ここから本文です。

平成30年4月16日知事記者会見

 本日はお集まりいただきましてありがとうございます。私が京都府知事に就任しました西脇隆俊です。よろしくお願いいたします。
 選挙から1週間が経ちまして、当選の時にも申し上げましたが、私に投票してくださった府民の皆様や選挙を支えてくださった多くの皆様への感謝の気持ちは当然でありますが、1週間という時間が経つにつれまして、知事という職責の重大さへの思いがますます強くなりまして、身が引き締まる思いです。260万の府民のために全身全霊も持って府政運営に務めていくことを改めて決意をしている次第でございます。若干、登庁式のお話とかぶるところはありますが、私の思いを述べさせていただきたいと思います。

 選挙戦も含めて約2カ月、京都府内を北から南から回りまして、短時間ではあるのですが多くの方とお会いして、多くの事を学ばせていただきました。一つは、山田府政に対する府民の皆様の評価が極めて高いこと。まずは、現在取り組んでいる政策については、着実に前に進めることによって、府民の皆様の安心を確保することが重要だと。一方で、急速な少子高齢化とそれに伴う人口減少社会に府民の皆様が漠然とした不安を持っておられますし、既にその影響は各方面に出ております。具体的に困った問題に直面されている方が多い。例を言うとたくさんになってしまいますが、少子高齢化ですから医療や介護・福祉などいわゆる社会保障制度が維持されるのかどうかとか、子育て環境が整うのか。働いている人であれば雇用の安定が確保されるのか。それから、京都は非常に豪雨災害が頻発していますので、自然災害からの安全が確保されるのかどうか。それから、中小企業や農林水産業では、人材の確保や人材育成、担い手の問題が確保されるのかということ。府域全体という意味では、府域の均衡ある発展を山田前知事も仰っていましたが、実現に向けて近づいていくことができるのか。それと全体を通じて言えるのは、色々な課題は、府政だけではないのですけれども、京都が取り組まなければいけない課題を突破していくだけの活力が維持されるのかどうか。色々な課題をいただいておりますので、これを一つ一つ解決していくことが重要だと思っております。

 一方で、北から南まで京都の持っている底力を感じた2カ月でもありまして、自然が素晴らしい、歴史や伝統、地域に根付いている文化や住民の方の力、地域力ですね。そういう可能性も感じました。それを生かして、先ほど申し上げた課題に対処していくことが重要だと思いました。
 3月に発表した公約もそれなりの項目がありますし、いただいた期待や課題も多いので、与えられた任期の中で、ある程度実現していくためには、相当なスピード感を持って府政運営に臨まなければならないと思っておりますし、京都府政だけでできることは極めて少ないと思っておりますので、選挙では「オール京都」でと言いましたが、まさに課題解決に向けて府民の皆様を含めて、あらゆる主体の方のご協力を仰がなければいけないという意味で、京都の力を結集して府政運営にあたることを申し上げたいなと思います。
 若干、実務的なことを申し上げますと、補正予算の編成が当面課題になります。これについては、私が公約に掲げておりますキーワードの「安心・いきいき・京都力」という項目に沿った形で、是非とも積極的な検討をお願いしたいと部局長会議でも申し上げましたし、事務的にもそういう方針を伝えていただくことになっております。
 もう一点は、危機管理体制について、日本の中でも優れたものにしたいと申し上げてきました。危機はいつ起こるかわからないので、危機管理体制の見直しですね。見直しとは、変えるというより発展させるという意味で、それについても至急、検討するようにお願いしました。近々、どういう視点で見直すかを皆様にお知らせしたいと思います。
最後に、是非ともお願いしたいのが、京都の力を結集して府政を前に進めていく上で、皆様、マスコミの役割も極めて重要だと思っております。我々もスピード感のある正確な情報提供に努めたいと思っておりますし、府民の皆様のご理解を得るという意味でも皆様の協力が不可欠だと思いますので、その点をお願いしまして、私の冒頭のあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。 

主な質疑応答

記者

  山田前知事から西脇さんのカラーを存分に出してほしいというメッセージがあった。自身のカラーや特徴はどういったものか。またカラーを補正予算に強く出すような思いや、その手法について考えはあるか。

知事

  カラーというのは自分で決めるものではないので、皆さんの評価をいただきたいと思います。一つ言えるのは、カラーを出すためのカラーは絶対にやらないということで、あくまで政策実現本位なのと、課題はわざわざ探さなくても山積しておりますので、それを一つずつ解決するのが私のカラーです。ただ、山田前知事も芽出しというか、種を蒔かれたとも言われていますが、行政は連続していますので、同じ事をやるというイメージが強いのですが、そうではなくて「継承・発展」にもレベルがあります。
 私のカラーというのは、突き詰めれば、公約や選挙戦で訴えた内容ですが、補正予算では最大限、「安心・いきいき・京都力」という3つのキーワードについてそれなりの芽出しをしていきたい。ただ、選挙戦直後にも言いましたが、補正予算は年度途中なので、制度によっては、主体が多ければ事前に相談しなければいけないものもありますし、年度当初からやるべきものについては、来年4月にできるように協議も始めるということなので、補正予算になじむものについては積極的に計上する。それが、「安心・いきいき・京都力」の3つです。それがカラーと言えばカラーなので、出していきたいと思います。

記者

  他に指示やお願いしたことはあるか。

知事

  現場主義を徹底することと、前例にとらわれないこと、連携に是非こだわっていただきたいということ。それに加えて、危機管理体制について申し上げました。自然災害や原子力災害、鳥インフルエンザ、テロとかもありますが、それ以外にも、仕事を進める上でも情報伝達をなるべく躊躇しないでスムーズにすることをお願いしました。それと補正予算編成。人事については、6月1日を目途として準備してほしいという話をしました。現場主義と言っているので、なるべく早々に私自身が赴きたいので、その手配や段取りをお願いしています。4月から年度が始まっていますので、知事が行くべきところ、申し入れるところ、協議をするところなど、そういう必要性があれば、就任当初ということにこだわらずに言ってほしいという話をしました。

記者

  危機管理体制については、この2カ月あまりで「ここは」というものがあったのか。 

知事

  この2カ月は選挙中心だったので、京都府庁の体制について言ったわけではないです。私は、国土交通省や復興庁にもおりました。実際に危機が起こったときには、理念でこうすべきだというより「すぐ電話しろ」など、何をすべきか具体的にあった方がいいです。例で言うと、気象庁と市町村は直接のホットラインがなかったが、雨量の予測など直接話せるようになった。マニュアルに頼りすぎるのもよくないですが、無いのはよくないです。今日、一部報道がありましたが、危機管理型水位計のデータを国直轄で管理し運用する協議会を設立されていますが、京都府も参加しています。そういった国や市町村との連携を強化すべき所もあるので、見直して早く制度化するような検討をお願いしました。

記者

  危機管理体制の話では、根本的な見直しというよりも、情報の伝達のあり方を確認するということか。

知事

  幹部の方には、2つのことを申し上げました。自然災害やいわゆる危機では、伝達不足によって政策をやるときの前提が崩れることもあるので、情報伝達をきちっとしてくれということが一つ。自然災害を含めた危機管理体制については、こういう体制で、こういったときにはこうしなさいというものについて、きちっとマニュアル化して対応するという話をさせていただきました。

記者

  副知事の人事の考え方は。

知事

  人事の考え方は、元々適材適所なので、中身は白紙です。

記者

  補正予算という限られた裁量で優先させたいものは。

知事

  「安心」については、選挙戦を通じて子育て環境の話を訴えておりまして、出産だけではなくて、合計特殊出生率については全部の平均なので、結婚から始まり出産、子育て、教育、最終的には就労とか、幅をもって政策のタマとして考えてほしいという希望があるのと、その中で何が補正予算でできるのか検討してほしいという話はしております。
また、自然災害の話は多かったので、安心感を持ってもらうという意味では、自然災害の備えについても何らかの施策ができないかお願いをしております。
 「いきいき」については、中小企業の話をたくさん聞いておりました。特に生産性を上げないといけないと言っていますが、AIとかIoTは単独の企業でできないことがあると思います。連携というのは商売上の問題もありますが、行政が何らかの支援をするという観点でできないかとお願いしています。
 「京都力」は、文化庁の移転が具体的なスケジュールに乗っておりますので、その備えでやることがあって、当初予算で足りない部分があれば、それについても何らかの手が打てないか。それ以外にも、それぞれの部局で骨格予算に盛り込みきれなかったものがあればそこは言っています。私自身の思いとして、この柱で検討をお願いしています。

記者

  子育てについて、京都の合計特殊出生率は1.34でワースト3位という数字です。全国平均が1.44だが、どれくらいの数値まで引き上げたいか。

知事

  今のところ無いですね。全部の平均なので、どこにターゲットに絞るということはあるが、数値目標は現時点では白紙です。

記者

  「明日の京都中期計画」では、平成30年度で出生数が2万2000人を目標にしているが。

知事

  達成状況も含めて検証しないと。目標には夢のある数字も必要ですし、現実的な数字も必要です。「明日の京都中期計画」もいずれにしても見直さなければいけないので、見直しの過程の中で数値については検討したいと思います。

記者

  現場主義の話があったが、どこか行きたいところがあるのか。

知事

  具体的にどこということはないです。近いところだけでは無く、地域に幅広く行きたいなと思っています。

記者

  国立社会保障・人口問題研究所が、京都の人口が2045年に210万人になると指摘した。この数字の受け止めは。人口減少に対してどのような対応が考えられるか。京都に限界集落と言われる地域があるが、その対応を取ればその地域のコミュニティが維持できるか。

知事

  かなり難しい質問です。人口減少が与える社会経済に及ぼす実際の影響は、地域や主体、人によってかなり違うと思うので、まず、受け止めからいうと、この人口減少というのはすごいことなのです。経験したことが無いということもありますし、社会保障や全てのシステムで支える側と支えられる側のバランスが崩れ、支える方が減るわけですね。どう活力を生かして支えるのか。
 社会保障制度には大きな影響が出ますし、人手不足という意味においては、中小企業や農林水産業だけではなく、全ての現場人材は不足していくということで大きな影響が出ます。我々、なんとなく頭ではわかっていますけれども、実体経済に影響が出るので、その備えを早くしなければいけないと思います。どのように解決していくのか、まさに処方箋を見つけるのは厳しい道のりですが、例えば右肩上がりのシステムは、当然、この間努力して改良して修正して新しい時代にフィットするように変わってはきているのですが、地域包括ケアのような地域で色んな事をやろうとか、ダブルケアのように子どもと高齢者の見守りを一緒にやるといった話は、すべて行政とか施設とかに任せて、後はみんな負担すればいいという話では持たないという意味では、制度・施策の垣根を無くすということも、今までのシステムを変えるという意味では大きいと思います。
 ただ一方で、それぞれの主体がやっていた仕事があるわけですし、その継続性もあるので、それを維持しながら変えていくことをしなければいけないので、私がパッと思うのは、地域を社会保障制度の中にどう組み込んでいくのか。子育ても高齢者の見守りも含めてだと思います。
 その上で、一番端的に、象徴的に出ているのが限界集落という言葉がいいのか、過疎地という言葉がいいか、そこに出てきているわけですね。限界集落を維持するかしないかも含めて、判断しなければいけないのですが、私の感じとしては、なるべくある程度まとまって、居住地を変えるわけではなくて、まとまってサービスができるようにということ。京都もやっていますが、買い物とか社会保障とか農作業の手伝いとか、何でもいいのですが、その全てを一括して地域需要のために機能するような公的機能があるような主体が出てくることで、なんとか維持できるかできないか、ということ。後は、元気な高齢者の方には、支える側に回ってもらってもらう。人口比では若い人が少ないですから、あとは効果の検証をしていないですけれども、移住対策も非常に重要だと思います。ただ、全国の人口比が変わるわけでは無いので、取り合いになります。魅力を作らないと来ないです。移住対策が非常に重要だなと思うのは、都市部の働き手の中には、そういう暮らしを望んでいる人が必ずいると思いますが、人生の途中で変えられないという思いとか、PRしているようでも、未だに移住は何を実現すればいいかわからない人もいるので、これをきちんとやれば、日本全国における人口減少化における限界集落や過疎の問題に貢献できると思います。なかなか手間暇かかる仕事だと思います。今の質問で思いつくのはこれくらいです。 

記者

 今の話は「コンパクトシティ」という考え方がありますが、そういうことなのか。

知事

 コンパクトシティは震災復興でも言われたのですが、その前から都市政策で言われていました。コンパクトに住んだ方が行政上の効率もいいし、都市生活の機能、買い物や文化だって、企業もコンパクトで済んだ方がいい。ただ、今住んでいる人がコンパクトに住むために居住地を変えるのは至難の技です。一部中枢都市で成功しているのは富山くらいだと言われています。施策の方向としては間違っていないですが、それがうまくいくかどうかは、かなり地域によって差があって、震災復興でも、実際に復興のまちづくりが本当にコンパクトシティになっているのかは、これからの検証だと思います。なるべく固まって住んだ方がいいというのは、高齢者の方にとって、人と人の繋がり、人と対面するのは健康面からもいいと思います。車を運転できない世代も出てきていますから、公共交通の利用という観点からもいいと思います。施策の方向としては、なるべくコンパクトというのは正しいと思いますが、そのために住み慣れた所を引っ越していただけるかというと強制力は無いです。これを施策にするには相当の覚悟が必要です。

記者

 当選の直後に子育て医療費の助成の拡大の話をされたが、公約集のパンフレットには書かれておらず、選挙中にはそこまでの話を具体的に耳にしなかったが、どういう経緯で考えたのか。

知事

 医療の話はかなり色んなところで医療全般に聞いたことと、診療科でも小児科が非常に大変という話も聞いているし、子育て層の不安や病気に対する不安を聞いたことや、皆様が具体的なことを言えとおっしゃったこともあるのですが、「子育て環境日本一」となれば、医療費はあるのかなと思ったわけです。急に思いついたわけではなく、公約の検討過程としてもメニューとして可能性はあると思っていました。

記者

 山田前知事の処遇は何か考えているのか。

 知事

 前知事とは定期的に会うというということではなくて、随時、相談しなければいけないし、山田前知事からアドバイスをいただくのは、随時と考えていただいていいです。

 山田前知事にどういう形で、京都について貢献していただくかは今後の検討課題ですが、私の思いとしては、山田前知事に引き続き、京都の発展のために貢献できるような仕事をしていただければいいのかな、と思っています。それは、私だけに対するアドバイスということだけではなく、具体的にどういう形になるか、というのは白紙ですけれども。

記者

 山田前知事の立場ですが、顧問とか参与など具体的な肩書きはあるか。

知事

 参与なり、府政の非常勤の立場は前提になります。

記者

 中小企業の連携をしていくのは企業間同士のイメージなのか、大企業と組んでいくのをサポートするのか。

知事

 原則は、中小企業同士が連携するのが前提だと思います。何らかのツールで、大企業と言う言葉がいいかわかりませんが、他の企業が協力できる場面があればいいと思いますが、ここは、商売ですから、ある程度利害が一致していなければうまくいきません。困っている中小企業同士が原則になると思います。パワーを持っていて、なおかつ積極的に協力できる企業があればと思いますが、制度設計まではいっていないので、そういった観点で補正予算の検討をしてほしいと言っているところです。

記者

 公共工事に対する期待についてどう思うか。

知事

 公共工事を増やすための公共工事はあり得ないわけで、社会資本整備というのは「ストック効果」と言う言葉が表しているように、作る物についての効果を期待してやるものなので、増えるか増えないかというのは、もちろん財政構造との関係もありますが、結果論に過ぎないので、必要な整備を着実にやるということに尽きると思います。

記者

 国交審議官時代の新聞のインタビューで「インフラがあることで、初めて経済活動が行われる」と発言があるが、インフラそのものについては、社会にとって重要であるという認識は変わりないのか。

知事

 その効果において必要なものかどうかなので、例えば、道路一本でも「命の道」と言っておられる過疎地域においては、高度医療にアクセスできるという話があるが、それだけなのかというと、通勤にも物流にも観光振興にも使われているわけです。インフラ整備というのは、トータルの効果があるものを作っていることが前提ですが、色んな種類があります。例えば防災公園なら防災、憩いの場であれば憩い、緑地機能など、それぞれの効果を現実的に見つめて、悔いの無い整備をするということなので、インフラ一般論で大事かといわれると、ものによるということだと思います。

記者

 大分県の中津市で土砂崩れがあった。警戒区域であったが、大雨や地震が直接あった状況では無い。あの問題に対する考えと、京都ではどう対応するか。

知事

 私はまだ、京都府域の土砂災害警戒区域と特別警戒区域の指定状況をわかっていません。要対策箇所と指定区域の割合はわからないのですが、指定して、規制が掛かることによる問題もあるし、地域のイメージもあります。最近起こっている災害では比較的、土砂災害が多い。川があふれるような表層のもありますし、広島西部の土砂災害にも対応しましたが、住民にとっては非常に関心が高く、強制的に避難させることはできないので、情報量と避難体制の整備というのは喫緊の課題だと思います。

 ただ、今回のように雨量も無いのに滑るというのは新しいことなので、これは国全体としても当然検討が必要だと思います。いずれ原因解明が行われると思いますが、水の道といって、要するに、下に水の流れがあれば崩れやすいということは元々言われているので、ある程度、危険性の予測が可能なのか、指定区域に指定したときにそこまで含めて指定されているのか解明を待ちたいです。問題意識は持っていますが、すぐそれを京都で、独自のことをやるところまでの知見はまだないですね。

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp