認識しています。ただこれは感染者が1人の地域も入っていると思いますので、「感染拡大警戒地域」に非常に近いところの「感染確認地域」だと思います。例えば屋内50人以内の集会やイベントを控えるようにとなっていますが、府内の大学の例を見れば、居酒屋といった場所でより少ない人数で感染拡大しています。この基準は全体を通じた最大公約数の基準なので、そのとおりではありませんが分類としては「感染確認地域」かと思います。

学校休校については、いろいろなところに影響を与えるので難しい問題です。文部科学省からもガイドラインが出ましたし、京都府としては、専門家の意見を聞きながら今まさに検討に入ったばかりです。児童・生徒の健康、安心・安心の問題、子どものストレスの問題、社会的な影響などから総合的な判断となりますが、基本的には感染状況の分析との兼ね合いで検討している状況です。

 

市長

現状認識等は知事と同じです。同時に高等学校は比較的判断しやすいと思いますが、小中学校とりわけ小学校の休校は、長期に及ぶと医療・福祉の維持が難しくなってきます。現実問題としてそうしたことも考えなければいけない。今は、保育所は開いています。社会的な要請で開けているというのが現実だと思います。特に小学校などはどうするのか、一人ひとりの子どもの状況、家庭の状況を含めて教育委員会が校長会やPTAの意見を聞きながら検討を始めています。そうした判断や文部科学省のきめ細かい意見もあるでしょうから、そうしたことを踏まえて判断していきたいと思います。

 

記者

これまでからクラスターの可能性があったが、どれをクラスターと認定し、どれを府内初としているのか。

 

会長

クラスターは1人の陽性患者が見つかり、濃厚接触者を追跡調査するとその人を中心に感染が広がったグループのことをクラスターと呼びます。クラスターの元になった感染者がどういう経路で感染したかを追いかけますが、これが例えばライブハウスやナイル川クルーズ船など明確な場合は、そこ由来の感染者によるクラスターと判断できます。どこで感染したかわからない人が出て、その人を中心にクラスターができていくという状況になった場合には今まで確認したことがないということで、最初のクラスターというように分類していくことになります。感染経路が追いかけられない状況が出てきたことは驚きをもってとらえることではなく、当たり前のように今後出てくる状況にあるということは間違いないということは申し上げたいと思います。

 

記者

今回の大学のケースでは、具体的にどの段階でクラスターが発生したのか。

 

知事

補足いたしますと、厚労省では「同一の場所で5人以上の感染者」であれば小規模感染クラスターの可能性が高いと言われていますが、クラスターの定義がそうであれば、先ほどの図の中では例えば、3月21日(土曜日)のゼミ卒業祝賀会で14人の陽性者が出ていますので、これはクラスターです。派生している23日(月曜日)交流会をどう言うかは私にもわかりません。ひとつの塊としてはそうですが、クラスターの全体像として言うのか、厚生労働省もこの状況を把握していて、全国に知らせる必要があると思っておられますので、そこは厚労省とすり合わせた上でどういう形でクラスター認定するのかは聞いてみたいと思います。少なくとも21日のゼミ卒業祝賀会が要件に該当し、初と認識したということです。全てこの大学から出たのか分かりませんが、全国のものを見てもバラバラではないではないような気もしますので、条件としては十分該当します。

 

市長

大阪のライブハウスがクラスターで大変なことになりましたが、それは参加者が特定されていないからです。本人がライブハウスに行ったと相談に来られたから分かったということがあります。

今回の例では、大学の協力を得て全ての参加者の名簿が確認でき、次にどの行事に参加し、アルバイト先も確認できています。それを徹底して他府県に全て連絡をしました。この取組がなければ、感染源の分からない患者、若い元気な人ですから、感染も認識されないことになっていました。今回は調査を徹底したから多人数になり、全国への広がりが分かりました。クラスターという認識の下に追跡調査をし、注意喚起し、必要な消毒を徹底したことで、人数も多く広範囲になっています。このことで皆様には大変な心配を掛けていますが、徹底することがよかった。この大学の取組も敬意を表したいと思います。ちなみに21日は大学の卒業式の日でした。卒業式を中止された判断は今から考えると極めて賢明な判断だったと思います。卒業式がなかったからゼミ単位の催しだったということです。

 

記者

不要不急の外出と往来の自粛については、週末に要請するわけではなく今後収束するまでということになるのか。不要不急は具体的には通勤通学以外ということか。

 

知事

週末だけではなく当面ということです。不要不急とは、例としては通勤、通学、通院、日常生活の買い物等が不要不急ではないと解釈いただければと思います。

 

記者

生活・経済の支援に関して国に対してどのような支援を求めるか。国会では消費税の引下げについての議論があるが、それについての見解は。

 

知事

国へはこの間、経済界が参加する京都経済対策トップ会議や、京都経済対策実務者会議での意見を踏まえた要望、京都労働経済活力会議という雇用の面から出された意見に基づく要望をしてきています。その中で言っていることは、金融・融資については様々なメニューが国からも用意され、京都府・京都市からもできていますが、非常にたくさんの制度があるため、現場では実務が滞っているのではないかという話があります。改めて、円滑な融資の実行を対応してもらいたいということと、利率もばらつきがあるように私は思いますが、無利子が最も望ましいので利率は下げていただき、今は中小・小規模事業者を守るには、資金繰りの相談が一番多いわけですから、より優遇された金利の融資制度を創設してもらいたいと思います。

 

市長

中小・零細企業、小規模事業者の事業の継続、端的に言えば所得の補償・確保、雇用の維持、さらに生活困窮者への思い切った支援などを度重ねて要望しております。

 

知事

消費税については、国できちっと議論してもらいたいというのが本音です。消費税は全世代型社会保障の財源に組み込まれて様々な事業の前提になっていますが、消費喚起も必要だと思います。V字回復のためにあらゆる手立てをしてほしいと我々は思っています。それが減税なのか、思い切った政府支出なのか。そこは経済効果を考え、必要なところに必要なお金がまわるように国で議論していただきたいというのが我々の思いです。

 

記者

新学期を迎える学校について。今後、府・市それぞれ休校や再開について見通しを出すタイミングはいつになるか。

 

知事

今日は4月2日(木曜日)なので、そんなに時間はありません。早急にです。ただ、市長が答弁されたように非常に影響が大きく、どちらかというと再開の前提で枠組みを進めていますので、慎重に検討しなければいけないと思います。

 

市長

新学期・入学してくる子どもと担任の先生等とのきちんとしたコミュニケーションが取れることがこの危機的な状況を乗り越えるためにも必要です。したがって、どのような形にするにせよ、新入生と担任との出会い、新学期に新学年の学級編成で新年度のスタートをきちんとしておかないといけない。そのためには、感染拡大防止へのあらゆる注意をした上でしなければ教育活動、子どもの健康管理、家庭の状況の把握もできませんので、スピード感を持って取り組んでいかなければいけないということが1点です。伊根町が地域独自の取組をしているということもありましたが、そういうことも含めて検討して行動を決めていきたいと思います。

 

記者

不急不要の移動自粛については通勤・通学は対象外となるが、今後感染が拡大した場合、政府がしない場合においても京都府・京都市として踏み込んだ対策をする可能性はあるか。

 

知事

社会経済生活に与える影響も大きいので仮定の話は軽々にできませんが、特別措置法が改正され、「緊急事態宣言」を出そうと思えば出せる仕組みになっていますので、全体の感染の拡大状況の認識なく、我々がそういうことができるということはありえないと思います。今回の政府の専門家会議での「感染拡大警戒区域」の話や、京都府でも専門家会議を設置させていただいておりますので、専門家の意見を聞いて、今日の「お願い」ではこういう線でということですが、何が感染拡大防止に有効なのか。地域の移動もあるが、大事なことは集まらない、接触しないということなので、感染拡大防止のための有効性と社会経済に与える影響のバランスを考慮してさらに踏み込んだことをするか検討したいと思います。常に緊張感を持って感染の状況を見ておりますが、今すぐに答えられる状況ではないです。

 

 

記者

京都は観光が盛んで往来の「来」、他府県の京都に来る方に対してどうすべきという認識か。

 

知事

全国知事会で午前中に議論を行いましたが、いろんな問題意識があります。特に「感染拡大警戒地域」は感染者率が多いので、そこから来る人がどうかという思いもありますし、来ることで密度が高まるということもあります。

私自身は、人混みや「3密」を避けるということから、そういう状況が生まれることを一番避けたいと思いますし、往来は「不要不急」なことを言っていますので、わざわざリスクがあるところに行かないでほしい。来ないで欲しいというのは両面があります。京都でも予断を許さない状況にあることと、危険なところからきていただくと感染のリスクが高いということです。実際、3連休の後は他府県ナンバーの車が多かったという話も聞きまして、そうしたものを見て府民・市民が不安を感じたということもあるので、不要不急のことであれば、首都圏なりからの往来は自粛した方がより安心・安全につながると思いますのでお願いしたいと思います。

 

市長

そのとおりなのですが、先ほど申し上げたように、都市間の往来を互いに抑制することが感染拡大防止に繋がると思います。首都圏も中部圏も阪神圏も、今日の状況であれば福岡等も含め、都市間の往来の抑制、混雑する場所は互いに避ける、行かないということが大事だと思います。

 

記者

市長と知事が事業者に対して呼びかけをしているが、東京だとバーやカラオケなどに行かないようにという呼びかけをしている。営業自粛まで踏み込んで呼びかけることがあるか。またそういう段階にないのか。知事の認識を聞きたい。

 

知事

今回は営業側については言っていません。不要不急の人混みを避けるように府民・市民に言っております。ただ、全国的にもそうですが経済活動や営業自粛の段階ではないと思います。企業への呼びかけに関しては、既に各企業ではテレワークや出勤しない工夫をしていただいています。府民・市民のお願いの中に一般論として従業員の分も入っていますし、感染拡大防止を事業者にお願いしているということは、当然、それぞれの経営活動のあり方も感染拡大防止の点で行動をお願いしているので、対象としては全て含まれていると思います。

 

市長

同じです。

 

記者

検査を受けていない方や無症状で気づいていないパターンがある。府民に対する呼びかけとして確認されている人数以上に、周りに潜んでいるかもしれないということを前面に押し出すなど危機感を伝える呼びかけが必要だと思うがどうか。

 

知事

今回の「お願い」の中に書いている「身近なところに感染リスクが潜んでいる」ということがそのことです。目に見えないものなのでどこにどれだけということはわかりませんが、少なくとも発見されている陽性者以外に周りにおられることは当然の前提として呼びかけをさせていただきました。

 

市長

特に若い人が心配です。学生さんのアピールにあるように「自分は無症状の感染者だと思って行動してください」これは非常に大事なことだと思います。

 

 

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